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第六十二話:快進撃


 七月一日に侵攻を開始したフリーダム王国軍は翌日にはサントス王国軍へ

攻撃を開始して俺は既にルミエールの南を南下中の

ノア型空母の六番艦で仕事中だ。


 輸送船が多すぎるな、もし西大陸に挟撃されたら撤退だぞ。


 

「報告ですと帝都は三十万の陸上部隊に包囲されている模様で

陸上侵攻部隊は南の海岸まで七百キロの場所まで侵攻したようです」


「帝都は燃えちゃうかな?」

「皇帝陛下様のお気持ち次第かと」


 どうやら敵は俺達の総戦力までは知らなかったようだ

多分、兵数が少ないので攻めてくるにしてもバルバロッサが崩壊してから

来ると読んでいたようで陸上部隊をまともに配置していない状態だ。



「第八戦闘大隊帰還しました」

「すぐに燃料と弾薬の補給をパイロットは二時間の強制睡眠だ」

「了解」


 第八戦闘大隊と言っても三型戦闘機隊が二百機もいるから

実質的には二割しか帰還していない。 

   

 艦隊に空母と空中給油機が必須だという理由を痛感するな。



 それから二回に渡り補給を繰り返し攻撃の後に全速で南下して

夜を迎える。



  

 今日は小雨とはいえ雨か、パイロットは勿論だが航空要員が大変だ。


「デカ物が来たぞ。気合い入れて三十分で空に押し上げろ」

「「「了解」」」


デカ物こと三式巨大ヘリだ。

こいつは役にも立つが燃料を入れるだけで二十分かかる化け物ヘリだ。

 それが二台だ。


 ちなみに二式が正式だが改良を加えてあるので三式に統一したらしい。


 

「補給感謝する。離陸」

「「離陸よし」」

「足の速い部隊を叩いて来いよ」

  

「任せておけ」



 七月四日にはもしかしたらマーチさんの分家の領有していた港を

通過していた。


 既にここを含む北部は十四型の活躍で制圧が終わっている。


  

「線路は帝都まで残っておりますが蒸気車両がありません」

「よし、デカ物から魔道機関車を降ろして牽引させろ」

 

「了解」


 

「サントス軍の戦闘機部隊が来ないね」

「既に帝都と南部と東部に戦力を集中しているようです

西部は捨てるつもりでしょう」


「どこまで南下する?」

「帝都バベルの西南西といった所でしょうか

四番艦と五番艦はそのまま南下しますので、それ以上は南下出来ませんね」


      

 そして七月七日には予定海域に到着したので二隻の空母とはお別れだ

俺達は空母一隻と重巡洋艦一隻と軽巡洋艦二隻で待機だ。


 

 

「第八戦闘大隊が敵戦闘機隊三百と交戦に入ったと報告です」

「第九戦闘大隊はどうした?」

        

「現在、現場へ急行中です。十分で着きます」


 

「二百対三百か、分が悪いか?」

「第八はパイロットの練度だけならフリーダムで一番ですよ」


 初の空戦と言っても良いから

模擬戦での力を発揮できるかだな。


      

「仮設滑走路が完成しました」

「まずは給油機を降ろせ」

「了解」



「東に二百二十キロ地点にある空港を占拠したと報告です」

「第十三攻撃機隊を向かわせろ」

「了解です」


 現在の六番艦の直接指揮下にある部隊は第八戦闘大隊の二百機と

第十三攻撃大隊の百機だけだ。他にヘリと給油機があるが基本的には

戦闘機扱いではない。


 

    

 そして明けて八日は陸上部隊の兵六十万が帝都バベルに向かって進軍だ

既に制空権と制海権は完全にうちの物だ。


 心配していた西大陸の飛行艇もいないので作戦が進む。



「第十及び第十一戦闘大隊も昨日の夕方に戦闘に入り勝利したとの事です」

「敵はどの程度だったか聞いているか?」

     

「敵数は五百以上と報告にあります」


 爆撃機がどの程度含まれているかだな。

 敵は常に我々より数を多く出してくるな。転移魔法の使い手か?          


