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第百三十二話:商会の採用試験


 残念だが僕には副業ビジネスに今は全力を傾ける余裕はない

プロキオン商会の従業員は既に十四万八千人と臨時雇用で四十万人だ。


 今日は港が完成したというので視察だ。


「見て下さい。アヒル族の優秀な魔法師三十万人に掛かれば

この程度の土地の開発はお手の物ですよ」


「ルーカス、既にLNG施設の建設に入ってるぞ。うちの所有するノルトの

天然ガス田は最大で一日に一千三百億リットルのLNGを精製可能だ。施設が

充実すれば年間に一億トンの輸出も可能だぞ」


 

「うちの輸送船何隻で発電所は持つの?」

「五十七回か五十八回程度だな」

「それなら十二隻あるから五往復で済むのね」

   

        

「LNG船もエンジン部分さえ出来れば船とタンク部分は魔法で簡単に

作れるけど、今の設備だと月に八隻が限界ですよ。優秀な魔法師の絶対数が

足りないんですよ」


    

「そうだな、アヒル族を臨時雇用出来るのは僅か二ヶ月だけだからな」

「既にいる六万人の魔法師はどうなんだ?」


「天然ガス施設の建設で手が離せないわ。魔力の低い人間だと

八倍以上の時間が必要なのよ」

 

「魔力の低い人間の大半は技術者と組ませてエンジン作りだな」


 何事も魔力優先主義か、商業大学院で魔力テストを

実施したのもこれが理由か。


「一億トンの輸出は置いておいても半分でも五十三往復必要だぞ」

「冷却も加熱に積み込みと魔法師がかなり貢献出来るが夜は

休ませてやりたいな」


  

「そうだな、魔力も消費するし一日の労働時間は六時間程度だろう」

「その程度なら二交代制でやれるわね」

 

「フラン、プラズマ液はどの程度買ってきた?」

 

「うちらのスタンドは四十キロリットル貯蔵できるタンクが二つが

標準だから七千七百件分で六億リットル分買って輸送班に輸送を

依頼しておいたわ」


   

「六億リットルだけか?」

「毎月五億リットル以上を三ヶ月継続して購入すれば価格を翌月以降は

更に二割下げてくれるそうよ」

 

「プラズマ液は一リットル幾らなんだ?」

「二十五アルよ」

「ほんとに安いんだな」

「それを更に二割引き出来るのか?」


「既にプラズマ液はアレス王国の二十都市で製造が開始されているから

輸送費もかなり削減出来るわ」     

 

 一リットルで銅貨一枚になるのか? 我が国にはタンクローリーの容量規制なんて言う細かい法律はないので一般が四万キロとLNGは全て十四トン仕様だ。


 輸送費が一スタンドで輸送車が二台だから小金貨一枚程度か。

 まだまだスタンドの方は知名度が低いから一日四千リットル程度だとして

月に三回の補充が必要だな。

 

輸送費はほとんど考える必要は無いな。問題は警備も兼任する店員

三人体制の人件費の方だよな。

 

 それに街の近郊のスタンドはコンビニのような機能も持っているから

店員が更に四名は必要だ。  


「アラン、プラズマ液は幾らで売る?」

「そうだな、今は軽量化が進んでるから四十リットルの車が主流だろう

俺が買うなら一度に払う額は銀貨二枚程度なら気にならないな」

    

「そうすると銅貨五枚か」

「三ヶ月後に更に下がるなら妥当だな。フリーダム系列は銅貨七枚で

既に販売開始しているからな」

 

「後発だし銅貨五枚で行くか」

 

「ルーカス、そうすると五万人以上の人間が必要ですよ」

「ルイ、何人回せるんだよ?」

 

「天然ガス事業が安定するまでは回せるのは二万人程度ですね」

「それだと本当に給油業務しか出来ないぞ」

  

「商品を販売可能の店舗を持つ中規模スタンドが三千二百件に

食堂も併設した大規模スタンドが五百五十件ありますからね。真面目に

利益を目指すなら四万二千名は必要ですね」


    

「アラン、採用試験をやるか?」

「仕方ねえな、食堂経営は旗艦店だけにして、とりあえず二万人だけ

回しておいて給油業務だけは始めようぜ」

    

「採用は時期的に外れていますからね」


「みなさん、夕食が出来ましたよ」

「続きは今度だな」


 大人数だとやはり手間の掛からない人気メニューのカレーライスだ

僕もお替わりしたがアヒル族は平均八杯のおわかりをしていたな。



 今日は十月十五日、第三小隊の初活動日だ。

 本当はこんな事をしている余裕はないんだが。


「それでは事務所兼倉庫はここで良いわね?」

「十四の部屋と十二ヘクタールの倉庫か」

「まあ、妥当な線だね」

   

「月に金貨五枚の賃貸物件なんだな」

           

「商業大学院に徒歩十分よ」

「でもスカイタワーまで四十キロはあるぞ」

「よくもこんな田舎で開校する気になったよね」


「エクレール近郊は土地が高いのよ」

「兄貴、入学前に免許が必要ですね」

「僕も取りに行くよ。反射神経は良い方だと思うんだ」

  

「僕も取りに行くか?」

「わたしも行きますね」

 

「免許なんて二日あれば誰でも取れる物は良いとして

ニコとデニス兄さんが遅いわね」

     

