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第三十一話:ノースウエスト航空じゃないよ


 そして遂に謁見の間に正式に呼び出された。

 

呼び出された人間は全部で百人程度だ。


「第十五代アルタイル王国国王、グラン・キング・アルタイル陛下の御入来」


  

「皆の者、去年は動乱の中、忠義を尽くしてくれた事に礼を言う」


「私、シュナイダーが呼びますが、爵位と順番は必ずしも同じではありません」


 ドキドキするな、伯爵だから三十番目あたりか、アレス領を返したんだ

領地をくれるのは確定だろうが、変な場所だったら金がないんだよな。


「では重臣の発表から参る。外務卿にハインツ・イシュタル卿

それに伴い長男ルッツ・イシュタルを辺境伯家より侯爵家に変更すると共に

旧オーブ領並びに旧クレア領及び旧アレス領を領地に加える

陛下の御前へ」


「ハインツ、予を補佐して政務に励め」

「かしこまりました」


「ルッツ・イシュタル、旧アルタイル王国での最大の領地と大穀倉地帯を

抱える事になる。王家の為に尽くせ」


「かしこまりました」


 最大の領地か、確かにアレス領とあわせれば従来の三倍近くになるな

アレク兄さんの取り巻きがどんな反応をするのか目に見えるようだ。


「バルド・ランスター子爵、陛下の御前へ」


「うむ、バルド・ランスターを伯爵へ陞爵する

そして軍務卿に任命する。予を補佐して軍務に励め」


「バルド、陛下に忠誠を誓います」


              

「マイケル・ドナルド、陛下の御前へ」


「うむ、マイケル・ドナルドをドラルド辺境伯家の当主と認め

領地を旧アレキサンドリア地方の王都とその周辺を新たに与える」


「有り難き幸せ」

         

爺ちゃん世代は爺ちゃんより年上だから旧アルタイル領の運営に

専念するようだな。


「ダリル・アッテンボロー、陛下の御前へ」


「うむ、ダリル・アッテンボローをアッテンボロー辺境伯家の当主と認め

領地を旧ワイバーン地方の連邦首都とその周辺を新たに与える」

    

「有り難き幸せ」


「バーン・ハイネ、陛下の御前へ」


「うむ、バーン・ハイネをハイネ辺境伯家の当主と認め

領地を旧ヘンドラー地方の王都とその周辺を新たに与える」


「有り難き幸せ」


 王都はわかるけど、その周辺ってどこまでだろうな

先に承諾させておいて事後説明か、商談だったら詐欺だな。


「サンタ・ブルームハルト伯爵、陛下の御前へ」

       

「うむ、サンタ・ブルームハルトを辺境伯へ陞爵する

そして領地をラウス共和国首都とその周辺とする」

  

「有り難き幸せ」

 あの鉱山しかないラウスか、大変そうだな。


「ラルフ・ロードスター伯爵、陛下の御前へ」


「うむ、ラルフ・ロードスターを侯爵へ陞爵する

そして領地を旧ヒンメル聖都とその周辺とする」

    

「有り難き幸せ」


 これで旧王都はお終いか、ちょっと王都に憧れてたんだけどな

やっぱり辺境になるのか。


 ラルフ君、笑いが止まらないと見える、侯爵だからね

父さんと同格の上に旧聖都ですか。


 

    

「次はノア・アレス伯爵、陛下の御前へ」

 え、俺ですか


「此度の戦功第一位じゃ喜べ。アレス領を即日に素直に返した事も

良い心がけじゃ。更に励め」

 

「ありがとうございます」


「陛下がお褒めのお言葉を掛けたぞ」

     

「ノア・アレスを辺境伯へ陞爵する

領地はノースウエスト一帯を領地とする」

 どこですか、航空会社なんですか? 飛行機には乗った事がないですよ。

  

「ノアよ」


「有り難き幸せでございました」

 俺のバカ、ございますと混同しちゃったじゃないか。


 

 それから数時間に渡り色々陞爵する者や領地増加、領地替えと様々だったが

俺はノースウエスト航空じゃない、ノースウエストの事で頭が一杯だった。   


 

 

 俺の財源は星金貨五万枚しかないんだよな、アレス領の開発に二万枚も

使ったのが裏目に出るとは、お金は計画的にだよな。


  

「それでは以上で解散とする。領地替えの諸侯は速やかに領地を引き渡すように

時間のかかる者は代理を新領地へ即座に派遣せよ

領地の場所は大広間に地図を貼りだしてあるので確認せよ」


「みな大義であった」


   

 終わったのか? ノースウエスト航空め、場所を確かめてやる。


「ノア殿、儂に付き合え」

「内務卿とですか?」


   

 なんだろう、まあ場所を地図でみるより聞いた方が早いな。


 

「ノア、ノースウエストを任せる事になったが重荷ではないか?」

「シュナイダー内務卿、どこかもわからないのに重荷とかないですよ」

   

「陛下と数時間に渡って協議した結果なのだが、お前の兄を廃嫡にして

ノアをイシュタル家の当主という話も出たのだが、陛下がノースウエストを

勧めたので今回の結果となった」


 アレク兄さんの取り巻きの悪評は陛下の耳にまで入ってるのか。


「お家騒動を起こすつもりはありませんよ」

「それでなノースウエストには獣人が多い、よって多数の貴族での

分割統治より一括統治の方がいいという事になった」

     

