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自分、異世界で従者として働きます。  作者: Hirota
第一章 従者として
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クロード学園街

クロード学園、シューラ王国が出来上がって直ぐに建てられた学園の一つ。


下は七歳から入学出来て、日本でいう小学校、中学校、高校が合わさった学園。


その周りを囲むようにして発展していったのがクロード学園街。最初は教師と生徒が不自由なく暮らせる程度だったが、様々な所から来る移民によって街が少しずつ大きくなって、今の状態になったらしい。


街はクロード学園を中心に四つの区に分かれている。


北側に商業区と研究区、南側に訓練区と居住区。さらに区の中でも分かれていて、例えば商業区だと、武具店や市場、家具店それに奴隷店などに分かれている。


クロード学園街に入る手前の検問所で並んでいる間にレナから教わった話だ。


検問所に出来ている列は長いわけではないが一つ一つ積み荷を確認する為時間がかかる。


御者のおっちゃんによると、この列だと一時間ぐらい並ぶと言われた。


で、待っている間暇だから、異空間保管に入ってたリンゴを食べながら、レナからこの街のことを教わっていた。


そして今は、この世界の金銭関係を教えてもらっている。


「え~と、この世界の貨幣は下から石貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨になっていて、石貨十枚で銅貨一枚、銅貨十枚で銀貨一枚のように両替ができるの。」


この世界の金銭感覚はよく分からないが、日本の金銭感覚とだいたい同じか。まあ、予想はしてたけど。


そんな感じでレナからこの街の歴史と金銭関係を教わっていると、僕たちの番になった。

馬車を進めて、兵士にリストと手紙を渡して一言二言話した。そのあと、積み荷の確認して、通してもらった。


前の人は十数分掛かったのに数分で終わらすって、このおっちゃん一体何もんだよ。

 

検問所を通りすぎると、そこは商業区だった。もう夜になったので、飲食店が外にテーブルを設置して客を集めていた。


御者のおっちゃんは依頼された荷物を納品するため、僕たちは礼を言って別れた。

 

僕とレナは今訓練区へと向かっていた。何でもレナの知り合いがこの時間帯だとそこにいるらしい。


その人は日中忙しい為、夜に訓練をするらしい。そんな話を聞きながら向かっていると、訓練区の近くまで来た。

 

「訓練区って言われるだけあって、武装してる人が多いね。」

「そうね、この時間帯まで冒険者や新しく入った兵士とかが、ここで訓練をしたりするの。たまに学園の生徒も来て冒険者に教わったり、見たりしてるの。」


 そんな話をしながら訓練場に着くと、中からドォーンという爆発音がした。

しかも、一回だけではなく何回も連発して鳴っていた。だが、街の人は気にせず会話をしながら歩いていた。


「ねぇ、何でみんな爆発音聞いても慌てないの?」

 「えっとね、爆発音の犯人が、私の知り合いで。昔から毎日やってるから、もう誰も気にしてないの。」


え、えぇ~。それって要注意人物だよね?日課で夜に爆発音たてるとか、近所迷惑にならないのか?

 

そんな風に考えながら、レナと訓練場に入ると、中にローブを来た見た目は青年の男性がたっていた。


そして彼の周りはいくつもののクレーターが出来ていて、その爆発の威力を物語っていた。青年は僕たちに気が付いたのか、笑顔でこちらに歩いてきた。


そこで僕は気が付いた。彼の耳が人より長く先が尖っていた。そう彼は異世界ものでよく登場するエルフなんだと。

 

レナはエルフを見ると笑顔になって、


  「おじさん!また会えて嬉しいよ!」


 そう言って、エルフに抱きついた。エルフの方もレナと同様に抱き締めた。


僕は黙って見ていた。久しぶりに再会したのだから、邪魔するのはなんか嫌だし。


しばらく黙ってると、エルフの人がこっちを見た。その視線は君は誰だいという風に感じた。


「初めまして、僕はロイと言います。レナと出会った経緯は後で話しますが、彼女が一緒に学校へ行こうと言ったので、着いてきました。」


そう言うと、エルフはレナの顔を見た。その目は彼が本当のことを言ってるかの確認だと思った。そして、レナはうん、と頷いた。


「そうですか、君の話を詳しく聞くために私の家へ行きましょう。そこでならゆっくり話が出来るでしょうし、それに今日はもう遅いので私の家であればそのまま泊まれますしね。遅れましたが、私はオリバー・ハイムといいます。みんなから、オリバーおじさんと呼ばれています。」


