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【9】サーディンの頭でも時には役に立つ
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縦穴の底にたどり着いた三人は、さらに横穴を奥へ奥へと進み、とうとう【長虫】の領域へと足を踏み入れた。骨ピとウンラロにも緊張が走る。いつ自分たちの足元や壁や天井から【長虫】が飛び出してきてもおかしくはない。
しかし魔女は気楽に、
「そんな緊張しなくてもまだ大丈夫!でも、念の為コレ塗っといて」
そう言いながら、魔女は小さな瓶を骨ピとウンラロに手渡した。これは?と二人が聞くと、
「【長虫】の体液よ。コレ塗っとけば襲われない…かもね」
そんな曖昧なことを、魔女は恥ずかしげもなく言った。やはり、この魔女には常識がない。曖昧なことは、時に何もやらないよりも危ういのに。
しかも【長虫】の体液というのも胡散臭い。誰がどうやって手に入れたと言うのだ。
しかし、『サーディン(イワシ)の頭でも時には役に立つ』という人間のことわざを思い出し、骨ピとウンラロはいそいそともらった液体を体に塗りつけた。
To Be Continued.⇒【10】
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