表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/145

第八十話:核兵器は禁止のようだ


 困ったことに日本の快進撃は留まることを知らず

十一月にはサン大陸の北部を完全に占領。そして十二月には

遂に武器が切れたのか大型破壊爆弾を使うと宣言した。


「ヨハン、日本に行っている全ての国民を呼び戻せ」


「大型破壊爆弾の一件ですか?」

「そうだ、あれは絶対使ってはいけない兵器だ。日本とは国交を絶つ」


「わかりました」


ついに日本も狂ってしまったか?


 今年の米の収穫量は南部米が少々減って九千万トンに新領土で

フリーダム米が三億八千万トンと伸びを見せて

本国も去年を上回る一億四千万トンだ。  

 

 合計で去年よりも一億トンも増えている。

      


 そして二週間後の十二月八日に狙ったのか偶然なのかは判らないが

サン大陸の十二都市に核爆弾を投下すると宣言。


 勧告された方は意味もわからずに戦争を継続したようだ。


  

「サン大陸も災難ですね」

「私達が援助したと思うと気が重いよ」



『ガタガタガタパリーン、パリーン』

   

「何だ、また大規模な地揺れか?」

「ノア様、机の下に隠れてください」



 

 意識を失っていたのか、また南西部で地震か?


「ヨハン、大丈夫か?」

「はい、なんとか」


「滑走路の様子を確認して問題無いようなら空から偵察してくれ

震源地が知りたい。それとミラン以外に向かった輸送船を一旦呼び戻してくれ」

「わかりました」



 それから三日で判ったことは当国に来ていた日本からの移民が消えたと

いう事と日本が無くなっていたという輸送船からの報告だけだ。


「地揺れによる我が国の被害は?」

「負傷者はかなり出た物の死者は無しで津波や建物の崩壊もありません」


 日本が再びどこかに転移した影響で時空震でも起きたのだろうか?



 

 神の天罰…………そんな事はないよな。



 大騒動にはなったが日本から買い取った近代的な機械と

技術者の身につけた技術だけは我々に残った。



 情報を整理するのに三日かかったが、国の運営方針を決めなくてはならない。


「空軍の報告では問題ないようです」


「東のサントスとの貿易は再開、西大陸は民間の船が上手く儲けてるようだし   新年からで良いだろう。ノルト大陸とも貿易再開だな」


「わかりました」

「ノア兄、ノルト大陸を乗っ取っちゃえば?」


「ミラン大陸でもやっと大きな街の間だけレールを通した段階だ

とても他の大陸の面倒を見ている余裕がないよ」


「それじゃ西のガイア大陸も無理ね」

「人が多くて中央に砂漠があっては開発が大変だ」


      

 折角追い出した反フリーダムの人間や獣人排斥運動の連中を抱えて

どうするつもりだ。あいつらから出て行ってくれたんだ

もう会いたくないというのが俺の本音だ。


 西大陸では頑張って戦っているようなので

どこの誰かは知らないが健闘を祈ろう。



「しかし、最近は随分と商会が増えたな」

「西の新皇帝様はかなり金払いがいいそうですよ」


「商人が金を使えば景気も良くなるし悪くは無いな」


     

「若様、ここが満腹亭の三号店ですよ」

「二号店までは寄った事があるが遂に三号店もオープンか」


「来年の春には新領土にも店を出すつもりらしいですよ」

「儲かっているようで結構だな」


 三号店オープン記念特価か。


「お姉さん、トリプルチャーシューの全部入り大盛りのとんこつを三人前ね」

「醤油、味噌、塩に加えてとんこつか」


「三号店は塩味がなくてとんこつがあるんですよ」

  

「おまちどうさま」

「随分と早いな」

「とんこつは麺固めなんで早いみたいですね」


「中々いけるな」

「冬はラーメンですよね」

「塩も美味いんですが、全部入りがないのが辛いですよ」


    

「しかし、若い人間が多いな」

「何でも金のある奴はレストランとか料亭とかいう高級店で食事をするのが

流行だそうです」


 金を持つと高級志向になるものなのか。


「ニコが去年から導入した稲作用のアレス鴨がこの時期は食べ頃だそうです」

「金持ち連中の話だと美味いと噂らしいね」

 

 

 稲作で使ってる合鴨の事か、夏まで働いて飼料を与えて食べるんだったな。


「お前達も食べてみればいいじゃないか?」

「高級店に流れるんで入りずらいんですよ」


「そういうもんか」


    

 昼間にヤンたちと話していたと思えば夕飯はアレス鴨か。

           

「ノア、ルーカスにもそろそろ教育係をつける頃ね」

「母さん、来年でまだ五才ですよ」

「幼稚園では友達は出来るけど勉強はほとんど教えていないわ

将来国王になるなら教育は必要よ」


「あなた、わたしも遊んでばかりではいけないと思います」

   

「母さんとリリーナが同意見なら考えておきましょう」


「先生がくるの?」

「男の先生と女の先生のどっちがいい?」

「女の優しい先生」


「クレアも優しい先生」


 優しい先生か、俺がヨハンと出会ったのも五才の時か。担当執事だったな

ヨハンにも同じ年の息子がいるし一度会ってみるか。


       

 さて、なんて切り出すか。『お前の息子を私の息子の執事に』か。


「若様、ユニコーン王国の輸送船が大量に押し寄せているようです

なんでも輸送が止まっているのは契約違反ではないのかと言っております」


「船員に異常は見当たらないのか?」

「普通のようですし爆弾も落ちてこなかったようです

逆に少々壊れた日本の輸送機を手に入れたと喜んでいるようです」

                  

 核爆弾は不発に終わったのか?

