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第百二話:引っ越し


 一月の終わりにミーアは出産して二月の初めにはツヴァイに家族旅行に

行ってしまった。

 ノルト大陸の内戦は一ヶ月近く経っても収束しないで逆に拡大している。


「荷物の運び入れに手間取って十日になっちゃいましたね」

「シャル、主にフロアーの取り合いに時間が掛かったからだろう」


「結局は全部署が本館に入居するんだな」

「財務に八十九階は取られましたが空軍も八十八階を取りました」


「あの壮絶なくじ引きに勝つとはコンラートも運がいいわね」

「デニスの工部省は七十八階だろう」

       

「うちは八十七階を取りましたよ」

「コリーンも運が強いわね」

「そうでもあるかな」

   

 内務、工部、農務、軍務、財務、文部の初期の六省に加えて商務、加工、

林野、総務、国土交通、国税と情報局か

情報局以外が三フロアだから二十四フロアーだから別館と別れるのは確定だな。


「それで割り当ては全て決定したのか?」

 

「はい、情報局と陸海空の三軍以外は本館の六十三階以上に二フロアーと

別館にワンフロアーを設けるという事で決着が着きました」    


 

「本館へは外国人は勿論の事、関係者以外の立ち入り禁止が面倒よね」

「陸軍が高層階を遠慮してくれてギリギリだよな」

 

「すぐに出動出来なかったら洒落にならないからな」

「海軍は六十三階でしょう?」


「コンピュータールームを守らないといけないからな」

「四階と五階が託児所で陸軍が守ってくれるから安心よね」


「そういえば三十六階から四十一階はクレアグループっていう新興グループよね

三十一階から上は賃貸料が跳ね上がるんでしょう。よく払えたわね」

 

「郵便事業で力をつけて今ではシリウスとアレスに次ぐ規模の企業よ」

 

「四十二階から四十九階と五十九階がアレスグループで

五十階から五十八階がシリウスグループなんだな」


 五十九階をアレスグループが取ったのは、きっと意地だろうな

三十四階と三十五階が国営のアレス通信で

三十一階から三十三階部分は宇宙開発部門か。 


「問題は未だに買い手が付かない二十階から二十九階部分よね」

「高層階に比べれば安いと言ってもワンフロアーで年間で海金貨三百枚ですよ」


「あら、住宅棟は一般向けでも月の家賃が黒金貨一枚が平均よ」

「私達が住む部屋はお幾らなんですか?」

  

「ノア様達の住む部屋の金額は想像を超えるでしょうね

もし買ったら海金貨二千枚以上でしょうか」


「住宅棟は買えるのか?」

「強制立ち入り検査を受け入れる事を条件に販売していますよ

下は海金貨二十枚から上は海金貨五百枚までですが八割は既に完売ですよ」

  

「コリーンは詳しいわね」

「商務はこれが仕事ですから」


 四億アルで買えるマンションと年間で二千万アル出す賃貸か

俺だったらかなり迷うだろうな。 


 

「東の方に見えるビル群は何なんだ?」

 

「高層のタワーマンション群ですよ。一番高い建物で六十階で

平均は四十階建てです。あちらは基本的に賃貸契約ではなく販売型で、

一部屋で海金貨二枚からで六千戸以上を提供する予定です」


「そんなに建てて売れるのか?」

 

「エクレールの人口は既に三百万を軽く超えています

これ以上広げようにも農地が邪魔で土地が足りないんですよ

今年から本国では高層ビルの建築ラッシュですよ」


 

「それじゃ本館もすぐに抜かれるな」

「そうですね、いずれ高さと階数では抜かれるかも知れませんが

ここまで金と手間を掛けた高層ビルは五年は建たないでしょうね」


 

「それじゃ、みんなは自分の部署に戻って整理の指揮を取ってくれ」

 

「あのダンボールの山をかたづけないといけないのか?」

「内務のフロアーなんてヨハン達が旅行中だから物置のようよ」

「三日も頑張れば整理出来るだろう」


 

 うちの幹部は基本的に九十一階で仕事をするが次官を筆頭に部下達は

それぞれのフロアーで仕事だから整理は大事だ。



 ここが今日からの新居か。

 

「父さん、ここが新居ですか?」

「ああ、五十八階と五十九階が自宅らしい」


「パパ、このエレベータ、一階と五十八階と五十九階のボタンしかないよ」

「これが自宅専用のエレベーターなんですね」

「そうみたいだな」


「わたしは五十九階の部屋にする」

「それなら私も五十九階ね」

「僕は五十八階の部屋でいいよ」

 

「「私達は五十九階」」

「マキはママと同じ所がいい」


「それじゃ、ルーカスとマキとケイト以外は五十九階だな」

「部屋は早い者勝ちよ」


「それ」

「「ずるい」」


     

 広いな4LDKとかそういうレベルじゃないな。一体何部屋あるんだ。


 

「寝室が十二部屋にリビングが六部屋にキッチンが三つに用途不明の部屋が

十六部屋あったよ」


「それにねお風呂が八個におトイレが十個あったの」

「ルーカス、マキ、探検ご苦労様」


 母さんに一部屋と俺とリリーナで一部屋でルーカスとマキで四部屋だけか。


「ママ!」

「ケイトはお隣の部屋ね」


「一階と二階が各種商品の売り場ですから住宅棟から出なくでも

生活に支障がないですね」


「そうだな」

「車はどうする?」

「コリーンが最新式の車庫が別館の横に併設されていると言ってましたよ」

「そうなのか」


「今日は先に開業している別館のレストランで食事にしましょうか?」

「そうだな、食材を買ってくるにも住宅棟の仕入れは明日以降らしいしな」


        

