表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/145

第十四話:王女様はみんな王家補正


 結局、週末に行われたダンスパーティではアレク兄さんと

ゴッドフリートの馬鹿とラインハルト君はアイリス王女と踊ったらしい。


 それから五日後。


「なんか緊張します」

「いいか、わたしは聖女ですから絶対に体を治して見せますと言うんだぞ

あとそのヘラヘラした笑い方は辞めろ。びびってるのが丸わかりだ」


「でも絶対なんて……」

「俺を信じろ。これを見てみろ」


「我が血の道を示せ」


――――――――――

    

 名前:ノア・イシュタル

 年齢:九歳

 種族性別:人族:男

 所属:アルタイル王国

賞罰:無し


 加護:ヘカテーの加護(神話級)(創造級)

  :アテナの加護(神話級)

  :クロノスの加護(神話級)

:イシュタルの加護(伝説級)

:エイルの加護(神話級)(New)

  :ヘパイストスの加護(伝説級)(New)

  :?????

 

――――――――――         


エイルは治療に精通している神だったはずでヘパイストスは確か

鍛冶系の神だ。街造りで付加したんだろう。ヘカテーの加護に関しては

人を痛めつけすぎて、ついに神話級の先へ進んだかな?


「なんですか? 加護が六つもあります。異常です」

「いいから、お前のも見せろ」


「でも……」


「いゃ、ごめんなさい……気持ちいいにゃ

……わかりました、道を示せ、マイロード」


       

――――――――――

    

 名前:リリーナ・オーブ

 年齢:九歳

 種族性別:人族:女

 所属:アルタイル王国

賞罰:無し


 加護:アスクレーピオスの加護(伝説級)

  :クロノスの加護(伝説級)


――――――――――


 いいスペックだ、魔法が回復系だけど。転移魔法も使えるな。 


「いいステータスじゃないか、魔法が回復系に特化してるけど」

 


 さて回復系の魔法は死にかけた虎に対して使った事があるけど

人に使った事はほとんどないんだよな。


   

「さあ、中へ入るぞ」

「心の準備が……」

「いい加減にしろ、相手の方が不安になるぞ」


 わぉ、なんて美少女だ、髪が腰まであるぞ。シャンプーするだけで

大変そうだな。王女様ならお付きのメイドがいるか。


「初めまして、アレクの弟のノアと申します。お会いできて光栄です」

「初めましてなの、リリーナなの、聖女なの光栄なのです」


「(リリーナ、新入生総代の時の挨拶はどうした)」

「(あの時はいっぱい練習したもん)」

         


「ふふふ、面白い方達ね。アレクが褒めるから

どんな人達か想像していたんですよ」


 よくわからんが、笑ってくれたら掴みは半分は成功と聞いた事がある

あとは魔法次第か。


「エリザベス様はさぞ高名な魔法師の方々の治療を受けてきたと思われますが

私どもにも治療を施す名誉を頂けないでしょうか?」


      

「その前に」


「ノーラ姉さんにアレク兄さん!」

「ノア、隣にいらっしゃるのがフランツ殿下ですよ」

   

「お初にお目にかかります。ノーラの弟のノアと申します」

「リリーナと申します」

  

 凄いプレッシャーだな、リリーナだと下手すると倒れるぞ

昔から緊迫した空気が苦手だったからな。


「話を聞いていたが、そちらの自称聖女殿が妹を見てくれるという事で

よろしいのかな?」

    

「ひゃい」

「はいと申しております。微力ながら私も協力させて頂きます」


「フランツ、いいんじゃないかしら

それに失敗しても危害を加える事はあり得ないわ」


「では拝見させて頂きます(血の道を示さん」

     

――――――――――

    

 名前:エリザベス・エメラルド・アルタイル

 年齢:十二歳

 種族性別:人族:女

 所属:アルタイル王国

 魔力:王級

賞罰:無し

 状態:猛毒(神話級:呪詛、怨念)


 加護:ハルモニアの加護(神話級)


――――――――――


 十歳になると魔力が表示されるのか?

 呪詛を受けてるのか? 治してたら王様や王妃様が死ぬとかないよな?

神話級の呪詛か、これは運だな。今まで試した治療師がいなかったのか。


「フランツ様、お聞きしにくいのですが、エリザベス様を強く恨んでおられる方

はいらっしゃいますか?」


「……いない事もない」

 なんだいるのかよ。


「もしかして王族の方でしょうか?」

「王家の事は言うことはできん」

       

「でははっきりと申し上げます。エリザベス様を治療する事は可能でございます

しかし呪詛を受けておられるので、呪詛をした人間が王家の人間の場合は

呪詛返しといって、威力を増して呪詛を企てた者が倒れる可能性がございます」


「ベスが呪詛を受けているというのか?」

「その点に関しては確かです。成人の儀でわかったはずですが」


「エリザベスは聖人の儀をまだ受けていないし病で倒れたのは二年前だ」

 俺と同様の新入生の時に倒れたのか。


「わかりました、封印してしまいましょう。アレク兄さん、大事にしているのは

知っていますが、兄さんのネックレスをお借りできますか?」

   

「わかったよ」

 エメラルドだ、封印するにはちょうどいいし、兄さんへの親愛度も

あがるだろう。そういえばミドルネームを表示できたのは初めてだな。 


「リリーナ、こっちへ来い」

         

