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第60話 「たまには上級神たちもイタイめをみるのもアリじゃね?」

 そして、作戦の第一段階である北海道奪還フェーズが開始された。

 まず、北海道中央部にある大雪山系(たいせつさんけい)ゲート目指して、函館(はこだて)から札幌(さっぽろ)へと全軍で出動する。


氷狩(ひかり)一人にカッコイイ活躍をさせておく必要はないぞ!」

「そうよ、私たちだって充分やれるんだから!」


 厳原(いずはら)絹柳(きぬやな)(げき)に意気上がる主力部隊。

 実際に、今までの連戦を経験してきた結果か、異能者(いのうしゃ)たちの能力も全体的に底上げされていた。

 怪物たちも初期に比べ強化されていることが確認されており、それと対等に戦闘を展開できている異能者たちも、同様かそれ以上の強化をみせているということになる。


「よし、札幌市内へ全軍突撃!」

「救出した一般人は異能者の護衛をつけていったん後方へ──氷狩君、あとは頼んだわ!」

「わかった、任せて!!」


 怪物たちのゲリラ戦法を撃破して、南方の山地から札幌市街へと突入していくフェンリル防衛隊(ぼうえいたい)

 その突撃を支援するために、誓矢(せいや)はユーリやシーラ、スズネ、ヤクモに力を借りて、全力で双銃から無数の光を放つ。


 ──シュイン、シュイン、シュイン、シュイン!!


 今までにない広範囲へ着弾する誓矢の銃弾。

 そして、同時に異能者たちの突撃も繰り広げられ、怪物たちは北の大地に溶けていくかのように数を減らしていく。


「よっしゃ、怪物のヤツらビビってやがるぞ!」

「怯んでる今が好機よ、一気にたたみかけて!!」


 厳原と絹柳が、このタイミングで大攻勢を指示する。

 この時点で、完全に怪物たちは戦意を喪失していた。

 フェンリル防衛隊の異能者たちの能力に圧倒されたという側面もあるが、それ以上に、誓矢──フェンリルの存在が大きかった。

 誓矢が進むと、それを避けるように逃げ出す怪物たち。そして、その側面から異能者たちが押し寄せて逃走する怪物たちを削り取っていくという連携が確立されている。


「札幌市内制圧完了!」


 その報せが全軍に伝わると、士気が爆発的に上昇した。

 このまま勢いに任せて、一気に進軍したいところだが、誓矢がそれを踏みとどまらせた。

 もともと人口の多い札幌エリアには、まだ多数の避難民たちが残され、個々に怪物たちに対して抵抗していたのだ。そんな彼らを救うと同時に、近隣の街の怪物も一掃して、札幌エリアを第二の足場として確立したい。そう考えたのだ。


『わかった、避難民の輸送に関しては任せて。鉄道の点検とメンテナンスが終了次第、運転再開できるよう準備を進めてるから』


 函館(はこだて)で後方支援を手伝っている沙樹と連絡がつながり、手早く今後の動きについて調整を進める誓矢たち。

 一方で、異能者部隊を指揮する厳原、絹柳、光塚(みつづか)風澄(ふずみ)も再編成を完了したと誓矢に報告してくる。

 誓矢直属の部隊も、ユーリと森宮(もりみや)が準備を整えている。


「よし、補給部隊とも合流できたし、明日には出撃だ」


 集まった主要メンバーの面々を見渡した誓矢は、力強い笑みを浮かべてみんなを激励する。

 ()()()()()()2()──北海道の怪物を駆逐し、ゲートの奪取を図る。


「ここからが本番だ、みんなよろしく頼むね」

「ああ、任せとけ」


 代表して光塚が歯を見せて笑ってみせた。

 他の面々もそれぞれの表情で応えてみせる。

 そんな仲間たちを見る誓矢の胸に熱いモノがこみあげてきた。


「ううん、まだ終わってないんだぞ、気を引き締めなきゃ」


 誓矢は少し強めに自分の両頬を叩いて気合いを入れる。


 ○


 ──その夜。

 誓矢の夢の中に狐神の二人──スズネとヤクモが中学生サイズの姿で現れた。


「あれ、二人とも。夢の中に来るのは久しぶりだね」


 もう慣れてしまったのか、動じない誓矢に苦笑しつつ、スズネとヤクモは他愛のない会話を続ける。


「……っていうか、雑談するためだけにやってきたの?」

「セイヤはんにはかないませんな」

「コイツ、最初に会った時からそうだったけど、カンだけはイイからな」


 苦笑するスズネとヤクモ。

 二人は神界で調べてきたという内容を誓矢に伝える。


「動向を探ってみたところ、今のところ神界(しんかい)だけじゃなく、天界(てんかい)魔界(まかい)もセイヤはんの思惑に気づかれてる神様はいないと思います」

「ああ、そもそもゲートを奪取して逆に人間が攻め込んでくるなんて、意外すぎて考えが及ばないんだと思うぜ」


 セイヤが礼を述べると、スズネとヤクモはいったん顔を見合わせてからセイヤへと問いかける。


「セイヤはん、本気で神々にケンカを売りはるんやね」

「……うん、スズネやヤクモには悪いことかもだけど」

「そのあたりは気にすんな」


 ヤクモは尻尾をふりふり機嫌良さそうに誓矢を指さした。


「オレは──オレたちは誓矢のやろうとしていることを支持する。というか、っつーか、一方的にケンカをふっかけておいて、反撃されることを考えてないっていうのはナイわー。たまには上級神たちもイタイめをみるのもアリじゃね?」


 すっかり立ち位置が人間側──誓矢側になっている狐神たちであった。

 誓矢はそんな二人の手を取って礼を述べる。


「ヤクモとスズネとは本当に不思議な縁だったね。今となってはかけがえのない友達だし」


 その誓矢の言葉に照れたような笑みをみせる狐神。


「ゲートのことは任せとき。ウチら二人の力で逆干渉して道を拓くさかい」

「ああ、それくらいのこと、オレたちの持ってる力全てをつぎ込んで実現させてやるから、大船に乗ったつもりでドンと構えていてイイぜ」

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