第八十一話:国内テロは断固処分だ
隣のガイア大陸も勇者様の活躍で平定目前の所でユキさんが抵抗組織
トレミーの牙を立ち上げてトレミー帝国の領土奪還に向けて立ち上がった。
勇者殿の主戦力はうちから出て行った人族至上主義の人間達のようだ
ユキさんも苦渋の選択だったようだが我が国に軍事支援の要請をしてきた。
「第一戦闘大隊から第四戦闘大隊は順次発進」
「第二、第三攻撃大隊は発進せよ」
「第四、第五爆撃大隊も発進せよ」
三月三日に遂にガイガ大陸への大規模侵攻の開始だ。
名目上はトレミー帝国の支援だが勇者様一行の排除が目的だ。
「しかし、勇者の正体がラルフ・ロードスター侯爵の息子とは参りましたね」
「フリーダムを見限って出て行ったと思ったらロアンで出世しているとはな」
「ヒンメル地方のイース教徒の影の最大の支援者です。イース教徒共々
派手に死んで頂きましょう」
「それもしても三型は増産はしないんだな」
「はい、ダンが六型を待てとうるさいんですよ」
もうラライラちゃんの作る予定の八型でも良くなってきたな。
敵も奮闘したが空母が南部に展開を開始した二週間後には飛行艇が全滅
その十日後にはトレミーの牙も正規軍として陸上部隊五万を南部に派遣
事実上のガイア大陸の統一だ。
「ノア兄、どうしてもガイアは取らないの?」
「今は国内景気が最高潮なんだよ。六年以上も戦争していたガイアなんて
抱えたら食べるのがやっとの生活に逆戻りだよ」
「ミーア、ミラン大陸もやっと農耕機械が導入された所だよ
編入するならノルト大陸が先だね」
「ノア兄とヨハンがそう言うなら仕方ないわね」
ユキさんは息子に旦那と同じミュラーと名付けたようだし
当分の間は女王制で行くんだろうな。
大陸統一の支援をフリーダムが手伝った事はガイア大陸でも認知されている。
あとはガイア大陸の人間の運次第だな。
そして三月の終わりにトレミー帝国は帝国の名前は縁起が悪いとして
ガイア王国と国名を変えて西大陸を統一。
「ノア様、ノルト大陸が降伏してきました」
「うちはノルトとは戦争していないぞ」
「ガイア南部の三カ国の悲惨な最期を見てフリーダムに恐れを成したようです」
「ヒルダ、素直に受け入れるのか?」
「我が国の譲歩案を蹴った相手です。軍の解散と軍人の民間への再就職を
成し遂げた場合に限り編入を認めるのが妥当ですね」
ヒルダは相変わらずシビアだがそれも仕方ない
二十万もの旧式の陸上部隊を受け入れる余裕はない。
それにノルトの警備をノルトの軍人だけに任せるのも不安だ。
「わかった、その案で問題ないだろう。付け加えるなら鍛冶職人の
受け入れだけは先に行おう」
「わかりました」
ノルトの製造技術は高いので早めに役だって欲しい。
ノルト大陸を統合すると三大陸か。
「ノア様、輸送船の報告ではサントスが押されているようです
既に戦線を北に二百キロ以上押し上げられオーガス王国軍の戦闘機に
南半分の制空権を取られたようです」
「それじゃサントス軍も後が無いな」
「はい、敵の戦闘機は時速六百キロを優に超えている模様です
我が国のルッツ型以上と思って良いでしょう」
ルッツ型は時速六百キロが限界だ。ノーラ姉さんが結婚した時だから
すでに五年前の機体になる。
「そうなると三型の攻撃機も狙われそうだな」
「爆撃機は上空へ逃げられますが攻撃機はきつそうですね」
ライオネル君はさすがに転生者だけあって飛行艇の増産はしないで
戦闘機に力を入れてきたか。
「東の島には三型戦闘機のみを配備しよう。ルッツ型は本土の警備に回そう」
ルッツ型も練習機になる運命か。
空母も八隻の状態だし、三型も増産されていないから東は大変そうだな。
そして四月一日に初のロケット打ち上げだ。
気象衛星という事になっているが通信衛星や軍事衛星もテストの名目で
打ち上げることになっている。
「あれが星まで届くの?」
「月までじゃないかな?」
「あれはこの星の空気の無くなった所まで行くだけだよ」
「面倒なことをするのね」
「ルーカス一号発射一分前、動力始動」
「電気、エンジン共に問題なし」
「発射十秒前、八、七、六、五、四、三、二、一、発射」
「エンジン点火」
「何、この轟音は?」
「スカートがめくれます」
「高度五百、……千、更に上昇……」
「もう見えなくなっちゃったわね」
「「「「「成功だ」」」」」
「ノア様、おめでとうございます」
「ヨハンも仕事が増えるな」
「覚悟の上です」
『こちらはアリスTVです、ただ今ルーカス一号が宇宙に向かって打ち上げ
られました。これでフリーダムでは無用に傘を持ち歩く必要がなくなり
高高度からの衛星通信も来年から開始されるとの事です……』
さて、本命の衛星も数日の内に打ち上がるだろうし
のんびりするか。
「みんな折角、東のイースタンまで来たんだ何かしたい事はあるか?」
「海水浴には早いしどうしようか?」
