手にした能力。
能力解説界です。
「私は、この国の第一王女、アウトと言います。」
…………少女説明中…………
「……で、此処は私達が元居た場所とは違う世界で、魔法やら何やらが幅を利かせてる…と。それで?私達、元の世界じゃ戦争とかの無い、いたって平和な島国の一般人でしななかった訳だけど?そもそも元居た世界に帰れるの?」
姫と呼ばれた少女に対し、矢継ぎ早に質問をしていく白戸、流石は教師である。
「状況が理解出来ないのは解りますが、先ずは皆様、私の父である国王、【クレス・タイラント】へと謁見をお願い致します。」
タイラント=暴君。と言う、どう聞いても国民に圧政を強いてそうな国王の名前に、一抹の不安を覚える一同であった。
一同移動中…………
「それでは…」
豪奢なドアが開くと、
そこに居たのは筋骨隆々な、まさに鋼の肉体と呼んでも差し支えの無い、居丈高であった。
そんな事よりも一同の関心は…
「ねえ、あれ突っ込むべきかな?」
「おま、相手は王様だぞ?んな事したら俺ら全員打ち首にされるわ」「でも、あの髪型は……」
『『『どう見ても【カニ】にしか見えない』』』
「はぁ…お父様、髪型位ちゃんとして下さい。」
「アウトか、しかたがあるまい、何度撫で付けても髪が跳ねてしまうのだからな…して、彼等が召喚の義にて呼ばれた者達だな?」
「皆様、突っ込みを入れたい気持ちも分かりますが…この方が私の父の【クレス・タイラント】です」
「オッホン!我こそは、このタイラント国の国王、クレス・タイラントである!歓迎するぞ、異界の勇者達よ。」
権謀術数、酸いも甘いも知り尽くした王だけが放てる気概がそこに在った。
「突然で済まぬが、異界の者達よ、どうか我等に力を貸して貰いたい」
「力を貸すとか意味が分からない事を言わないで下さい!そもそも、そこに居るお姫様にはさっきも言いましたけど、私達は戦争なんかとは縁遠い一般人なんです!何かと闘う力なんかありません!!」
白戸の発言に、そーだそーだとざわつく生徒達。
「なんだアウトよ、彼等への説明もまだだったのか」
「先ずは1番の責任者たる王が彼等に挨拶をすべきかと思いましたので。」
「闘う力ならば、既に皆様は手にして居られますよ。」
「「「?」」」
「【ステータス・オープン】と唱えてみて下さい」
とりあえず言われた通りに一人の生徒が呟いた。
「…ス、、、ステータス、、オ、オープン?」
すると…
「なんか出たぁっ!?何これ!読めないんだけど?何語?」
「俺等には見えねえぞ?」
「とりあえず唱えてみるか?」
「そうだな」
「「「「ステータス・オープン!……って何じゃコリャァァッ!!?」」」」
某太陽に吠えてしまう刑事の、いまわの際の台詞の様なリアクションで驚く生徒達。
真名兎も他に習い唱えてみる。もちろん他の者には聴こえぬ様に小声で…「ステータス・オープン!!」
すると…
“名前:マナト・ウサミ
性別:女性
職業:なし
スキル/スキルランク:遮断/Ex、鑑定/C、言語翻訳/C、取扱説明/Ex
スキルポイント:100000
称号:異界よりの迷い人、復讐の使者”
他の連中が表示されたステータスを解読出来ずに困惑する中、【取扱説明】と唱えてみる。
すると、頭の中に声が響く
『どの項目の説明をしますか?』
「僕の能力…?らしいんだけど、“遮断”って言うのと、“スキルランク”て奴に付いて」
『かしこまりました。先ずは能力である“遮断”についてですが、あなたの固有能力であり、干渉系に分類されます。指定した対象間に発生する指定した現象の発生を封じる事が出来ます。分かりやすく言えばAとBの間に起こるC、及びDを無効に出来る能力です。尚スキルの発動には相応のスキルポイントを要します。身体能力等におきましては、知能以外は外見相応であると判断されます。』
「なるほど」
『続いてスキルランクですが、下からF.E.D.C.B.A.S.SS.SSS…です。現状確認されている最高位は“SSS”であり、確認された“Ex”はあなたが初です』
「へぇ、つまりはSSSよりも上って事?」
『そうなります。ちなみに言語翻訳はFが生後数ヵ月の赤ん坊程度の言語理解、Eが3歳児程、Dは文字が書けるか否かと言う所、Cは日常会話や読み書きが可能……SSは………と言った所です。』
「じゃあ、こうやってスキルがすぐにわかったのは【言語翻訳/C】のおかげ?」
『有り体に言えば、そうなります。』
「………そうか、そっか、そっかぁ…」
真名兎はすぐに理解した、この能力は大切な人を汚され、永遠に奪われた僕に神様が与えてくれたのだと。
奴らに復讐する為の力と、大切なモノを二度と奪われない様に守り抜く力を。
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