表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/145

第百三十六話:息子は王としての適正がありそうだ


 遂に運命のアレス歴十一年になった。

 南のアデルはまだ動かないようでお隣さんは大変そうだがアレスは

少々緊張している程度だ。新年会に出席する事もなく安定した日々だ。 


「あさりピザを二人分とオニオンピザを二人分ね」

「こっちは紅茶のお替わりね」

  

「私達はCランチを三人前お願い」

 

 中々流行っているな。

  

「順調だね、この三日の売上げが六店舗で金貨五枚だよ」

「利益も金貨三枚以上ですよ」

 

「腕の良い店員さんが見つかって良かったわ」

「大学院を出ているそうですが就職先が決まらなかったそうですね」

   

「もう大学院じゃ厳しいって事だな」

「高い入学金を払った親も運が悪いわね」


「我々も二年後には同様の評価を受ける可能性があるけどね」


「しかし、人任せっていうのも退屈ね」

「開発が終われば管理と経理しか仕事がないからね」

「店舗数が増えれば仕事も増えると思うよ」


「それじゃ俺達は出ますか?」

「そうだね、そろそろ十二時だよ、かき入れ時だ」

   

 僕とヤンの所で輸送と仕入れをやっているから暇なんだよね

これで入学金を取るというのは学院もあくどいかも知れないな。



    

 南は安定してないけどアデルはどうするつもりなんだ。


「ルーカス様、陸も海も順調に依頼が来ています」

「グラン亭も全店開業したよ」

 

「スタンドも一日の平均利用客が一店舗で百五十人を超えたな」

「高速船は今一つだけど黒字は維持していますよ」


「順調で何よりだよ」

「エクレール第一小隊という所は大変そうですよ

お客の八割以上を頂いてしまいました」

   

「あんなに強引な所はさっさと撤退して貰った方がみんなの為だよ」

「実際に配送費を調べてくれたことには感謝だけどな」


「これで僕たちの躍進は間違いなしだね」

「まさにその通りです」



 最近ちょっと調子が悪いけど気のせいかも知れない

プロキオンも五年もすればクレアくらいには並ぶ企業になるかも知れないな。


さて、帰るか。


 

「みんな大変よ。ミカエル王国が戦争を仕掛けてきたわ!」

    

「なんだって!」

   

「軍を事前に知ってたみたい。既に空母が十四隻も出撃してるみたい」

「フラン、どこに攻めてきたんだ?」

    

「南東のキングと中央のクラウディアに西のマーチと

ガイアのライナ南部の砂漠地帯の四カ所同時侵攻だって言ってた」

      

「遂に戦争が始まるのか」


「あたい達はどうする?」

「僕は家にもどって事態を確認してくるよ」

        

 とにかく、家に帰って父さんをノアを捕まえて話を聞いてみよう。


  

 家には居ないのか。

 

「お兄ちゃん、お父様なら出かけたらしいわ」

「そうか、遅かったか」


 

 父さんの動きは早かった。

 攻めてきた敵の陸上部隊の総数は百万らしいが

四つの戦場に八型戦闘機を四百機ずつとスワンとスパロウ千機ずつをガイアに

量産機のファルコンとホーク三千機ずつをジュノー大陸に展開してあった。


   

「ルーカス、もう戦争開始から三週間経ってますが

既にバベルを囲んでいるようです」


「そうだね、ファルコンとホークが前より二千機ずつ多く増産されてるよ」

「なんか、年が明けてから凄く不安なんです」


「僕もそんな気持ちだったよ」


 おかしい、プロキオン商会は順風満帆と言って良いほど

好調で売上げも右肩上がりなのに何故か不安だ。  

    


 翌日にはノーラ姉さんとソフィー姉さんを無事に救出したという報告が届いて

アレス王国軍の陸軍二十万がバベルへ侵攻したらしい。



「ルーカス、貴方のお父さんは凄いわね」

「兄貴、さすがですよ」


「どうしたんだい?」

「アデル国王は既に死亡していたらしいけど一日でバベルを落としたらしいわ」


「俺も父さんから無線を貰いましたよ

事前にまるでこうなる事が分かっていたように指示をしていたそうです」


「まさか」


 まさか、また神の啓示でも受けたのか?



 こういう時に権力がないと何も出来ないんだな。

 見ているしか出来ないのがこんなに歯がゆいとは。


     

「ルーカス、どうなっちゃうんでしょうね?」

「まさに、神のみぞ知る世界といった感じだね」



 それから一週間後に最後まで抵抗を続けていたエンジェルを落として

軍の幹部を残して全て帰国してきた。


 もう帰っているのか。


「お父様、勝利おめでとうございます」

「そうだな、家に変わりはなかったか?」

「ご安心下さい」


「ノア、お帰りなさい」

「リリーナ、病院に行ってきたのかい?」

「ええ、明日にも入院するわ」


「そうか」


 もう、既に二月だ。

 トレーシが産まれてくるんだな。


   

 三日後にジュノー大陸とガイア南部からミカエル王国の全兵士を叩き出し

父さんがエクレールで統一宣言を出した。


              

「ルーカス、八ヶ月もミカエル王国が滅ぶのが早かったですね」

「これは神が用意した新たなる戦いへの前触れかも知れないな」

  

