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第八十四話:シリウスポイント


 ミサイル艇の投入は期待以上の効果だった。

 一時はイースター島の防衛も危ぶまれたが今では逆に敵の人口島を

占拠してハリネズミこと六型防空駆逐艦を警備に当てている状態だ。


「人口島までしか攻め込めませんでしたが

これで本国への空爆の可能性はかなり低くなりましたね」


「それに敵の潜水艦を撃沈してくれるのも非常に有り難い」

「敵は三日ほど前にサントス王国に上陸を開始したようですので

当分の間は我が国もにらみ合いの状態ですね」


「我々も攻撃出来ないが敵の飛行士も怖くて海を渡れないだろう」


 現在は軽巡を補給基地として東海岸一帯を七式戦闘艇四百艇が

警戒中だ。そう簡単には突破は出来ないだろう。

 我々も敵の対空砲が激しくて突破出来ないが。


「早く王級の枠を超えたトルネード弾を敵基地へお見舞いしてやりたいです」

「高度一万では我々も落とされかねないからな」


 

「我が国からオーガスに向かう時は速いのですが

戻る時はより時間が掛かるので敵も容易には攻めてこないと思いますが」       

 偏西風か、対地速度が違うんだな。

 そうなるとラインハルトのいる所に空港があると超便利という事か。


「工房を急かしても仕方ない。今は耐えるときだな」



 

 季節は三月に入り草も生えてきて気温も暖かくなってきた。


『チャンネルセーラです。本日は遂にシリウス自動車よりテスト期間半年の

試練を乗り越えた反重力エンジン搭載の新型のシリウス七型が発売されます

上昇高度三メートル、速度六十キロにして重量千二百キロまで耐えられる

スペシャルボディーですよ。お値段も黒金貨三枚と大変お買い得……』       


 セーラも参加しているプロジェクトが実を結んだようだな。

 何で民間は七型の名前を使えるんだろうな。


 

「兄貴、見てくださいよ。この青いボディ」

「何だ新発売の車を買ったのか?」


「リキに言っておいて予約しておいたんです」

「ノア兄、私も買ったのよ」

     

「ミーアはそろそろ出産だろう。大丈夫なのか?」

「平気よ、この子はおとなしい感じがするの。この車なんだけど振動が凄く

少ないの、馬車しか知らない人間には想像出来ないんじゃないかな」

   

「コンラートは買わなかったのか?」

「はい、うちは小型のクルーザーを買ったので」


 海の方が金持ちっていう感じはするな。


「乗ってみましょうよ」

   

「凄いじゃないか、十人は乗れるな」

「トラックタイプは牛の輸送も出来るんだって」

  

「では発進!」

  

 まるで旅客機が滑走路を動き出す時のように震動が感じられない

高さ三メートルからの景色は見晴らしがいいな。

  

「見てください、この車には衝突防止システムが搭載されていて

トラックに追突しそうになっても飛び越える優れものなんです」

  

「それに対向車も避けてくれるんだって」


 

「一つ聞いておきたいが練習はしたのか?」

「今日納車ですよ。出来る訳ないじゃないですか」


 降りたくなってきたな。


   

「スタンドで給油のついでに食事をしましょう」

「シリウス系列の店でお金を使うとポイントが溜まって

一万ポイントになるとエンジンの更新時に格安で載せ替えてくれるんです」


 俺達はポイント獲得の為の財布か。


「ちなみに一ポイント貯めるのにいくら必要なんだ?」

「銀貨一枚ですよ」

     

黒金貨十枚分も使えというのか。


「お姉さん、シリウスダブルバーガーを八個ね

それとチキンナゲットを四つとオレンジジュースも四つね」  


  

「はい、どうぞ」


「随分早いな」

「ここは隠れた人気店ですから」


 ベーコンと卵とレタスにトマトにチーズとハンバーグが二枚ずつか

第七食堂で作ったダブルバーガーより豪華だな。

   

「美味いじゃないか」

「でしょう、エクレールから南に十キロと交通量も多いし

味も最高なんで常に作り続けてるんですよ」

 

「ノア兄、シリウス製のワゴン車に乗ってるんでしょう。買い換えないの?」

 

「もう三年だから買い換えてもいいんだけどな」

「それじゃ私に任せてよ」


「ミーア、ずるいぞ、買い換え特典の紹介者への五千ポイントを狙ってるな?」

「いいじゃない、ノア兄は一応王様なんだし。お金持ちでしょう」

       

 一応はちょっと傷つくが、そろそろ買い換えてもいいか

リリーナも六人目を産むしな。


「出産祝いだな。ミーアに任せてみよう」

「やった! ありがとう」

「兄貴、甘いですよ」

「若様、アレス自動車もいい商品を出してますよ」


 アレシア自動車はアレス自動車に社名を変更したんだった。


「妹のセーラがシリウス以外は買うなってうるさいんだよ」

「さすがシリウスの開発担当ね」


 俺が株式発行数の六割を所持しているから

シリウスがお得なんだけどな。


「若様、シリウスはクルーザーも出してますよ」

「コンラート、お前も特典狙いかよ」


「特典をやっている所は何社くらいあるんだ?」

    

