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自分、異世界で従者として働きます。  作者: Hirota
第一章 従者として
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初魔法

「━━て、起━━ってば」


  遠くで僕を呼ぶ声がした。

 

眠い‥‥‥、まだ寝たい‥‥‥。

 

そう思い布団にくるまったが、今度は肩を揺すられ強制的に起こされた。

 

まだ寝たいのに‥‥‥誰だよ、僕を起こそうとする人は。まぁ、一人しかいないんだけど。

 

目を開けると、僕を起こそうとしている人物の顔が目の前にあった。


  寝ぼけていたため顔が良く見えなかったが、起こした張本人の名前を言った。


  「‥‥‥おはよう、レナ。ふぁ~、起きたから退いてくれないかな」


  僕がそう言うと、レナはソファーから少し離れた。


背伸びをしながら壁時計をみると八時を指していた。


レナは僕より早く起きたのか私服に着替えていた。


  「もうロイったら、九時に学校に行って入学の手続きをしなきゃ行けないから、早く準備して。」


  ‥‥‥はい?


  「‥‥‥昨日、オリバーさんはそんなこと言ってなかったよね?」

  「い、言ってないけど。あ、あれなの、今日の朝おじさんから言われたの。九時に学校に来て入学の手続きをしてって。」


  レナは僕に何か隠してるのかな?こんな風に急かしてくるし。とりあえず言うことは聞くか。


  レナを部屋から出して昨日メイドに洗濯してもらった服を着た。


  そういえば、この世界に乾燥機みたいな物はないだろうからどう乾かしたんだろ?やっぱ魔法かな?


  着替え終わり、廊下で待ってたレナを連れて朝食を取りに行った。


レナは僕より早く起きて朝食を済ませたのか、メイドから紅茶を入れてもらって僕が食べ終わるのを待っていた。


  朝食はパンにスクランブルエッグ、ポテトサラダ、オニオンスープだった。


  ‥‥‥僕的に朝は米が食べたかったけど、ここは異世界。


あるかもしれないけど、滅多に出回らないだろうし、諦めて朝食を食べた。あー、お米食べたーい。


  そう心の中で考えながら、朝食を取っていたせいで、時間が三十分になってしまった。


  レナが「歩いたら間に合わないから走ろう」とか言い出した。


  結局走りました。


「歩いても間に合うだろう」と言う前に、レナが走ってしまった為、見失わないように追ったからだ。


  レナを見失わないよう追うと、学園の前に着いた。


  学園の門に近付くと、昨日オリバーさんが着ていた服と似たローブを着た人が十数人学園の敷地内にいた。


  てか、オリバーさんローブを着た人たちの先頭にいるし。あの人学園の教師だったのか。


  「はぁはぁ‥‥‥、レナ‥‥‥何を急いで走ったんだよ‥‥‥。そろそろ理由を━━━」

  「急いで来た理由は今からわかるよ」


  一体なにがわかるんだよ‥‥‥。


教師とかがたくさんいるところを見ると、何かお偉いさんでも来るのか?


  そんな風に心の中で愚痴りながら、レナと待っていると、街の方から馬車が二、三台こちらに向かってきた。学園の門を通りすぎて、オリバーさん達の近くで止まった。


  馬車が止まると、中から少年少女が出てきた。歳は自分と同じぐらいで、日本のどこかの学校の制服を着ていた。そこで僕は思い付いた彼らが何者か。予想だが、彼らは異世界に召喚された勇者だと。


  彼らを観察してると、何故か心がざわついた。


  何だろうこの感じ。なぜ彼らを見ているとこう懐かしいと感じる。


  勇者らは周りの建物が珍しいのか、キョロキョロと見回していた。


  「レナ、君が見たかったのって彼らなの?」

  「そうよ。彼らはね、シューラ王国が召喚した勇者らしいの。今日の朝おじさんから、九時位に来れば会えるよって聞いたからロイを急いで起こしたの。ごめんね。見たいものも見たし、私たちも入って手続きしよ」


  レナは勇者達がいる所を避けて校舎の方に歩いた。


  僕もそれに続こうと勇者の横を通ると、勇者の仲間の数人が驚いたような顔をしてこっちを見た。


  僕の何を見て驚いているのかはわからないから、無視してレナの後を追った。

 

