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第七十話:ラライラちゃんも遂に進学


 トレミー大陸を含む六カ国の戦争を横目に遂に新年だが難民が多いため

アピールを兼ねて新年会は中止で既に一月も中旬だ。


 今日はルーカスの目覚めの儀の日だ。

 まだ二才と六ヶ月だが新年で年を加算するから仕方ない。


「若君、今日は一緒ですね」

「ノア様、うちも今日なんですよ」


「三才児は大勢いるからな」


     

俺もお楽しみを取っておくために鑑定で見てないから

結果はわからないし王級なら問題ないだろう。 


辺境伯家の時も思ったがなんで順番が遅いんだろうな。


「うちは特級の加護が最高でした」

「デニス、気にするな」


   

「ルーカス・フリーダム」


「はい」


 うちも特級くらいか。

   

「女神ヘカテーよ、この者の道を示し給え。血の道を示せ」

     

――――――――――

    

 名前:ルーカス・フリーダム

 年齢:三才

 種族性別:人族:男

 所属:フリーダム王国

賞罰:無し


 加護:ヘカテーの加護(神話級)

  :アテナの加護(神話級)

:イシュタルの加護(神話級)(創造級)


――――――――――


 うちが災害がなくて豊作続きだったのは俺のお陰じゃなくてルーカスのお陰

だったのか。ヘカテーの加護にアテナの加護にイシュタルの加護は

俺の二つ上か。


  

「パパ、どうだった?」

「凄いぞ、イシュタルの加護はパパ以上だ」


「褒めて貰って嬉しい」


 ヘルミーナの教育がいいのか。ルーカスの成長が早いのか簡単な会話なら

既に可能の状態だ。



「ノア様、如何でした?」

「ルーカスはイシュタルの加護が神話級だったよ」


「素晴らしいです。農民がルーカス様のお陰と言っていたのは

本当だったんですね。これで今年も豊作間違い無しです」


「そうですね、目覚めの儀式の後に加護の力は影響範囲を拡大すると

言いますし役職だけですが農業大臣という職を与えては如何でしょう?」

       

「名前だけなら問題無いだろう」


   

「ノア様、うちの子はヘカテーの加護が神話級でした

ルーカス様をお守りする役目を受け継げるかと思われます」

   

「おめでとう、ヨハンの子供に宰相を務めて貰うのが一番だろう」

「私達の年齢を考えれば三十年は先の話よ」


「わたしは四十才から四十五才の間で引退するつもりだよ」

「そうなの?」


「わたしは孫が正式な職に就くまでは頑張るつもりですよ」

「それだと五十才まで現役だぞ」


「それも良いかもしれませんね」

    


    

目覚めの儀も終わり政務開始だ。


「兄貴、新年会をやらないと新年になった気がしませんね」

「新年会は目立つからな。難民は一食で昼はイシュタル芋だけだぞ」


「最近じゃ大盛りは別料金に加えてお替わりで銅貨五枚ですよ」


 お替わりで百アルか随分するんだな。


「あと九ヶ月の辛抱だ」


「それはいいとして、ユキって自分で言うほど強くないですよ」

「そうなのか?」

「兄貴が自分と同じ位って言ってたから戦局をひっくり返すと思って

いたんですけど、俺が三人居れば互角といった感じでした」


 ユキさんが転生者なのは間違いないが、強い方じゃなかったのか?

 そうなると生きているのはラインハルトが保護している双子の片割れと

オーガスの宰相にどこかにもう1人だけ強い転生者の男がいるという事か。


 サザーランド宰相君が実は強いという事もあり得るか。


「兄貴、何を考え込んでるんですか?」


「悪い、それでトレミー帝国はどんな様子だ?」


「二週間前に南の四カ国が同盟を組んで北方大陸に攻め込んだようです

トレミーには北に兵を割く余裕は無いようなのでユキさんが

出てきたんですが、精々が一流の魔法師といった感じでした」


「砂漠での対陣を嫌って北方大陸に兵を出したか」

 

「賢明ですね。トレミーの陸上部隊は百万以上です。飛行艇はまだまだ改善の

余地がありますが陸上部隊の装備はうちより一段劣る程度でした」


「飛行艇のロアンに対空砲のトレミーか。この戦争は長引くな」

「俺もそう思います」



      

 そして三日後にはダンが来たので、遂に年始早々に四型かと思ったが

要件は別だった。


「坊っちゃん、南部でチタンと様々な鉱脈が発見された

すぐに大規模な採掘を手配してくれ」


「構わないが。ノルト大陸からのボーキサイトで何とかなるんじゃないのか?」

「ジュラルミンも必要だがチタンなんかも必要になってきた

とにかく機械製品は原料次第だからな」


「わかった、至急手配しよう」

「四型は当分は待ってくれ?」

「問題点があるのか?」

  

「そうだな……速度が一定以上になると希にエンジンが停止するんだが

原因がわからん。それに坊っちゃんの持ってきた飛行艇を一撃で破壊出来る

武装も検討中だ」


「気長に待ってるから頑張ってくれ」


「要求されていたトラクターは月末には納品可能でコンバインも四ヶ月後には

納品可能だ」

「それは助かる」


 まだ炭素繊維までは行っていないようだが加工に難があるから仕方ない

ボーイング747程度の大きさの航空機が欲しいんだが。


 

                             

 ダンは工房を離れられないのですぐに戻り政務再開だ。


 ダンの置いていった資料を見ると息子の貢献が大きいとあるな

強い加護の持ち主なんだろうか?


