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プロローグ

 拙い文章ですが

お読み頂ければ幸いです。



 高さ三メートル程にある窓からは月が見える、満月かも知れない

今は別荘に併設された倉庫で両手に縄で拘束された状態で放置されてる。

  

「寒いな、もう半月近くになるか。まさかこんな強引な方法で

俺を殺そうとするとは思わなかった。俺の完全な油断だよ」


 横に居るラグドールの猫、タマコに愚痴を言う。タマコは俺が二才の時に

父親が買ってくれた猫で俺が十八才だから、もうお婆さん猫だ。


『ガラガラガラ』

 

「決心してもらえたかな? 父君が残した財産を我が教会に寄付すると証言

してくれれば生き延びられるぞ」


「お断りだ。父さんを殺したのもお前達だろう。お前らがキリスト教を語るな」

   

「そうか、残念だ。外傷があると後々面倒だ。そのまま飢えと寒さで死ね」


 ここはスキー場にほど近い別荘だ。きっと遭難したとか理由を付けて

俺の口封じをして、敬虔なクリスチャンの恵子おばさんあたりを上手く騙して

父の会社を乗っ取るつもりだろう。

 こんなのが俺と血が繋がっているのかと思うと情けなくなってくる。


 しかし、父の会社の役員会に俺が出席しなければ一部の株式以外は

自由に出来ず、新しい社長を選出して新体制で経営再開する事は決定事項だ。 



     


「喉が渇いた。コーラなんて贅沢は言わないから水が飲みたい」

 

 人間死にそうになると、空腹よりも飲み物なんだな

斉藤家の血筋も俺で途切れるのか? そういえばアニメの中で斉藤一が

『悪・即・斬』という台詞があったな、次の人生があったら油断せずに

暴力や宗教に対して真っ向から立ち向かいたい。


 

『君にチャンスをあげよう』

  


 そこで俺の思考は途切れた。



 ◇



 

 なんか暖かい、もしかして警察が真面目に仕事をして

悪徳神父達を逮捕でもしてくれたのか?


「イシュタル卿、元気な男の子です」

     

「我が家にも次男が誕生したか」

「おめでとうございます」


「マリアもよく頑張ってくれた。礼を言うぞ」

「元気な子が生まれてくれただけで満足です」


 この男の子というのはきっと俺の事だよな、まさか生まれ変わったのか?

 色々考えたい事もあるが、ちょっと鳴き声を上げただけで凄く疲れた

とりあえず殺される心配はなさそうだし暫く寝るか。



  

 たぶん一ヶ月程度経った。


 たぶんというのは、目がちゃんと見えないからだ

周りが明るくなってそして暗くなる。それを三十回くらい繰り返したという

憶測からの結論だ。


 赤ちゃんの視力は0.02程度だと聞いた事がある、友人に0.01という

女子生徒がいたが、メガネをかけないとほとんど見えないと言っていた。


「ノア、今日はキングダム王国の英雄のお話にしましょうね」


 俺の母親は毎日三十分程度、俺になにかしらの話を聞かせてくれる

非常に有り難いことだが、普通は言葉を理解出来ないだろうから

きっと母と子のコミュニケーションのつもりなんだろう。


 俺の母親はマリア・イシュタル、父親はルッツ・イシュタルという名前らしい

ミドルネームもあるのかも知れないが、祖父と祖母は外国にいるらしいので

その辺が不明だ。


 ちなみに俺の名前はノア・ブルーム・イシュタルという名前らしい。


    

「ノア様、おむつを換えましょうね」

 この女性はヘルミーナと言って、専属メイドらしいがきちんと俺に

話しかけてから行動するので優秀なメイドなのだろう。しかもかなり若い。 

 いつも居るのでいつ寝てるのかが心配の種だ。


    

「あぅあぅ」

 アクアと言っているつもりだが、舌足らずで上手くしゃべれない

どうやらこの世界は母の物語の話やメイド達の会話から地球とは違う異世界

らしく魔法が存在するようで、ヘルミーナが俺の体を拭くときに容器に魔法で

水を入れてそれを熱してからタオルで拭いていたので現在鋭意練習中だ。



 

 それから半年ぐらい。


 ハイハイが出来るようになったので、遂に移動手段を手に入れた

階段があったので、そこを目標に進んだが寸前でヘルミーナに

首を捕まれて捕縛され、その後に書庫を発見

本を取ってもらったが読めないのでヘルミーナに読んで貰って

終わると部屋へ凱旋する。


「みーごー」

「お腹がすいたんですね。すぐに食事をお持ちします」


 ヘルミーナご飯と言ったのだが見事に伝わっている。こやつ心を読めるのでは

そんな風に思ったこともあったが、最近は長年連れ添った夫婦のように

俺の意思を理解して世話を焼いてくれる。



 母が最近、魔法関連の話をしてくれて、その中に出てくる賢者は赤ちゃんの

頃から魔力を操る事に専念した結果、五才にして小賢者と呼ばれる程の

魔力量を得たとか。

           

「あーぼーう」

 魔力を練ってアクアボールを撃ち出そうとするが、指に何か力が集まる状態

までは掴めるんだがその先が上手く行かない。

   


                     

 二才になった。


 部屋にカレンダーなどという便利な物はないが、部屋の温度でなんとなく

季節があるのがわかる。そして今日は生後二年目の誕生日らしい。


 初めて一階に降りたが、今までは三階の自分の部屋で暮らしていたようだ

大きな食堂に座っているのは全部で七人、末席が空いているのでなんとなく

そこへ腰掛ける。


「ノア、自己紹介しよう。私はイシュタル辺境伯家の当主のハインツ、右側に

いるのが妻のドロシー、そして息子のルッツに嫁のマリア、お前の姉に当たる

六才のノーラと五才のソフィーに四才で長男のアレクだ」


「みなさんよろしくおねがいします。ノアと言います、二才になります」

        

「ノアはお利口ね。もう普通に会話が出来るのね」

「さすがノアだ。父さんも嬉しいぞ」


「ノア、よろしくね。ノーラよ」

「わたしはソフィーよ。ソフィー姉さんと呼びなさい」

「アレクだよ。よろしくね」

  

「ノーラ姉さん、ソフィー姉さん、アレク兄さん、よろしくおねがいします」


「今日からノアもみんなとここで食事を食べることになる

食事は朝の七時と昼の一時と夜の七時だ。遅れることのないように」

       

「お爺さま、わかりました」


 これが俺のじいちゃんなのか? どう見て見も四十前にしか見えない

祖母に至っては二十代後半と言われても信じてしまうだろう。

 俺の母親も二十歳前に見えるけどな。


 

「父上、ヒンメル神聖国の動きは如何ですか?」

「我がアルタイル王国との一年の戦争でかなり疲弊しているが、二ヶ月前の

休戦協定で星金貨七十万枚の賠償金の見返りとして相互不可侵条約を結んだ

我が国に恨みがあるだろうが五年は内政で精一杯だろう」


「しかし、イース教徒どもは本当に厄介ですね」

「そうだな。我が国も国軍から警備軍を組織してイース教徒共の摘発に

力を入れているが殲滅には時間がかかりそうだ」


 この異世界にも幅を利かせている宗教があるのか? 困った物だ

祖国が変な宗教に汚染されていないだけマシと考えるべきか。


 

 心の中で再び誓う、『悪、即、斬、イース教』。  



百話以上を目指す予定です。


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