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自分、異世界で従者として働きます。  作者: Hirota
第一章 従者として
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ベイル市場

  今さっきの店から出てレナとまた適当にぶらついた。


  露店で串焼きを買ったり、アクセサリー屋さんでアクセサリーを見たりして時間を過ごした。


  レナは僕と回るのが楽しいのかずっと笑顔だった。


でも、僕は今心の底から楽しめていなかった。


なぜかと言われたら服屋さんを出る前に感じたものを考えていたからだ。


  それは僕を呼んでいる気がした。


いや、確実にそれは僕を呼んでいた。こっちに来てと弱々しい声で。


  一体あれは何だったんだろう?今度一人でいってみるか。

 

  「ロイ?ねぇ、なんで無視するの?」


  レナが僕にそう言ってきた。


  レナの顔を見ると、僕のことを心配する表情になっていた。


  レナに大丈夫なんでもないよと言って、何を言っていたのか聞いた。


  「そろそろ寮の方に行かない?って聞いたんだけど」

  「そうだね‥‥‥。じゃあ、そろそろ寮に行こうか」

 

  寮に向かおうとした時、レナは何かに気づいたのか足を止めた。


  「あ、そうだ。夜ご飯の材料も買っていかないと」


  な、なんだって?


  「‥‥‥レナ、それって自分たちで作るってこと?」

  「私達の行く寮がどうだかわからないから一応買いに行くって感じかな」

 

  できればそういうことはもっと早くに知りたかったな‥‥‥


  「じゃあ市場に今日の夜ご飯の買い出し行きますか」


  レナがうんと頷いた。僕はレナの後ろについて市場へと歩いた。


  「そういえば、レナって料理出来るの?」

  「え、まぁできるよ。それより夜ご飯なに作ろうか」


  市場へ向け少し歩いてて疑問に思ったことをレナに聞いてみた。


すると、レナは何かを誤魔化すかのように話題を変えてきた。


  この誤魔化し方はわかりやすいっていうか、嘘をつくのが苦手なんだろうな。


  「夜ご飯何が良いかレナが考えてよ」

 

  そう言うとレナはうーん唸りながら考え始めた。僕は周りの建物を見ながら、服屋でのことを考え始めた。

 

  ベイル市場、クロード学園街の商業区にある一番大きい市場。


この市場にはシューラ王国の各地から取り寄せた国民食から珍しい食材、武器や防具、旅に必要な道具なども売られている。


そのため一般人だけでなく、冒険者も多く訪れている。


  「で、レナ。今日の夜ご飯何が食べたい?」

  「うーん、おいしいもの!」


  レナって以外に食いしん坊なのか?


  「えーとな、おいしいものだけじゃ何もわからないから具体的な料理を言ってくれ」


  レナがまた考え始めたので、露店に出されてる商品を横目で見ながら歩いた。


  少し歩くと商人が僕たちに声をかけてきた。


  「おーい、そこの坊主と嬢ちゃん。うちの店でスパイスを買っていかないか?南東の方で栽培されたスパイスだよ!」


  すると、レナはスパイスと聞いて何かを閃いたらしくこっちを見た。


  「ねぇ、ロイ。今日の夜ご飯、カレーにしない?」


  カレーか‥‥‥スパイスから作るのって難しいんだっけな。


調合やら使い方が少し違うだけで味や香りが変わるからな。


この人に言えば、ある程度の所まではやってくれるかな?