その日の午後にジュノー大陸の古参の国家が無条件降伏したという

報告が入った。 


「バルバロッサがあと三日持ってくれれば作戦通りだったのに」

「残念ですが仕方ありません。最悪はバベルもろとも葬りましょう」


 結局、防衛都市と言われたバベルでも数の前には落ちる運命だったか。


  

翌九日に東部方面から航空機をリレーして東部方面での初戦闘の報告が来た

敵は既に増援を送っており、その数はおよそ戦闘機だけで千四百機以上で

爆撃機は六百機程度らしい。更には飛行艇が五十隻だ。


「大部隊ですね。大艦隊と言った方がよろしいでしょうか?」

「ラウスの南の空港を占領した後で良かったよ

それじゃなかったら補給が追いつかなかったよ」


「東部方面艦隊には第二十から第二十四戦闘大隊の三型戦闘機八百機が

ついていますし、零型も二十機いますので切り抜けてくれるでしょう」


「こうなると東部方面は旧エクレール辺りで留まる事になるね」

「そうですね、東部の陸上兵力は正規兵二万と予備兵八万だけですから」


 決戦はジュノー大陸の南東部になるのか。


          


翌十日には攻撃隊と爆撃隊が敵の装甲部隊と交戦

八時間の激戦の末に勝利を治めたようだ。敵には対空砲を重視する傾向が

少ないようだ。東大陸は飛行艇の性能がこちらより上だったんだろうか?


「第十三攻撃大隊から着艦要請です」

「順次着艦。破損のある機体は左の輸送船に回せ」

「了解です」


      

 今日はここで終わりか、明日はそろそろ陸上部隊でも足が速いのは

帝都近くまで進むか。



「閣下、潜水艦です、方位三時の方向で距離はおよそ二十キロで数は十六隻

前後です」


「機関最大取り舵一杯。上空待機中で対潜装備の部隊は現場に急行せよ

燃料が三割以上残っているトルネード弾を持つ部隊も迎え。対潜戦闘用意」

       

「対潜戦闘用意」

 

「対潜魚雷に座標入力」


「敵の魚雷発射音を確認」

「デコイ、緊急射出。ヘリに魚雷の雷跡を捜索させろ」

  

「了解……デコイ、一番射出。ヘリ部隊へ魚雷の雷跡を追尾し

補足次第攻撃せよ」


 ちょっと不味いか、一発は食らうか。

 

  

「敵潜のデーター入力完了」

「撃ち方始め」


「三番から六番まで魚雷発射」


 これは揺れるな。転覆だけは勘弁してくれよ。


「一番、二番魚雷発射」


 後は待つのみか。



「攻撃隊の部隊が敵潜を発見。爆雷攻撃を開始しました」

   

「敵に爆雷命中」

「敵の飛行艇が南西より接近、距離は二百キロです。数は六機前後」


「空いてる戦闘機隊を上げろ」

「第八戦闘大隊、第四中隊発艦せよ」


 

「魚雷十二発来ます」

「右舷、違う、左舷ガトリング砲全門で狙え」


    

「一発が本艦に直撃コースです」

「全乗組員に告ぐ、何かにしがみつけ」


「軽巡二番艦が間に入りました」


「軽巡二番艦、後部に被弾しました」

「放水準備」


「放水準備良し、軽巡の後部に回り込んでください」

「回避運動中止、当艦は救護に向かう」

      

     

その後に全潜水艦の撃沈報告が来た。

 敵の潜水艦は震度百五十メートル程度しか潜れなかったようだ。


 飛行艇も撃破したが。軽巡の乗組員二十二名が死亡

負傷者が七十五名だった。


 

 

 翌十一日は大雨の為に腕利きの戦闘機乗りのみが上空の護衛で

空港にいる第九戦闘隊にお任せだ。   



「軽巡は沈みませんでしたが十日は港で緊急修理ですね

防御の点で不安が残りますね」


「二十二名もの熟練兵を失ったのを教訓にすべきだろう

あの港、臨時でマーチ港でいいだろう。あの周辺まで北上しよう」


「そうなると四番艦との距離が離れますが」

「四番艦と五番艦も北へ少し下げよう。まだ占領した空港は四番艦の近くだ」


「南部侵攻が遅れますが仕方ありませんね」

「しかし、潜水艦は厄介だな」

「哨戒網を今日から三倍にしましたよ」


 

