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第百二十九話:久しぶりの入学試験


 今日は七月一日、商業大学院の第一次の試験の日だ。

 定員割れが余程怖いのか? なんと第四次試験まで実施され

試験も四回までチャンスをくれるらしい。


 

「若様、僕はもうダメです。僕の屍を踏んで先へ進んでくさい」

「コンラート、まだ魔力テストが残ってるぞ」


「兄貴、商法の問い八の問題は何番を選びました?」

「答えは四番の八割徴収だろう」


「終わった、三番って書いちゃいましたよ」


「次、ヤン・アンダーソン、前へ出てこい」

「教官殿がお呼びだぞ」



 ヤンはどの程度の魔力があるんだ。前と同じかな?


 時間は僅かのようだな。

 


「魔力量は王級だな。加護は天災級だぞ」


「兄貴、やりましたよ」


「次、ルーカス・アレス、前へ出てこい」

「はい」

 国王の息子が相手でも態度は分からないようだな。いい傾向だな。

 



「女神ヘカテーよ、この者の道を示し給え。血の道を示せ」


     

――――――――――

    

 名前:ルーカス・アレス

 年齢:三才

 種族性別:人族:男

 所属:アレス王国

賞罰:無し


 加護:ヘカテーの加護(神話級)(創造級)

  :アテナの加護(神話級)(創造級)

  :クロノスの加護(神話級)(創造級)(半神級)

:イシュタルの加護(伝説級)(創造級)

   :ガネーシャの加護(創造級)


――――――――――

       

 凄いじゃないか、ガネーシャって商売関係の神様だったよな。

これでプロキオン商会も繁栄間違いなしかな?


「あり得ん……」

「教官殿」

 

「きっと調子が悪いんだろう。だが合格だ」


「兄貴、良かったですね」

「これで第二次試験を受けないで済むよ」


 さて、これで商売に専念できるぞ。


   

「週末は散々だったわ」

「ミリア、ダメだったのか?」


「お腹を壊して第一次試験に行けなかったのよ」

「第二次で頑張ってくれよ」


「ルーカス、合格確定だって言われました」

「メグ、がんばったんだな」


「通知は明後日ですよ」

「合格者は何名くらいにするのかな?」

 

「エクレールとサテライトが二校で二十四都市に一校ずつだから

二万以上は入学させるんじゃない」

  

「いや、週に二日しか通わないでいいなら

その倍でも入学させられるよ」

「デニス兄さんはどんなシステムか知ってるの?」


「どうも、週に二日というのは本当だけど基本的には

班に分かれて商会を設立して決まった曜日に登校する仕組みらしい」 

                  

「それなら三倍でも入学可能ですね」

「王立学院を改造しただけでしょう。一学年で千五百人は勘弁して欲しいわ」

「そうだね」



 

 一週間後には第二次試験が行われてみんな満足の行く結果だったらしい。


「ねえ、聞いた、バベルタワーが崩壊したんだって」

「やっぱりな、五百階建てなんて無理に決まってるんだよ」

予定よりも二ヶ月も早いな。戦争に影響しないと良いんだが。


 

「これでミカエルは高層ビル建築は一時凍結ね」

「相当な数の作業員が死んだらしいからな」

「ミカエル王国は呪われてるじゃないのか?」


「今時、貴族制度なんてやってるのが悪いのよ」

「そうかも知れないね」



 面倒な話だったな。

  

「ルーカス、ちょっと話がある」

   

「お父様、どうしたんですか?」

「電力が足りない。お前の所のプロキオンだったか

そこの電力を全て国で買い上げよう」

     

「構いませんよ。二百万キロワット程度ならお売りできます」

「二つ目の発電所は出来たのか?」

「来月には操業開始です」


「ヨハンに言ってノルト大陸の北部のガス田地区を買い取らせた

はっきり言ってお前はいい所を先に取り過ぎだ」

 

「親子といえど商売ですからね」


「まあいい、多少は苦労した方が成長も早いだろう」


 危ない危ない、オーガスに小麦を送れとか言われたら断れなかったぞ。


      

   

 三日後にマリア母さんがアデルのお見舞いにバベルへ向かった。

 もうお婆さまと呼ぶべきか。


        

「ルーカス、十二隻目のLNG輸送船が完成したと報告が来たぞ

それとタンクもノルトに十六個で本国に十二個になった」

 

「これで輸送船は五往復くらいで済むね」

「そうだな、やっぱり休みをちゃんと与えてやらないとな」


「ルーカス、ガソリンスタンドを追加で二百二十件購入してきたよ」

「これで合計が七千七百件か」

 

「良かったんですか? コツコツと良さそうな物件があったら

買いたたいてますが、来年の固定資産税が凄い事になりそうですよ」


「良い物件は一気に買いたたけないからね

地道に行くしかないんだよ」     


「ルーカス様、オーガスへ商売をしている人間の情報だとオーガス大陸は

全体的に不作のようです。今なら米を一トンで通常金貨五枚で

買い取ってくれるそうです」


       