  学園に入るための為の手続きは簡単で直ぐに終わった。用紙に自分の個人情報を書いて提出するだけだった。


  その後僕らは体の採寸をして、自分の体に合った制服が渡された。レナは僕のことで説明をするため少し長かった。


  学校は明日から来れば良いらしいので、暇になった僕らは一旦オリバーさんの家に戻った。


  今日から寮に泊まれる為レナの荷物を取りに戻るのと、メイドたちにお礼を言う為だ。


  「「一日だけでしたが泊めてくださってありがとうございます(した)」」

  「こちらこそ、久しぶりの客人だったものだから楽しかったわ。たまには、泊まりにいらっしゃいね」


  僕とレナはオリバーさんのメイドたちにお礼を言って後にした。

 

  そして、今僕は訓練区でレナに魔法を扱う為の魔力について教えてもらっている。


  何故かというと、寮に行っても暇だからだ。


  僕たちが少しの間住む寮は、シェアハウス的なものらしい。

一軒家をそのまま寮のように改造して使っているらしいからだ。


そして、今の時間は学校で授業を受けるため寮には誰もいない。


だから、この時間を使って魔法を教えてもらっているのだ。

 

  「よし、だいたい魔力の扱い方も慣れてきたようだし、そろそろ魔法を教えよっか」


  レナに「お願いします」と言うと、レナは魔法の練習用の的に手を向け僕に魔法の説明をした。


  「魔法をね撃つには二通りあるの。それはね、魔法の具体的なイメージと詠唱なの。」


  そう言って彼女は手を向けた方に小さな火の玉を放った。


  この世界でちゃんとした魔法を見て僕は感動した。昨日見た、オリバーさんの魔法は放たれた後だったし。


  「でも、どんなにイメージが完璧でも最後に魔法名を言わないと性能が少し落ちるの。」


  そのあと彼女は小さく『ファイヤー』とさっきより少し大きめの火の玉が放たれた。


  「で、少し話が戻るけど、魔法を二通りにはちゃんとメリットとデメリットがあるの。イメージの方は相手にどんな魔法かを探知させないことがメリットなんだけど、逆にデメリットが魔法に使うための魔力を多く必要になるの。詠唱の方はイメージのメリットとデメリットを逆にした感じね」


  へぇー、要するにイメージの方は対人用で、詠唱は人以外って感じか。お互い無い物ねだりなんだな。


  「魔法の詠唱は学校で教えてもらうから、今日はイメージでやりましょ。まずは火属性からやるわね。」

 

 僕はうなずくとレナは目をつぶり魔力を集めるため集中した。そして、魔法名を唱えた。


「『ファイヤーボール』」


  そう唱えると、手からさっき出したファイヤーより少し大きめの火の玉が真っ直ぐに飛んでいき、的に当たると小さく爆発した。


  どこぞの兄弟が使うものに似ていなくもないんだよな~。レナの見てイメージもだいたいできたし、やってみるか。


  レナと同じように手を練習用の的に向け、魔力を集中させ魔法を放った。


  「『ファイヤーボール』!」


  そう唱えると、レナのより小さく遅いが少し青色に近い()()()()()()()火の玉が飛んでいった。的に当たると爆発はせず、溶けてしまった。


  なんかレナのと比べると色々違うけど、初めて魔法が撃てて嬉しい。


レナはなんか僕の魔法を見て少し驚いてるけど、今はそれより魔法の練習だ。


  その後もレナから水魔法や土魔法を教えてもらい、練習を重ねた。


  かなり集中して火の玉を二つ作り魔法を放つと、二つとも的には当たらず、的の近くに着弾した。


  もう少しなんだよなと思い、もう一回撃とうとすると、ぐぅ~とお腹がなった。上を見上げると太陽が真上に来ていた。


  もう昼かまだ練習したいけど、さすがに体力がもう限界か。


  近くで僕と同じく魔法の練習をしてたレナに声をかけた。


  「レナ、そろそろ昼だし、昼御飯食べない?」

 

  レナはそうねと言って、集めてた魔力を霧散させた。

 

  「私もお腹が減ったし、商業区に行って何か食べましょ。」


  今日の昼御飯を食べる為、訓練区を後にした。


  そして、僕たちと入れ替わるように大勢の人たちが違う入り口から入ってきた。

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