 それに超長距離大型爆撃機の開発か、きっと戦略爆撃機の話を聞いて

技術者魂に火が着いたんだろう。  


「ノア様、よろしいでしょうか?」

「ヒルダ、構わないよ」


「トレミー帝国との取引を為替を中止して金貨と白金貨のみの取引に

変更しました」


「それはトレミーが危ないという事かな?」

 

「はい、金貨と白金貨は溶かしても大損するような事はありませんが、星金貨

以上は元が取れません。既に南部で白金やブラックペッパーも取れるので

そろそろトレミーとの付き合い方も考え直す必要性があります」


 トレミーを見捨ててもロアンはうちを恨んでいそうだしな

他の四カ国では西大陸は治めきれないだろう。


「わかった。みんなと検討してみよう」


「それと思った以上にベルを中心とする工業地帯に人員を取られています

見込みのありそうな難民を二百万程度をベルへ送って頂けないかと」


「構わないよ。人選はデニスに任せよう」

    

「それと王城を建設する資金は確保出来ましたし、今なら労働力も豊富です

王都をどこにするか決まりましたか?」


 そんなに溜め込んでるのか。やり繰り上手さんだな。


「ここが天災で半壊するような事が無い限りエクレールが王都でいいよ」

「それですと王城を築く土地がありませんがよろしいのですか?」


「既にビル建築が進んでいるし王城は権威の象徴だけど

もう城は必要のない時代なのかも知れない」


「ノア様のお気持ちは理解しました。それではエクレールの更なる拡張と

癪ですが陸海空の研究開発費を増額しましょう」


「ヒルダが予算の要だからね。期待してるよ」



 翌日は久々にラライラちゃんのところに遊びに行くことになった。


「ラライラちゃん、羊がいないね」

「去年生まれた子羊と一緒にお爺ちゃんが全部売っちゃったの」

「ひでえ事をするな」

「まったくね」

         

「これからは牛の世話をするの?」

「わたしは今年の十一月から技術大学院に入学する予定だから

今は勉強中なの」


 技術大学院というと機械技術の最先端の技術を教え込む

二年制の大学院の事か。


「ラライラ、学院は?」

「週末学校に行ってるから。八月には卒業です」


 初めてあったのが六才の時だから既に二年で八才で大学院へ進学とは

かなり優秀なんだな。


「ラライラちゃんも将来は工房の研究員か。寂しくなるな」

「わたしが八型戦闘機を開発してあげるよ」


「ラライラも戦闘機の分野に進むのか? あそこは競争率が

五十倍以上らしいぞ。それに休みがほとんどない」

「今だって休みはないよ」


「ヤン、お前も見習えよ」

「休暇のない人生なんて生きてる意味がないじゃないですか」


 それはそうなんだが。

畜産は新領土へ移行して行く事になるのか。


「しかし、絞りたての牛のミルクは最高ですね」

「畜産農家の特典の一つだからな」


   

 ラライラちゃんの家をお暇して帰宅だ。


「しかし、技術大学院って毎日八時限も授業があるんですよね」

「ああ、朝の八時半から夕方の六時まで授業だ」

「ラライラで大丈夫ですか?」

  

「成人の儀が終わっている人間なら試験結果で入学は可能だ

大学院より遙かに厳しいが技術大学院の就職率は十割を割った事がないしな」


「お給料も班長で海金貨で二枚半でしょう。高給取りよね」

「それだけに競争率も高いし身元調査も念入りだ」


「ノーラ様の親戚なら問題ないでしょう」

「そうだな」


 姉さんは元気にしてるかな

海の側の家に住んでるから滅多に会えないんだよな。


 

 

 翌日からはトラックとトラクターの輸送開始だ。


「古いのを送るんですね」

「新しいトラクターを買う金は無さそうだからな」

「これでもアレス黒金貨二枚分ですよ」

「中古でも高いんだな」

 

「まだまだ貴重だからな」


「若様、まずは船で東のマイセンと西のマーチに運びます

マーチからは鉄道でバベルへ運び、そこから川を使って南部ですね」


「エンジェルの街へはいいのか?」

「あそこまで輸送船を使うと戻ってくるのに時間がかかりますので

エンジェル方面へはアレス鉄道で運びます」


「レールの幅の改修は済んだのか?」

「はい、初めは幅が広いのでレールを一本引いてみて実験したのですが

摩擦が違うのか脱線事故が起きたので全面改修しました」


「やはり北のエクレールが王都だと大陸を治めるのには遠すぎるか?」

「いえ、新領土ではフリーダムに完全に従わない人間も多いので

高性能の機械の研究開発と製造はこのまま本国で行った方が安全でしょう」

            

「わかった、輸送を頼むよ」

「わかりました」



 そろそろ排ガスも多少は規制しないと不味いかな。

 


お読み頂きありがとうございます。


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