その線は少女に絶望を突き付ける。
始めまして、書いてみました。ゆるゆると書いていきます。
『マナ君、ごめんね。お姉ちゃん、もう……』
その日、僕の大切な女性が自ら命を絶った。
都内有数の進学校、その合格発表の日、
「ねえ、あの男の子可愛くない?」
「でも、男子用制服なのが惜しい処…」
「そんなに気になるなら、声掛けてみたら?」
そんな周囲の声が聴こえているのか、いないのか…
「やった!受かった!これでまた満月お姉ちゃんと一緒の学校に通える!!」
握り拳を作り、全身から喜びのオーラを発する小柄な少年。
宇佐見真名兎。
周りの上級生や同学年の女子からの小動物でも見るかの様な視線を意に介する事なく、最愛の姉に合格の報告をしようとした時。
「あれ、満月お姉ちゃんからメールだ。『マナ君、ごめんなさい。お姉ちゃん、絶対に出て欲しくなかった線が出ちゃいました…』?」
何の事かイマイチ分からないまま、最愛の姉の待つ家へと元へと足を運ぶ真名兎。
「ただいま!!満月お姉ちゃん!やったよ!……僕受かったよ。お姉ちゃん?」
そこには最愛の姉が倒れていた。
中身がほとんど入っていない睡眠薬の瓶と、陽性を示した妊娠検査薬と共に…
「え?何だよ、これ…嘘だよね?」
あまりの光景に脳の処理が追い付かず、真名兎が膝を付いたその時、姉のスマホが一通のメールを受信する。
『from:蔦谷龍二……
また明日も俺等の性処理頼むわ、満月ちゃん。肉便器としてずっと可愛がってやるからよ(笑)』
「……そっか、こいつがお姉ちゃんに酷い事をしたから…許さない、絶対に許さない!!」
数日後、、、
「…以上を持ちまして、今年度の入学式を締め括らせて頂きます。皆さん、善き学園生活を。」
「ふー、やっと終わったわ。あのオッサン話長いわー。」
「校長なんて何処も大体あんなモンだろ?」
「せやけど、ありゃ自分に酔ってる典型的な奴やで?」
周囲に居る同年代の少年少女の中を、頭一つ程小さな少年が校舎に向かって歩いていた。
「三年の教室は…と、この辺りか。」
「あら?マナ君。」
「久しぶり、澄姉ちゃん」
上級生の教室の前で意を決してドアに手を掛けようとしたら、一人の少女が話掛けて来た。
彼女の名前は黛澄音。
身長が150と少ししか無い真名兎よりも小柄な少女は、上級生として、可愛い後輩にお姉さんオーラを漂わせながら、
「こら、学校では先輩って呼びなさい?満月の葬儀以来ね。どうしたの?」
「うん、ちょっと蔦谷先輩って人に用があって、このクラスに居る?」
「ああ、蔦谷君なら満月があんな事になったから会長代理で先生に呼ばれてるわ。そろそろ…」
「ただいまー。」
「おー、おかえり会長代理殿」
「そう思うなら手伝ってくれても構わんぞ?生徒会庶務の強矢君と書記の馬場君?」
「僕等は会長代理を影からこっそり支えるのが仕事なので、表立って動くのはちょっとね」
「うん、うん…」
「って話してるうちに帰って来たわね。…マナ?」
「あなたが蔦谷先輩ですか?僕は宇佐見真名兎って言います。」
「そうか、君が…お姉さんがあんな事になって辛かっただろう?彼女の弟なら僕らにとっても弟みたいなものだ。何かあったら何でも言うと良いよ。」
「先輩、僕が何も知らないとでも思ってるんですか?」
「…何の事かな?」
「先輩“達”が満月お姉ちゃんにした酷い事を…ですよ?」
その一言で蔦谷と強矢、馬場が顔色を変える
「何を言ってるのか分からないな」
「あー、なるほど…他の奴等が誰だか解らなかったけど、とりあえず二人分かったよ。」
その時、一触即発の空気が空気を読まない男の登場に因って霧散する
「おー、マナ!どうした?一年は校舎違うだろ!」
「猿渡君、何かマナが蔦谷君に話があるみたいだったから」
「久しぶりヒデ兄ちゃん、この人達と満月お姉ちゃんの事で話があったんだ」
「はーい、皆ー、席に、付い…ん?君は…確か宇佐見さんの弟ね、一年は教室違うわよ、ほら、さっさと戻りなさい」
「はぁ、邪魔が入ったみたいですね。日を改めます。蔦谷先輩、強矢先輩…あと、名前知らないけど、馬面の先輩」
真名兎が教室を出ようとしたその時……
「うわぁっ!何だよこれ?」
「きゃー!!何、何なの?」
「床に変な模様みたいなのが!?」
一瞬にしてパニックになる教室内。
「っ!!」
今を逃したら復讐の機会を永遠に失う事になる、と直感的にそう感じた真名兎は、上級生達がパニックを起こしている教室の中へと再び足を踏み入れ、机の上にあった花瓶から、一輪の花を抜き取った。
「満月お姉………ちゃん………」
そこで真名兎の意識はプツリと途絶えた。
いわゆるTSチートな異世界ファンタジーです。マイペースにやって行きます。誤字やら脱字やらは教えて下さい。