「ここまで来たんだしみんなでアレシアに行ってみない?」
「いいですね」
「悪くないわ」
「マルコ達は話があるみたいだし俺達だけで行くか」
「よし、王都アレシア観光にするか」
「みんな行くぞ」
「楽しみね」
アレシアといえどイースタンまで来れば後は南下するだけだ
アレス航空の機体なら五時間もかからない。
「最後に見た荒廃したアレシアとは比べものにならないわね」
「キングダムに攻め込んだときもアレシアには寄りませんでしたからね」
「王立学院が残ってるわよ」
「今は王立第十五学院なのね」
中はそんなに変わってないんだな。
「ここは第五キッチンね」
「第七食堂研究部の募集ポスターだぞ!」
「復活させた学院生がいるのね」
「部員総数が四十五名だって、大躍進じゃない」
「ここがノア様達の創設したクラブですか?」
「そうだぞ、アイラ、ここが俺達の原点だ」
「ハンバーガーを作ってた頃を思い出しますね」
「週に二回もよくやってたと思うよ」
それから学内見物をした後に省庁の施設となった旧王城を見てから食事だ。
「十二名様でよろしいですか?」
「はい」
「奥の座敷へどうぞ」
「ここって料亭というやつかな?」
「そうじゃないか」
「何にする?」
「よくわからないな」
「この春のお勧め御膳でいいんじゃないか?」
「そうね」
「春のお勧め御膳を十二人前お願いします」
「かしこまりました」
「俺には満腹亭の方が合うな」
「リキ、夜もエクレールに直行便を出せよ」
「遠距離都市間の飛行は一日一便が限界ですよ
三十九都市もあるんですよ」
「それじゃあ長距離便が毎日三十八便も出てるのか?」
「それもないですね。百万都市以外はバベル経由になりますね」
「バベルは大儲けね」
国営だから大儲けではないな。
そういえば爺ちゃんは元気かな?
「お待たせしました」
「これってタケノコ?」
「味が薄いですね」
「牛肉も薄いですよ」
「魚も薄味です」
「これで一人前が金貨三枚なんて信じられないわ」
それから四品ほど出たが味が薄い料理が多かった。高級志向は
悪くないがお客に合わせて味付けを考えてもらいたいものだ。
「アルタイルの人って薄味になったんですかね?」
「戦争続きで味覚が落ちたんじゃないの?」
「健康ブームってやつでしょうかね」
「美味しい物を食べられないって可愛そうね」
「満腹亭なら銀貨二枚あれば大満足だけどな」
そして俺達は翌日の飛行機でエクレールへ戻った。
「なんか怠いな、コンラート、航空機をもっと速く出来ないのか?」
「ヤン、わたしの管轄じゃないよ」
「それじゃリキか?」
「管轄はそうだけど開発はデニスだよ」
「八時間以上乗ってると翌日に怠くなるな」
「わたしも座席が狭く感じたな」
「機内の広い新型はハインツ様がバベル経由に回しているそうですよ」
「お爺さまの政策か」
「もうハインツ様も六十才でしょう。頑張りますね」
「そうだな」
「それより満腹亭に行こうぜ」
ヤンは食うのが好きだな。俺も好きな方だけどな。
「人がかなりいますね」
「三号店に行った方が良かったかな?」
「ヤン、臨時休業らしいぞ」
「店の前に食中毒を出して臨時休業とありますね」
「あの親父が中毒なんて出すかな?」
「どこが調べてるんだ?」
「封鎖しているのが陸軍で内務と加工の共同で調べているようですね」
内務省と加工省か、そうなると加工した加工省も調べられているのか?
それから半月に渡って四千五百件以上の中毒事件が続いたが原因不明で
迷宮入りしそうな所でヒルダが来た。
「ノア様、残念ながらガイアの工作員の仕業の模様です」
「毒か?」
「砂糖の加工の際に一部に薬を塗っていたようです。陸軍が拠点を強襲して
犯人グループ十八名のみ生きて捕らえましたが全てガイア出身の外国人です」
砂糖に細工してきたか、瓶詰めされたら判らないからな。
「残りは?」
「十八拠点の全てにいた人間は射殺しました。構成員は全て合わせると
五百人以上いた模様でガイア王国のサインの入った指示書も見つかりました」
ガイアめ、甘やかしておけばテロに走るとは。
「ヨハン、居るか?」
「どうしました?」
「今回の一連の中毒騒ぎはガイアの仕業だ。お礼を贈らねばならない」
「兄貴、ガツンとやってやりましょう」
「子供も六十人も死んでいるのよ」
「一昨日の段階で死亡数は六千五百名を超えています」
「コンラート、ガイア軍の数は?」
「推定ですが百二十万以上かと」
折角、独立を支援してやったと言うのに。
許せん、神が許しても俺が許さん。うちの子供が食ってたらどうしてくれる。
「コンラート六個戦闘大隊と四個攻撃大隊に
六個個爆撃大隊で軍施設を中心に焼き払え」
「了解」
魔王、上等じゃないか。
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