「そうね、シリウスとアレスが二大勢力で農耕機械大手のエンジェルに

大型車のミランと海のバベルの五社かしら」


「バベルも戦闘艇のエンジンの受注で復活したようですね」

「実際問題、全業種に進出しているシリウスかアレス航空とアレス鉄道を

抱えるアレスの二択になるのよね」

             

「シリウス航空とシリウス鉄道は長距離路線がないからな」

「でもブルームとベル工業地帯の定期便は上なのよね」

  

 エクレールの東のブルームと一大工業地帯となったベルか

空軍と海軍の部品を運んでいる実績が効いているようだな。


   

「兄貴、ここのホームセンターで買い物していきませんか?」

「ノア兄に高額商品を買わせてポイントを貯めるつもりね」


「せめてチャイルドシートだけでも……」


 それも大事だが七型戦闘機なら衝動買いするんだけどな。



   

「ノア様、東部戦線は万策尽きたといった感じですね」

「攻め込まれないだけ良しとしよう」

  

「航空写真で見る限りサントスには四十万以上の陸軍が

上陸している模様です。もって半年かと」


「援軍を送ってやりたいがそれも無理だな」

「総力戦になってしまいますね。そして今の空軍では負けるでしょう」


 食糧難の時も苦しかったが、五型を諦めて六型

それも諦めて七型もまだ出てこないか。


 ラライラちゃんの宣言した八型だとちょっと遅いんだよな。


「話は変わるがヨハンはシリウスの車に乗ってるのか?」

「いえ、私は遠くへ行く機会が多いのでアレス自動車ですが」


「そうなのか」

 ほんとに勢力を二分して競争してるんだな。


「ユニコーン王国の方はどうなってる?」

「我が国に来る船員は押し返していると言っていますが微妙な所です

衛生写真で観察した限りでは最前線が動いていません」


「サン王国も国力がありそうだな」

「困った物です」


  

            

 そして三月の終わりにリリーナが六人目の赤ちゃんを産んだ。

日本だったら早生まれだったな。

 

「また女の子でした」

「いいじゃないか、もう男の子は二人もいるんだ」


「そうですね」

    

名前はどうするか。

「良し、呼びやすい名前でマキとしよう」

「マキ・フリーダムですか? 元気な子になりそうです」


 

   

 そして三日後にまるでマキの誕生を待っていたかのように

七型が完成したという報告が来た。

  

「ダン、四年も待たせやがって」

「坊っちゃん、日本の技術にどうしても引っ張られてな

これが七型戦闘機だ!」


「三型に比べると一回り小さいわね」

「これでオーガスの新型機とやり合えるのか?」

「戦闘機しか見えませんが」

「攻撃機と爆撃機は別の所ですか?」

「これなら沢山積めそうですね」


 形は洗練されているが能力が問題だよな。


「いいか、これは空対空ミサイルに空対地と空対艦ミサイルにフレア弾も

搭載出来るマルチロールファイターだ。攻撃機は開発中だが

爆撃機は大型になるし空母搭載機から外す事にした」


「それじゃオーガス大陸に大規模空爆を出来ないじゃないか?」

「そこは空軍の運用次第だな」

     

「それでオーガスの新機種に勝てるのか?」


    

「聞いて驚け、魔道ターボファンエンジンでの速度は最大で時速二千キロ

最大上昇高度が一万七千メートルに航続距離が三千五百キロで九発の

ミサイルを積むか増設タンク三個を積むかは自由だ

それに安定の三十ミリ機関砲一門装備だ」


 双発エンジンから単発に変えたのか。    


       

「零型を超えたんじゃないのか?」

「やるじゃない」

「これで東部戦線を押し返せますね」

   

「正直な所、艦載機で最高速度は基本的にこの辺が限界だな

偵察機を作っているがこれ以上はロケットの領域だろう」


 敵の最新機種の時速千四百キロと高度一万四千メートルを超えてるな

制空権さえ奪還出来れば何とでもなる。



「あと三ヶ月早く欲しかったですね」

「今から生産すると戦闘大隊が出来るのが六月頃かしら」

「最低、四個戦闘大隊は欲しいな」

「敵の旧式は三千機以上となると生産競争ですね」


「二年前の旧式でも時速千キロを超えるというのが痛いですね」

「ダン、月産でどの程度作れる?」

    

「そうだな工房をフル回転したとして二百といった所か」

     

 一ヶ月で戦闘大隊が一つか。開発の遅れたツケを払うことになるな。

   

「イースタンの工房も七型の生産に回しましょう」

「それなら兵装システムを後付でいいなら三百以上はいけそうだな」

  

 超大国の本気を見せる時が来たようだな。


お読み頂きありがとうございます。


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