  

       

昨日は一日中雨だったので、また魔法師の仕業かと疑ったが

翌日の六時には雨も上がった。

  

「バベル侵攻中の陸上部隊より報告です。バベルの東二十キロまでを制圧

バベルの東には六十万を超える敵兵を確認とあります」


「少なく見ても六十万で八十万は居そうですね」

   

「さらばバベルだな。迷っていては味方に損害が出る

戦闘機と攻撃機と爆撃機を向かわせてくれ」

  

「バベルは諦めますか?」

「仕方ないな。王都は別に考えよう」


「戦闘機の六割と攻撃機の八割と爆撃機の八割をバベル攻略に向かわせろ」

「バベルを灰にしますか?」

「仕方がない。陸上部隊の装甲部隊は五百しかいない

トラックは機銃攻撃を受けたら一撃だ」


 

「了解。作戦バベルの塔を発動。指定された部隊は順次発進

三時間後にバベル手前で合流し作戦を実行せよ」


     

 作戦バベルの塔は、まさに神の頂きに近づこうとした愚か者に罰を与える

ようにバベルの城を含む全エリアへの自由攻撃命令だ。

 うちの攻撃隊と爆撃機隊が本気で攻撃すれば東京23区でも三時間で

全壊するだろう。


 非情な手段だが装甲車両の数が違う。中央部隊に割きすぎた結果だ。


   

 三時間後。

  

「敵の大部隊と交戦開始しました。敵は航空兵力として飛行艇百二十

戦闘機八百、爆撃機七百程度を確認しております」


 

 うちは第四空母の航空隊が四百加わるから機関砲を装備しているのを

合わせれば千二百機か。


 地対地ミサイルが欲しいが敵の方が先に開発しそうだな。


 

 夕方になって雨も降ってきたので双方共に一時後退だ。

 

 夜間はうちの設備じゃ空中給油は曲芸に近い行為だ。雲の上に上がれば

何とか可能だが航空機の数が多すぎる。

   

 夜間は空母への着艦だけでも一苦労だ

ベテラン以外は飛行場へ直行状態だ。


  

翌十三日、なんと金曜日だ

なんというか縁起が悪い気がする。


「全航空機隊に告げる。巻き添えで多くの住民も死ぬだろう。それによって

君たちの心にも痛みが伴うと思うが、君たちの援護が無ければ陸軍の

仲間は全滅だ。呪いたければ私を呪え。全軍出撃せよ

決断できない者は北部への転進を王の名において許可する」


      

「全機、東に向けて発進しました」

「ノア様、お疲れ様です。私も地獄にお供致しますよ」


「ヨハンは天国に行って、上手くわたしを釣り糸でつり上げてくれよ」

「かなりの強度の糸が必要ですね。戦争が終わったらデニスに研究して

貰いましょう」


 俺の魔王伝説に終わり無しか。アレクの馬鹿者のお陰だ

噂を甘く見すぎていたな。


    

 三時間後。


「敵と交戦が始まりました」

  

まだ九時で今日は快晴だ。

 王国領土が大きく増える年だ。今年を王国歴の零年にすると

王国歴元年七月十三日、バベル消失となるかな。


  

「すでに開始から一時間ですが連絡が来ませんね」

「無線封鎖か?」


 更に三時間経ったぞ。


「ヘリ部隊を向かわせましょう」


 対空兵器があったのか。まさか対空ミサイルは困るな。



  

「攻撃隊より連絡。バベルの街で一斉蜂起により反乱軍とサントス軍が交戦   

攻撃隊はこれを支援中と言っています」

 

「爆撃機を戻せ、更に燃料が三割以下の部隊も一時戻せ

給油機は攻撃隊を優先的に補給せよと伝えろ」


 

 奴隷が反乱を起こしたか。そこまで扱いが酷かったんだろうか?

 

お読み頂きありがとうございます。


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