 あいつらどこに行ったんだ。


「エーン、ママ迷っちゃったよ」

「「広すぎです」」

「二十部屋以上あることは確認したわ」


 結局は全員五十八階に住むことになって、ルーカスだけが一人部屋で

クレアとソフィが同室でクラウスとアリアの双子も同室でマキとケイトの

お世話をメインにメイドを四人、総務長官のレンが紹介してくれた。


「悪かったね、六十階で待っていてくれてたとは知らなかったよ」

「ノア様にカードを認証して頂けないと特別エレベーターには乗れませんから」

   

「私達は姉妹なんですが、上からノン、ラン、エリ、マリと言います」

「それじゃエリさんとマリさんはマキとケイトのお世話をお願いね

ノンとランには家事全般をお願いするわ」


「「「「奥様、かしこまりました」」」」


「ご主人様、……奥様って言われちゃった!」

「リリーナ、わたしの事はノアと呼べと言ってあるだろう」

  

「これからは気をつけますね。ノ、ノア」


「親睦を兼ねてみんなで食事に行こう」

「わたしはお肉」

「僕は魚で」


「「ぜひ、お供致します」」


        

「これって九式の無人送迎車だね」

「電磁軌道を辿って進む最新式だよ」


「十三人だから四人用を四台ね」

「ケイトは人数に入れなくて良いだろう。三台だな」


 目標地点を音声で伝えれば電磁軌道のある場所までなら自動運転か

速度が最高で時速二十キロなのは仕方ないか。


「そういえば、別館って何て名前だ?」

「スカイタワー別館ですね」


『目的地はスカイタワー別館正面でよろしいでしょうか?』


「それでお願い」

『アイアイマム、スカイタワー別館に向けて発進』


 

 広いホールだな。これなら五千人は収容できそうだな。

 

「父さん、レストランは四十八階と四十九階だよ」

  

 地上五十階から七十八階迄はホテルなのか。


「パパ、七十九階にもレストランがあるって書いてあるよ」

「そっちはまだ開店してないみたいね」

    

   

「ママ、ここがいいわ」

 

「いらっしゃいませ、十三名様ですか?」

「はい」

          

「それでは和室にご案内致します」


 和室まであるのか、ケイトには椅子は辛いから丁度いいな。


「えっとね、とろけるハンバーグスパゲディ」

「「えっと、チーズハンバーグ」」


「わたしはヒレステーキーでパンがいいわ」

「わたしは赤マグロのお刺身と焼きかにのセット」

「僕は牡蠣フライと唐揚げでご飯で」


「わたしは今週のお勧めというやつで」

「私もノアと同じで。サラダを十二人前お願いね」

                     

「「私達も同じで」」

 

「「サラダは要らないよ」」

「ダメです、サラダは毎日一食は絶対よ」

   

「ノン達はどこの出身なんだ?」

「私達はミラン帝国の出身です。全員結婚していますが

主人達も全て海軍の空母乗りなので滅多に帰って来ません」

      

「南部に展開中の空母勤務だったか、悪い事をしたね」

「ノア様が謝る事ではありません。主人達は海が好きなんですよ」

「飛ぶのが命だそうです」


 

「おまたせしました」

          

 お勧めはぶりとイカの刺身とイノシシ鍋か。


「「美味しい」」

「美味いは正義です」

    

「ほんとに美味しいですね」

   

 量はちょっと物足りないが味は標準以上だな。



「食べたわ」

「「もう食べれない」」

「お腹いっぱいです」

「もう食べられないの」


   

「それでは、ノア様、カードの認証をお願いできませんか?」

「どうやるんだい?」

「ノア様の管理者カードをこのカードリーダーに通して頂いて

暗証コードを入力して頂ければ認証完了です」

「僕たちも」

  

「よし、母さんとリリーナは持っているし、ケイト以外は全てコピーするか」


 

 ここに入れて、あとは認証待ちか。


『十枚のカードを認証しても宜しいですか?』

「肯定だ」


『認証作業開始……ホストに接続完了……認証コードを入力して下さい』  

     

 コードを入力してと。

    

『ノア・アレス陛下と確認…………認証完了、コピーを九枚開始……完了』


「そういえば、レン様にノア様と呼ぶように言われていますが……」

「陛下とお呼びしなくて宜しいのですか?」

   

「ノアで問題無いよ。国内で陛下って呼んでくれる人はいないしね」

     

「ノア、みんなのお給金はどうする?」

「私達は総務省よりお給金を頂いております」


「幾ら貰ってるか聞いても良いかしら?」

「一律で月に金貨二枚です」

        

「子供の世話と家の手伝いをしてもらうにはちょっと少ないわね」

「わたしから月に金貨四枚ずつ上乗せしよう」


 

「そんなに頂いて宜しいのですか?」

「小さい子供の世話は大変だからね」


 これで代金が小金貨四枚か、店の雰囲気の割には安いと言うべきか。


 ノルト大陸の内戦もそろそろ終わるかな。


お読み頂きありがとうございます。


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