「うちの倉庫にはどれくらい残ってる?」

「一千二百万トンをちょっと下回る位ですね」

「よし、三百万トンだけ売ろう。グラン亭での米の消費量は

月に三百五十トンに届く勢いだが何とかなるだろう」 

  

「わかりました」


 

 

 そして、小麦農家からの小麦が全て倉庫に収まった。


「店にそれぞれ二十トンあるのに倉庫に千八百万トンもあるわよ」

「小麦ばっかりどうするんだ?」


「今は待つときだ。店員には小麦の在庫を言ってないだろうね」

「極秘でしょう。当たり前よ」

「それなら問題無いよ」



 そろそろ学院も卒業だな。


「兄貴、十日も遅れて合格通知が来ましたよ」

「「わたしたちも来たわ」」

 

「これって不合格になって人間が周りに居ませんよ」

「やっぱり、ぼったくり大学院なのかな?」


「でも俺でも上位二割に入ったと書いてあったぞ」

「なんかレベルが低そうね」


「おい、俺も第二次試験は良い出来だったんだぞ」


 一次試験の結果を聞かずに二次試験を受けに行くとは酔狂な奴だ。


「王立学院も卒業ね」

「国外にでも旅行に行きたいわね」

   

「止めとけ、ミカエルは貴族が争っているみたいだし

オーガスは深刻な食糧不足のようだぞ」


「それじゃ、親を誘ってブルームにでも行きましょうよ」

「悪くないわね。あそこのラベンダー畑は綺麗だって有名よね」


「花かよ」

「卒業旅行と思えばいいんじゃないか」

「それじゃ決定ね」



 

 七月二十日に旅行になった。

 本当に長官職の人間が二十名もやってきたのは驚きだ。


「ここでお昼にしましょうか?」

「そうだね」


「ノア様、一ヶ月後には戦没者記念式典ですね」

「どこで行いますか?」

「どこでもいいんじゃない」

    

「最大の激戦地になったクラウディアでいいだろう」


「お父様、お弁当はどうです?」

「メグ、美味しいよ」

       

「ユリアン長官、宇宙ステーションはどれ位出来たんですか?」

「そうだね、内緒だけど完成したよ。今は二号ステーションの

開発に移っているよ」

           

「ルーカス、そういう事は宇宙開発省長官の俺に聞くもんだぞ」

「マクベス長官は怖いって有名ですよ」


「俺は子供には優しいぞ」

「それなら兄のわたしにも優しくして欲しいもんだ」


「ルーカス、ケイン叔父さんと呼んでやれよ」

「おい叔父さんはよしてくれよ」

           

「アリスの旦那なら叔父さんだろう」

「まあ、そうなんだけどな」


そうなんだよな、アリスの旦那なんだよな

どうするんだ、夢見る君の開発は?

  

 

「まだ二時か、どうする帰るか?」

「そうだ、燃料開発の研究室で新しい燃料を開発中と聞きましたよ」


「第二開発室か、ノア様、行ってみますか?」

「そうだな、時間も半端だしな」


 完成はしてなくても予算を増加する程度は出来てるだろう。



「ここに来るのも久しぶりだな」

「ブルームの街自体、滅多に来ないからな」


 

「ここに何かあるの?」

「アレス液の研究をしてるんだよ」


 さて、全く開発が進んでないとかはご免だぞ。


「よくおいで下さいました。陛下と長官職の方が全員いらっしゃるとは

これも神のお導きでしょうか?」

「何か予言でもあったのか?」


「昨日、ついに新型の魔道炉が完成したんですよ」

「ほう、それでは見せてもらおう」


 完成していたか。

 

「これが新アレス液です」

「見た目は変わりませんね」


「超高熱魔道プラズマ分解炉というのを開発しました。これで従来の

二割程度まで価格を抑える事が可能になり、更に戦闘機でも

空母でも使用可能です。もちろん自動車でも可能ですよ」


 

「それは凄いな高速回転炉は?」

「効率の面から廃止しました。新アレス液ならばスパロウ型戦闘機でも

最高速度を維持した状態で更に燃費も三割は良くなるでしょう」


 

「コンラート、空軍で試してみるか?」

「いいですね」

「ノア様、海軍のファルコンでも試させて下さい」

             

「このアレス液なら宇宙開発省のロケットの燃費を上げる事が可能ですよ」

「つまり造船、自動車、ディーゼル、航空機にロケットの全てに使えるのか?」

 

「そうです、廃棄物利用にも貢献できます

これが知られれば自動車業界は放ってはおかないでしょう」


「よし、コンラートとトムの所で問題なければ

全面的に新アレス液を導入しよう」


「旧アレス液も余ってますよ」

「新と旧だと言いにくいですね」

 

「そうだな、装置の名前を取ってプラズマ液とするか?」

                      

「悪くないですね。なんと言っても覚えやすい」

「ではプラズマ液を空軍と海軍に二十万リットル納入してくれ」

「かしこまりました」


 さすがに幹部が揃っていると判断が早いな。

 こんな事ならスタンドを一万店は買収しておくんだったな。


あまり欲張るのは良くないか。


 

   


お読み頂きありがとうございます。


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