「普通は兄に荷物を運ばせないぞ」

「仕方ないじゃない。あの二人しか免許を持ってないんだから」

        

 デニスもニコも生まれ変わっても働き者なんだな

この場合は生まれ変わったのは僕とメグの方か。


   

「やっとついたよ」

「みんな一つ四十キロ位あるから手で運ぼうなんて考えるなよ」

「ほんとに重いな」

 

「牛乳なんて二リットル入りのしか見たことないでよ」

「これは四千キロの牛乳を運べるんだよ」


「こっちは四リットルのトラックだけど

新型だから燃費は四十キロだぞ」

    

「ほんとにうちの長官職の人間は二の倍数が好きよね

特にヒルダとかリキとかデニスとかヒルダとか……」

      

「すいません、お母様の名前を二度も言わないでくさい」

「うちも済まんな」


 牛乳を運ぶ日が来ようとは。

これは魔力の低い人間だったら重労働だな。


 

「だいたいの機械は設置したみたいね」

「ヤン、これでいいの?」

    

「これでチーズ工房の基本の機械は揃ったな。後は売れるかだな?」

「ヤンの所は幾らで売ってるんだ?」

     

「ナチュラルチーズが一キロのカットで大銅貨五枚で

プロセスチーズが同じ量が大銅貨八枚だな」

 

「大手で大銅貨八枚なら六枚で売らないと勝ち目はないわね」


「ナチュラルチーズを作るんですか?」

 

「まずは今あるナチュラルチーズからプロセスチーズを作って

ナチュラルチーズは魔法無しだと熟成に一ヶ月くらいかかるから

当番を決めて熟成させましょう」


 まずは風魔法で破壊して粉砕機に入れて細かくしたら

九式圧縮器で更に加熱してから溶かした後に型にはめこんで

再び風魔法で熱を吹き飛ばす。

       

 乳化剤を使わずに分離成形が出来る当たりはお手軽だな。


「これで完成ですね」

「牛さんのミルクはお幾らくらいなんですか?」

「うちの直営農場で仕入れるから一リットル銅貨二枚だな」

        

「それを大銅貨六枚で売るって儲かりそうだな」

 

「倉庫の家賃に輸送費に販売コストに電気代や人件費を考えると、かなり

大規模にやってブランド化しないと儲けは少ないでしょうね」

 

「そうなのか?」

 

「コンラート、第三小隊産とシリウス産のチーズが並んでたら

どっちを買う」

 

「迷わずシリウスのチーズを買うな」

「だからブランド力は必須なのよ」

 

「俺達は二年間だけだからな。赤字を出さなければ問題無いな」

「問題は私達がどうやって評価されるかね」


「国税職員みたいに細かくチャックされたら大変だな」

「十二月になって暇になれば国税の職員が動員されてもおかしくないわ」


「どこで売る?」

「今日は体験して貰っただけよ。入学前に売っても評価されないでしょう」

「そういう事か。それじゃ遠慮無く貰っていくよ」


 手作りチーズか、美味いかは分からないが持って帰ってみるか。


       

 やはり車で四十分かかるか。免許を取りに行かないとな。


「ただいま」

「お兄様、おかえりなさい」

          

「ソフィーが勉強とは珍しいな」

「これはパンフレットを見比べてるのよ

農家を買い取ったから農業機械をどれにするか悩んでいるの」


 歴史通りなんだな。

    

「それで、どれくらいの土地を買ったんだ?」

「トウモロコシを作っていた所を十二件と米農家を十件で二万四千

ヘクタール位かな」

  

「クレアも当然買ったんだろう?」

「クレア姉さんは四万ヘクタールは買っていたわ」


 妹達もかなり穀物を売っていたようだからな。


「みんな、食事よ」

「はーい」


「お父様は?」

「農業連合の業務の引き継ぎ作業で忙しいようよ」

      

「わたしはだいぶ儲けさせてもらったから文句を言えないわね」

「わたしも」

  

「クレアも」

「僕も」


 母さんの料理は日々進化していくな。誰に似たんだろうな。


「兄さん、共同で農業機械を買わない」

「買ってもいいぞ」

  

「即決なのね」

「お勧めは型落ちした九式だけど

ニコラウスさんが十式を格安で売っても良いと言ってくれてるの」

      

「今の時期だとトラクターか?」

「トラクターとトラックと作業が終わった中古のコンバインも買い時ね」


「お兄様、予定では十万台くらい購入しようと思ってるの?」

「駐車代金はどうするんだ?」

    

「お父様の倉庫なら二十万台くらい入るわ」

 こうやって話が進んで言ったのか。女の子は怖いな。


「ニコラウスさんは何割引きくらいで売ってくれるんだい?」

 

「聞いてよ。何と新型を一律三割引きで良いんだって」

「随分と値引きしてくれるんだな」


「農業連合のせいで農家はまともに作物を売ることも出来ないらしくて

新型を買う余裕なんてないから新型を安くても買って欲しいそうよ」

       

「みんな、あまりお父さんに心配掛けちゃダメよ」

「「はーい」」

「わかってるよ」


   

結局、トラクターを四万台と中古のコンバインを四万台と

トラックを六万台を購入。

 

 折角のニコとデニスとコリーンの共同のご厚意のようなので

十式のタンクローリー二万台を追加で購入させて貰った。


 フレッド達敏腕揃いの国税の調査が入るまで残り一週間だ。

 

お読み頂きありがとうございます。


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