「それでどこなのでしょうか?」

「ここに示してある」

「これはアレキサンドリア王国の地図ですね」

   

「この青い部分。王都の西側の山々を挟んで西側一帯だ

南は大河セーヌも含む土地だ。よって東以外からは敵襲があり得る」


「待って下さい、旧アルタイル領より大きくありませんか?」

「その通りだ。アレキサンドリア王国の六割に当たる。領土の広さだけなら

陛下を超えるやも知れぬ

それと後で揉めると面倒なので、東の領界の山々の採掘権はノアにやる

兵士を山に配備するのも自由だ。船も王家の船を二十隻を移送の間貸しだそう」


「こんな……」

 

「心配はいらぬぞ。広大な領地だ。港は整備しているし

支度金にアレキサンドリアの国庫に眠っていた総額の二パーセントの

星金貨五万枚を出す。では期待しておるぞ」


 こんなに広すぎますと言おうと思ったのに、日本の二十倍以上か

東は山々が邪魔しているから、国内での交易は海路のみで

商業都市としても成立しないな

まったりと大農家を目指すしか無いのか?


         

なんか疲れた、一応大広間に行くか。


 

「ノア様、おめでとうございます」

「ありがとう、ヨハンはどこか領地をもらったか?」

「領地はありませんが、子爵へ陞爵しました」

「それはめでたいじゃないか。ミーアは子爵夫人か」


「それより、この場をすぐに離れた方がよいかと」

「どうしてだ?」

       

「ノア様の領地は広すぎます。バカが言い寄ってくるのは確定です」

「よし、第五キッチンへ行こう」


「あれはアレス辺境伯では……」

「アレス卿……」


「逃げるぞ」


     

疲れる日だな、朝はあんなにウキウキしてたのに

旧王都を拝領した連中は明日から早速税金を取れるだろうな。


「兄貴、お戻りですか?」

「みんな戻ってたのか?」


「若君、如何でした?」

「ノア様は辺境伯で領地はノースウエストで私は子爵に陞爵した」

「あなた、すごいじゃない。わたしも准男爵になったけど

これは次男が生まれた時まで取っておくわね」

   

「私どもは私とシャルとリリーナが男爵。それ以外が准男爵になりました」

       

「それはめでたいじゃないか」

「それでノースウエストってどこ?」

「僕たちが最後に行った所だよ」

「それなら、あの港のあった所ね。確かに北西のはずれだものね」


「あの港周辺だけじゃないぞ、王都の西に見えた山から西側一帯が

ノースウエストだ」

     

「西側一帯!」

「もしかして前のアレス領より広いの?」

 

「広さで言うと……八十倍以上かな」

「大領主様じゃない。さすがは私が見込んだ人間ね」


 いつ見込んだんだよ。それより海路で移動を始めないとな。


「ヨハン、船はどの程度あるんだ?」

「そうですね、建造間近のを含めて五十二隻でしょうか」

「内務卿から二十隻を住民移送の間だけ使って良いと言われたから

七十二隻だな」


「それではアレク様の取り巻きが変な動きを見せています

早急に知らせて住民を船で輸送しましょう」

         

「若君、住民には全部を話さないでアレス領より少々広くて北西とだけ

伝えましょう。そうすれば若君を信頼している人間を区別出来ます」


「悪くない案ですね。ではエクレールを移転という事で宣伝致します」


 少々広いね、嘘は言っていないけどね

あそこも発展してきているから二割程度は来てくれるかな。


 

    

久しぶりだな、ここへ戻ってくるのも。もうアレス領じゃないからな。


「みんな、ノア様の新しい領地はこことは正反対の北西になった

住むところも建設途中だが港はある。希望者は本日中に台帳に名前と人数を

記入の上、ノア様に着いていく者は本日で締め切りとする

本日中に記帳のない者は残留決定だ。明日の八時に第一陣は出航する」


「残ればどうなるのでしょう?」

「ここは南部のイシュタル侯爵家の所領となった。残りたい者は

そのまま自由に過ごしてくれて構わん。すぐにイシュタル家より命令が

来ると思う」


「どうする?」

「俺は残るかな。折角耕した土地だし」

「そうだよな、俺も残るわ」


「わたしはノア様についていくわ」

「僕もノア様に着いていくよ」

              

「わしも寒いのは苦手だが行ってみようかの」

 

「そうか寒いのか。俺は残るかな」


 やはり寒い所は人気が出ないよな

俺も嫌いだし魚は美味そうだけどな。


「若君、王国所有の船を十隻をエクレールに接舷するように手配してきました

最後の船が着くのが三日後です、残りの十隻はジェノバと

ノワールへ手配済みです」


「ご苦労様です」

     

「みんな、言い忘れた事がある。四日後よりこの港街をエクレールと

呼ぶことを禁止する。新しい名前は新領主様につけてもらってくれ」


「エクレール村と呼ぶのもいけませんか?」

「いけないとは言わないが新しい代官は僕の決めた名前を気に入らないと

思うよ。だから残留組の人達次第だね。それと後からやってきても領民とは

認められないから、その辺はよく考えてね」


     

 このくらいの事は言っても良いよね。

 なんかデニスが怒っているような気もするが、後はノースウエストで

新アレス領だからアレスでいいか、そこにも挨拶にいかないと。


 

お読み頂きありがとうございます。


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