  「‥‥‥おっちゃん、カレーに使えるスパイスお願い」

  「お、坊主買ってくれるのか。カレーに使うやつだと‥‥‥ここら辺かな。こっちで量と配合するがええか?」

  「うん、問題ない。量は‥‥‥四、五人分で。」


  そう言うと、手際よく空の瓶に色々なスパイスを入れてった。


  「あいよ、この量だと銅貨六枚だな」


  僕は代金を渡し、カレーに入れる具才を集めに他の露店に向かった。


そして、買い出しが終わったのはそれから約一時間後だった。


  ちなみに今日買ったものは全てロイの異空間保管に入れられている。


  「カレーに入れる食材も買ったし、寮に行くか?」

  「そうだね。お店を一個ずつ見て回ったからもうこんな時間だよ」


  レナとベイル市場を後にしようとすると、前の方に人だかりができたいた。


  何があったんだろうと人混みの中を割っていくと、そこにはいかにも悪さをしていますと物語っている男が子供に暴行をしている所だった。


  「ガキが良くも俺様の服を汚したな!おら、なんか言ってみろよ!」


  どうやら暴行されている子供が男の服を汚して、殴られたりしているらしい。


  そして、周りで見ている大人は助けたいが自分もとばっちりを受けるのが嫌で動かないようだ。


  それらを見た僕は怒り、手をぐっと握りしめた。


暴行をしている男もそうだがそれを見ているだけの大人にもムカついたのだ。


なぜ助けない?


なぜ子供が目の前で暴力をふられているのに手を差しのべない。


そして、一瞬だけ景色が変わった。


どこか部屋のなかで殴る大人とそれを泣きわめいて殴られている子供。


僕は無意識に思い出したくもない記憶()()()()()()()()()()()が一瞬よぎり、怒りが頂点に達した。


  「‥‥‥レナ、僕はこれからあの男を止めるから、ここで待っていて欲しい。」


  そう言うと、レナは頷いた。


  でも、顔は何かあったら加勢すると言っていた。


  僕はその顔を見てレナに介入させないよう直ぐ終わらせようと思った。


  僕が人混みを掻き分けて、男の方に歩くと周りの野次馬が少しざわついた。


  どうやら僕があの男を止めようと前に出たのが あれだったらしい。


そんな風に思うなら自分たちでやれよと心の中で呟いた。


  男は近づいてくる僕を見ると少しニヤついた。

 

  「なんだ、ガキ?その年で正義の人ごっこでもやるのか?」

  「‥‥‥黙れ」

 

  そう言ってやると男は少し後ろに下がった。僕を中心に濃密な殺気が降りた。


  「お前みたいなやつは弱いやつをいたぶらないと生きていけないんだな。」

  「な、なんだガキ!俺様に歯向かうつもりか!?あぁ!?」

  「あぁ、そうだよ。てめぇみたいな屑を見ていると‥‥‥」


  ━━━━殺したくなるんだよ


  「このくそガキがぁ!!」


  男は懐からナイフを出してこっちに突撃してきた。


周りの大人は悲鳴をあげているが僕は気にしなかった。


僕は男が振ったナイフを避けながら、観察をし隙を伺った。


  そして、男が勢いよくナイフで突きをした隙に腕をつかんで背負い投げをした。


  男は受け身が取れなかったのか、頭から落ちて目を白くして意識を失った。


  あ、やっば。殺意は持っていたけど、殺す気はなかったからな。


‥‥‥生きているよな、こいつ。


  この男をどうしようか考えているとガシャガシャと音がした。


  音のする方を見ると白い甲冑を着た集団が走ってきた。


  たぶん今さっきの騒ぎで誰かが衛兵でも呼びに行ったのだろう。


  甲冑を着た集団が人混みを割って倒れている男と子供、僕に近づいてきた。


  「‥‥‥君がこの男をやったのかい?」


  甲冑を着けているから性別はわからないが、声の感じからして男なんだろう。そして、衛兵の隊長なのか他の甲冑と少し形が違っていた。


  「‥‥‥はい、そうです。僕がやりました」


  そう言うと、隊長らしき人は感嘆した。


  「ほぉ?見た感じただの子供じゃなさそうだな。じっくり話を聞きたいところだが、我々は忙しいからなまた後日話を聞こう。お前ら!そいつを縄で縛れ!連れていくぞ!」


  衛兵たちは男を縄で縛って引きずるように連れていった。


  男にぶつかった子供は気を失っていたので、衛兵の一人がおんぶをして家に返しに行った。

 

  男が無事逮捕されて安心したのか野次馬たちは解散していった。


  僕はレナのところに戻った。すると、レナは笑顔でおかえりと言った。


  その言葉に少し恥ずかしくなったので、顔を反らしてただいまと返した。


  レナが寮につくのが遅くなるから早く行こうと急かしてきたので、レナと一緒に寮に向かった。


少し表現を変えました。

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