軽い自己紹介のあと、僕たちはオリバーさんの家へと向かった。


向かう途中オリバーさんは色々なことを聞いてきた。君は何の職業なのかとか、どんなスキルを持っていて、どれぐらいのステータスなのか。

 

そういう所を聞いてくる顔がレナに似ていると言って笑うと、レナが少しムッとした表情でこっちを見てきた。


そんなレナを宥めている僕を見てオリバーさんが笑う。


そんなことをしているうちにオリバーさんの家に着いた。

 

見た目は貴族が住んでいるような大きい屋敷だった。


オリバーさんの後を追って屋敷に入ると、そこには・・・。


  「お帰りなさいませ、ご主人様。そちらのお子さんたちは?」


  メイドが居た。しかも全員獣人族の女性だった。


「こっちの女の子は昔セーレンと来たレナで、こっちの男の子はロイと言って、レナが連れてきたらしい。この子達は、明日から学校に通うから今日だけ泊まらせようと思う。そこら辺は君たちの方が詳しいだろうし、後はまかせるよ。私は部屋着に着替えとくよ。後留守中に届いた私宛の荷物があったら部屋にお願いね。」


そう言うと、オリバーさんは着替えるために自分の部屋へと行った。

 

「さ、仕事をしましょう。まずこの子達の部屋を決めないといけないんだけど、今日は二人とも同じ部屋で良いかしら?」

 

いやいや‥‥‥、女の子と、同じ部屋って良くないでしょう。


 「僕は他の━━━」

 「うん、一緒でいいわよ。ってどうしたの、ロイ?そんな顔をして?」

 「もういいよ‥‥‥。部屋は一緒でいいけど、同じベッドでは寝ないからな!」


レナがえぇ~って顔をしてるけど、気にしないったら気にしない。


僕とレナはメイドに連れられて、一階の庭に近い部屋に案内された。


部屋には少し大きいクローゼットと鏡、机にソファーなどが置いてあった。だが、一個だけ問題があった。ベッドが一つしかなかった。

 

どうしよう、ソファーがあるからそこで寝ようかな。


僕があれこれ考えてる時、レナはお風呂に入ると言って、部屋から出ていった。


部屋で一人になった僕は、机の上に装備してたマントと剣、グローブを外して置いた。


レナもしばらくお風呂から出ないと思うから、本棚に置いてある本でも読むか。


机の横にあった本棚から本を一冊持ち出して、ソファーに座って読み始めた。


「失礼します、ロイ様。お夕食が準備できましたので、お呼びに上がりました。レナ様も先に向かっておりますので。」


 そういえば夕食はまだ食べてなかったな。まぁ丁度切りの良いところだったし。


本を閉じて部屋を出るとメイドが一人立っていた。メイドに連れられて部屋に入ると、オリバーさんとレナが座って待っていた。


僕はレナの対面に座ると、メイドが料理を持ってきた。

 

料理はハンバーグに付け合わせの野菜、パンにオニオンスープだった。

 

メイドも一緒に食べるのか、空いてる席にも料理が置かれていった。

メイドたちも全員揃い、オリバーさんが食事前に神に感謝して、食事が始まった。

 

食事が終わった後、レナはオリバーさんと話すと言って彼の部屋に行ったので、暇になった僕はメイドからお風呂の場所を聞いてお風呂に入りに行った。


体を洗い、湯に浸かった。日本人にはやはりお風呂は必要だと思った。


そんな風にゆっくりと浸かっていると、コンコンとお風呂場の戸が叩かれた。


 「ロイ様、お着替えの方をここに置いときますので。後、ご主人様が後で話したいと言っていたので、着替え終わったら読んでください。」

 