神様、納得できる説明してくれよ。


 

「わかった、お詫びに三万トンを無償で提供してくれ

ユニコーン王国とも貿易再開だ」


「わかりました」


日本が核爆弾程度の制作に失敗するとは思えない。

 この世界の管理者に取っては核爆弾は許せない兵器に該当するのか?



  

「ノア様、ガイア大陸では勇者が現れてガイアを統一すると噂になって

いるようです。四カ国のどこにも所属しない解放軍が

既に五十万以上に膨れ上がっている模様です」


 切り替えないとな。

  

「勇者様ね、そんなに勢力を伸ばしているのか?」

「はい、既に疲弊したロアンとトレミー帝国はほぼ吸収されており

砂漠を越えて南の三カ国を攻めている模様です」


 戦争で疲弊した所に強者が現れれば勇者と呼ばれてもおかしくないか

それにしても疲弊した二カ国を一瞬のうちに統合するとは頭がいい」


「勇者様の主な戦力は分かるか?」

「防御強化済みの飛行艇が七十隻程度と推測されます」

             

「よく新型の飛行艇がそんなに残っていたな?」

「どうも元は技術畑の人間のようで飛行艇の数を誤魔化して

報告していたようです」


「わかった、しばらくは様子を見てみよう」


 

    

 大雨で新年会は中止になり、俺も遂に二十歳だ。

ついに五型は一機も出来なかったな。


「ヒルダ、自動車税の方がどうだ?」


「順調です。電気、ハイブリッド、バイオ燃料、ガソリン、ディーゼルと

自動車税を電気を一番軽くしたのですがディーゼルとガソリン車の

人気が非常に高いのが残念です」

     

「来月からは自動車メーカーに製造と販売は委託だ。彼らに期待しよう」

「それも不安材料です。国外に売られたら軍用に転用されかねません」


「資本金が海金貨二千枚以上の大企業ばかりだ

それに重大違反は自動車業界全体の連帯責任だ

どこの会社も潰されるのは嫌だろう。相互に監視してもらおう」


 

 遂に民間の大会社が出来るが商業の発展無くして国の運営はままならない

商会も企業として数十社が名乗りを上げている状態だ。


      

「兄貴、シリウス自動車とアレシア自動車とバベル自動車のどれがいいか

悩みますね」

「ヤンは自動車を買うのか?」


「子供も出来ましたし広めのワゴン車を買おうって嫁が言うんですよ」


「子供がいるならお勧めはアレシア六式のハイブリッドタイプだな」

「でも秋には反重力エンジン搭載の新車種が出るんですよね」


「当分の間は大型車は無理だぞ。それに高い」

          

 価格はシリウスの方が高いが燃費が良い。すぐにシリウスが巻き返すだろう。


 うちも子供が五人だ。お迎え用以外にも必要か?   



 そしてガイア大陸にも国で輸出を開始したが価格はかなり下がり気味だ。

 

「民間企業が競争して米一トンで金貨二枚と銀貨二枚まで下げていたので

我らは金貨二枚まで下げざるを得ませんでした」 


昔は金貨二枚だった、それほど悪い取引ではないな。

 

「それは仕方ないな。ヨハン、家の様子はどうだ?」

「はい、毎朝、家族総出で見送りしてくれます。それでやる気満々になります」

 

 子供の事は数年後だな。


「ヨハンの長女は今年は成人の儀だろう?」

「はい、一年早いですが学院に通わせようと考えています」


「早い子は六才で通い始めているからな」


 六才で学院に通い始めて九才で技術大学院へ進むというのが

一般家庭でのエリートコースとされている。

 

 うちのルーカスは技術大学院に行かれては困るので二年制の大学院に

通って内政の勉強をして貰わないとな。


     

 さて会議だな。

  

「ノア様、郵便事業は既に大商会の方が料金が安いので撤退するとして

要望が高いのは銀行業務とテレビ産業への参入ですね」


「テレビは良いとして銀行は倒産したら暴動になるぞ」


「最初は資本金を海金貨五千枚以上の企業に限定して

その半分をアレス銀行に預けさせましょう」


「国税からも監査員を送るので脱税の心配は少ないかと」

「ミラン大陸の銀行業務を任せられるのは大きいですよ」

「あそこはまだまだ開発途上だからな」

「その分、旨みも大きいみたいね」


「よし、自動車と郵便に国内限定の配送便に銀行とテレビ事業は

民間に任せよう」


「わかりました」



 既にガス事業にガソリン事業も民間任せだ。穀物を中心にした海外取引も    

半分は黙認状態。処刑だけはさせないで欲しいが。



お読み頂きありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