「ルーカス、どこにも行かないで下さいね」

「どこにも行かないよ。どうしたんだい?」


「昨日、嫌な夢を見たんです」

「変な夢を見ることは珍しい事じゃないよ」


メグ、何を怯えているんだ。もう戦争は終わったんだぞ。

 それも僕の時とは違ってほとんど無血占領に近い

我が軍での戦死者は五百人以下らしい。


 敵の軍は容赦の全く無い空爆でほとんど壊滅したらしいが

街で犠牲になったのはサウスキングのみのようだ。


 この世界ではサウスキングで名前があってるのかも分からないが。


   

「お兄様、お母さんが子供を産んだって」

「わかった、すぐ行く」


 おい、こんな時に目眩かよ。



 僕はそこで再び意識がなくなった。




 まさか、また転生なのか。

 今度はクラウスに転生なんていう事はないだろうな。


「お父様、大丈夫?」

 

 おい、アリアがどうして僕をお父様と呼ぶんだ。       


「アリア、今日は何日か聞いてもいいかな?」

 

「勿論です。アレス歴十一年の二月十五日ですよ」


 今度は過去に戻るような事はなかったのか?

 何で僕がお父様なんだ。


 え、ひげが生えているぞ。


「父さん、大丈夫? 丸一日意識がなかったのよ」

  

「クレアか、そうだリリーナは?」

「母さんならそろそろ退院して戻ってくるって

母さんも赤ちゃんを産んだ後にそのまま意識が無くなったのよ」


 まさか、今まで事が夢だったなんていう事はないよな。

 そうだったら立ち直れないぞ。


「そうだ、ルーカスは? プロキオン商会はどうなったか知ってるか?」

    

「あのグラン亭のプロキオン商会ね

開業一年のパーティを開くとか噂になってるわ」

 

「そうなのか」


 グラン亭もプロキオン商会も存在するんだな。

 何がどうなっているんだ。


  

とにかく、元に戻ったという事らしいな。

 そして僕、いや俺以外には変化があったのはタマコだけか。


「ノア?」


「リリーナなのか?」

   

「ここでリリーナから質問です」

「いきなりどうしたんだ?」


「行きます、日本でタマコがお蕎麦屋さんで

キャンセルしたメニューは何でしょう?」


「天ぷら蕎麦だろう」

    

「本物のご主人様なんですね?」

「そっちこそ、リリーナなんだな?

僕と日本に転移した時に乗った航空会社は?」

  

「それなら印象に残ってるから覚えてます。ノースウエストです」

  

「本物のようだな」

「そうです、タマコはリリーナで三日前までマーガレットでした」


 そうなると、ルーカスとメグはどこにいるんだ。

 

 

 翌日、意識を失って病院に入院していたルーカスとマーガレットが

俺の部屋を二人で訪れた。

  

 こっちも俺とリリーナだけだ。

 

「父さん、ですよね?」

「どうした? お前こそルーカスだろうな?」


「本物ですよ、アレス歴十一年の十一月までの記憶はありますが

アランって言うのは誰なんですか?」


「簡潔に話そう、私はアレス歴の十年にプロキオン商会という商会を

立ち上げてガソリンスタンドとグラン亭という食堂経営を開始して、その後

のLNG事業を開始してドロシーの近くの土地を買収してダイアナと命名して

今では配送と海運にまで手を広げている。ルイ、アラン、

フランソワ、クロエはプロキオンの役員だ」


 

「そうでしたか、僕の方は去年クラリスが産まれた直後に神様から啓示を

受けたんです。ミカエルが来年の一月に攻めてくるから軍備を増強しろと」

       

「そうだったのか」


「マーガレットさん、貴方もこの一年の間の記憶はないのかしら?」

 

「私も今年の十一月までの記憶はあるんですが商業大学院の事は全く

わかりません。でもリリーナさんだった記憶はあるんです」」


「ノアの影響ね。私と入れ替わっていたのよ。そんなに大きな変化はないわ。

強いてあげればルーカスが結納だと言って結婚指輪と結納金をヒルダ達に

渡したくらいかしら、商業大学院では第三小隊という所に所属してるわ」


「そうだったんですね」

         

「二回も代わりに出産してくれて感謝しているわ」

「ルーカス、顔が赤いぞ」

  

「いえ、なんでもありません」

 リリーナとの夜の生活でも思い出していたか?


「大事な事だけ聞いておくぞ

軍事衛星はいつでも発射出来る準備は出来てるんだろうな?」

 

「完璧です」

 

「国の要職に就く者の大きな人事異動は?」

「ありません」


「何故、国民証の色を変更した?」

「神様が紫、赤、青、黄色、ピンク、緑、白の七色が望ましいと言ってました」

    

「まあいいだろう。最後にアデルは本当に病死だったのか?」

「はい、担当していた治療師から直接聞きました。マイク殿も自殺しようと

しましたが、ヤンに止めさせて病院に閉じ込めてあります」  


「わかった、私は政務にもどりルーカスはプロキオン商会の経営者として

商会運営と大学院生の生活に戻れ」

  

「はい、確かに承りました」


「マーガレットさんも一人の大学院生に戻って楽しい学生生活を送ってね」

「はい、かしこまりました」


 さて、まずはヒルダやヨハン達と会議を開かないといけないだろうな。


 神様っていうのは何が狙いなんだろうな。

   

お読み頂きありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