「では行きます。リリーナ、集中しろよ。治療の事だけ考えれば良い」


  

「光の精霊にリリーナが懇願する。我と精霊達の力合わせて目の前の者の

不運を癒やし力を授け給え、【魔力十割、対象固定、メガキュア】」 

 


「(光と水の精霊にノアが懇願する。我と精霊達の力を合わせ目の前の傷ついた

者に激しい癒やしの力を授け給え

【魔力八割、対象固定、テラキュア、呪詛を封印】)」

 

 そろそろ新しい力のある呪文を考案しないといけないんだけどな

当分はこのままでいいだろう。 



「うぁ、眩しい」

「ベス、大丈夫か?」


「……はい」


「貴様、ベスに何をした」

「何をと申されましても、呪詛を払って治癒しただけでございます」

「治したと申すか?」

「はい、今すぐ走り回っても大丈夫でございます」


「そういえば、体が凄く軽く感じます」

「本当に今の光だけで治ったというのか? 信じられん」


「そうだ、言い忘れましたが、エリザベス様の呪詛は兄さんのペンダントに封印

してありますが、エリザベス様の近くから離れれば割れて

呪詛の力は呪詛返しとなって呪いをかけた相手を襲います」


「つまり私がペンダントを身につけていればいいという事ね」

「そうなりますが、恨みをもっている方がどうなってもいいと思われる相手なら

割ってしまうのも一興かと存じます」

                 

 誰だろうな、王妃が二人いるという事は片方は義理の母になる訳だからな

俺の知らない所で割ってくれるのが一番だけど

ヘパイストスの加護も呪詛を封じると中々の仕事をしてくれた。


「アレク様、ネックレスを首に掛けて頂いてよろしいいでしょうか?」

「勿論です」


 終わったか、あとは王家でなんとかしてもらおう。


 

「ノア、アレク、明日の夜、イシュタル家の屋敷に来なさい。話があります」


     


 

昨日はちょっと怖かったな。でもここで逃げるわけにもいかないし

ここへくるのもクレア領を頂いた時以来か。


「ノアです、入ります」


 なんで一家勢揃いなんだ、爺ちゃん、婆ちゃん、父さん、母さんに

ノーラ姉さんにソフィー姉さんにアレク兄さんとアデルとアリスとセーラか。


「突っ立ってないで座りなさい」

      

「はい」

 

「ノア、自分がしたことが判っているのか?」

「よく意味が理解できませんが」

  

「そうか」

「ノア、エリザベス様の母君が誰か知ってる?」

「二人の王妃のどちらかなのでは」


「あなた、やっぱり知らなかったようです」

「ノア、何故、治療を申し出た」

「強いて言えば、アレク兄さんがエリザベス様に惚れてるような素振りを

見せていたので助けてあげようかと」


「何か疲れたぞ」

 俺はなにか変な事言ったか、もしかしてイシュタル家の怨念の相手の

娘とかなのか?


「ノア、アレクがエリザベス様を愛してるのは真実です

しかし、エリザベス様は第一王妃の忘れ形見でそれも呪詛をかけられていたと

なると……」

         

「今頃王宮は上へ下への大騒ぎでしょう」

「しかし、不治の病に伏せる王太子殿下を治した訳ではないですし」


「お父様、ノアとノアから下の子供には王家に関しては何も話して

おかなかったのは私の不始末です。お詫び申し上げます」


 何で母さんが謝るんだ、まさか王女が次の王位に就く訳でもないだろうに

アレク兄さんのお嫁さんに内定していたのがご破算になったのか?


「もしかしてアレク兄さんのお嫁さんになる計画が僕のせいでご破算に

なったのでしょうか?」


「うん……」

「そうか、ノアはそういう風に考えていたのか」

 また外れなのか、正解はあるんだろうか。


「ノアの心中はよく分かった、結論を言おう。エリザベス様は余命一ヶ月と

言われる病と診断されていて陛下も既に諦めていた。それを

ノアが簡単に治してしまった事で責任を取らなければ

ならない者が出てきた。ここまでは分かるな?」


「はい、エリザベス様を診断した治療師ですね」

           

「ノアが誰もいない所でやれば良かったんだが、それも無理があっただろう

昨日はノアは気がつかなかったかも知れないが近くに護衛が数名いた

そして他国から治療師を手配して他の治療師の治療を妨げたのがアン王妃だ」


「ノア、午後に王宮から報せが来てアン王妃が傷害と暗殺未遂の罪で拘束

されたと連絡があったわ」

「アン王妃はもしかしてフランツ殿下の母君なんでしょうか?」


「当家としては運がよかったけれど、違うわ。フランツの母君はフランソワ様よ」


「つまり我々は王妃を追い込んでしまった訳だ。今まで王宮周辺の権力闘争に

無関心を通してきたが、それも昨日までの事となった

我々はフランツ王子の擁立に全力を挙げねばならなくなった」


「ノアもクレア家の当主です。味方になってもらいますよ」

「わかりました」


「使者は数日後に我々を王宮へ呼び出すと言っておった。

これよりイシュタル一族はノーラを次期王妃にすべく全力でこれを支援する」


 俺の兄へのちょっとした贈り物が大変な事になったな。

               

お読み頂きありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