たぶん、僕のことかレナと学校に行くことなんだろうなぁ。


「わかりました、後、数分で出るので待っててください。」


そう言ってお風呂から出た。メイドは廊下で待っているので、時間をあまり掛けないように直ぐに服を着て、お風呂場を後にした。


 廊下で待っていたメイドの後についてって、二階のオリバーさんの部屋に来た。


 「ご主人様、ロイ様をお連れしました。」

「うん、入って良いよ。」


許可を得たので部屋に入ると、レナとオリバーさんが対面に座っていた。


僕はレナの隣に座り、メイドが用意した紅茶を飲んで一息ついた。


「さて、ロイくんが来たし、これからのことを話そうか。まず君のことを詳しく聞こうか。」


 僕はこれまでの経緯を詳しく話し、レナと一緒に学校に通うことを伝えた。

 

オリバーさんは僕の話を聞き終わると、少し困った顔をした。


 「うーん、君のこともわかったし、学校に通うことは問題ないんだけど、君の立場が少し問題なんだよ。」

「どういうことですか、それは?」

「レナは見た目も良く頭も良いから、貴族の男の子がよってたかると思うですよ。その時、あなたがレナのそばにいたら嫌みを言うと思うんですよ。『お前なんか、彼女にふさわしくない』とか。」

 

 良くあるよなこういう嫉妬的なもの。自分は喋ったことないのに喋ってるところを見て、気に食わないんだろうな。


「ねぇ、それって私の近くにいて良い理由があれば良いの?」

「まぁ、とりあえずそんな感じかな。」

「だったら、皆が見てる所では従者として私と一緒にいれば良いじゃない。それだったら、私のそばにいても大丈夫でしょ?」

「それは良い考えですね。従者としてレナといれば、ロイくんに言い寄る者も多少は少なくなるでしょうし。ロイくん、この考えは君の為にもなるでしょう。どうしますか、これで行きますか?」


 いきなり、そんなこと言われてもな。

レナの近くにいれることは良いんだけど、従者ってなにやれば良いんだよ。でも、これ以上良い考えなんて思い浮かばないしな。


 「わかりました、この案に乗ります。でも、僕は従者としての知識はありませんよ?」

 「大丈夫ですよ、基本的にレナのそばにいて、彼女の指示に従えば良いのですから。あとは、言葉に気を付けるぐらいですかね。」


その後、学校のことについて説明を受け、レナとともに部屋に戻った。


壁時計を見ると、針は十時を指していた。


レナは戻ってきて直ぐに部屋にあった机でなにか書き始めた。


一つしかないベッドで、レナと一緒に寝るのが恥ずかしかったので、部屋にあったソファーに座って予備で置いてあった布団を自分に掛け、レナにおやすみと言って寝た。


しばらく寝ていると、何故か目が覚めた。


横を見ると、何故かレナがソファーに一緒に座って寝てた。しかも頭を僕の肩にのせて。


レナの髪からふわぁっと甘い良い臭いがしたおかげで、寝ぼけてた頭が叩き起こされた。


女の子と一緒に肩を合わせながら寝るということをしたことがない僕は、顔を真っ赤にしながらどうしようかと考えた結果、レナを起こさないようにベッドに移した。


レナをベッドに移し布団を掛け直してレナの顔を見ると、嬉しそうな顔をしながら寝ていた。

 

自分の寝ていたソファーに戻ると、眠気が襲ってきた。僕はそれに抗わず寝た。


 その日の夜、オリバーは自室で手紙と書類を見ていた。


その内容は、王国が転移させた人たちに学園でこの世界のことと戦闘を学ばせるということを知らせる物だった。


一緒に付いてきた書類を見ると、そこには日本人の名前が約三十人分書かれていた。


名前の後には、一人一人のステータスや職業、スキルなどが細かく書いてあった。


そして、二枚目の手紙を読んで眉が上がり、もう一度手紙を読み返した。


書いてあった内容は転移させた一人がこの世界に来て行方不明で、見つけ次第学園に送るというのだった。


そこには行方不明の人の特徴も書いてあって、その特徴がロイ()()と全て一致していたのだった。

 

彼が転移者だというのは聞きましたが、まさか国が召喚した仲間とは‥‥‥。


彼は仲間がいたことは覚えていないでしょうし、どうしましょうか。

 

彼はその後手紙を三枚書き、メイドを一人呼んで今書いた手紙を王宮へと届けにいかせた。

この世界の金額は石貨が十円ぐらいなので銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円で白金貨は十万ぐらいです。

ちなみにまだ出ませんが、白金貨の上も考えています。

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