運営働け‼BANしなさいよ‼
目的地の洞窟の前でシロは呟いた。
「ここがゴブリンが住みついている洞窟か」
結局夕日が沈む頃に洞窟についた。なぜこんなに時間がかかったかは理由があった。
時を四時間半ほど遡る。
◇
ギルドでクエストを受けて街の外に出るときにそれがあった。レントが持っていた小袋だ。一つ銅貨二十枚と高かったがちょうど二つ買えたためシロとクロは小袋を一つづつ手にいれた。
が、その後が地獄だった。(魔物にとって)
シロとクロは魔物を狩っては剥ぎ取り小袋に入れるを繰り返し、たどり着くのに三十分あれば十分な所に四時間もかけてやっとつくことができた。
「疲れちゃったわね。さっさとゴブリン倒しちゃいましょう」
クロは疲れているのかイライラしていたがシロは元気に牙熊を金になる!と追いかけていた。
「なんであんたそんなに元気なのよ‼」
「色々あってな」
この時クロは知らなかった。シロは朝にクロノスにより固有技能並列思考を与えられていたことを。そしてシロは今現在、並列思考を使い半分寝て半分起きている状態であることを。
クロはイライラしながらも早く終わらせるためにシロを引っり乗り込む。
「げっ……こんなにあるのよ」
洞窟の中はとても広い空間があり、そこにゴブリンが四十体はいた。平均でレベル5だが数が多い。クロは開幕早々手を伸ばすと臼緑色の魔法陣が現れる。
「風球」
クロ伸ばした手から風の球が吹きゴブリンを十体ほど巻き込み吹き飛ばす。ゴブリンもこちらに気づき襲いかかる。
「あれ?詠唱は?」
シロが言い出したが確かにクロは詠唱をしないで魔法を使った。
「アルテミス
に固有技能無詠唱をもらったわ‼」
ドヤ顔でクロは言ってくる。クロは無詠唱をクロノスに貰ったらしい。シロが断ったから渡したのだろう。
「どう?すごいでしょ‼」
「しょうがねぇな‼俺も見せてやるよ」
シロは笑みを浮かべながら詠唱を始めた。
「土を司る大神ガイアよ。土の魔導書第一章を開け‼」
「ただの土球じゃないの。私でも使えるわよ」
シロが唱えるがクロ鼻で笑いながらいった。
シロの右手から茶色の魔法陣が現れる。しかしその後の魔法名が違った。
「地造形‼」
するとシロの手から土でできた剣が現れる。
「え?なにそれ‼」
「俺自身で作った固有魔法だ」
驚くクロにドヤ顔で返す。クロが真似をして作ろうとするが変な形にしかできない。
ゴブリンが剣を持ち走ってくるので剣をフリスビーのように回転させ投げる。すると何体か巻き込み斬り裂く。投げられた剣はしばらく維持されていたがしばらくすると消え去った。球の魔法のように手から離れると消えるようだ。
シロはまた詠唱を始める。その顔は面白いことを考えた悪い顔だ。
「水を司る大神ネプチューンよ。水の魔導書第一章を開け‼」
するとシロの両手から青色の魔法陣が現れる。
「ふぁ?」
クロは気の抜けた高い声を出しながら驚く。
「水造形」
シロの両手に水の槍が現れる。
「なんで一気に両手に魔法が使えるわけ!?」
「固有技能並列思考だ。面白いだろ?クロノスに貰ったものだ」
「コイツチートよ‼チーターよ‼運営働きなさいよ‼」
クロは叫びながら両手を出しているがやはり並列思考がないため利き腕の右手からしか魔法陣が現れない。
シロは作った槍を投げつけるとゴブリンは団子のように刺さってそのまま壁に刺さると消え去る。二本目の槍で残ったゴブリンを蹂躙する。すべてのゴブリンを倒すとシロは下を向きながら言った。
「地下にも気配察知に反応があるな」
シロは詠唱を唱える。
「土を司る大神ガイアよ。地の魔導書第一章を開け‼」
シロは右手を上げ、なにかを握るよう構え茶色の魔法陣をだし魔法を唱える。
「土造形」
シロの右手に土でできた巨大なハンマーが現れ、そのまま降り下ろし地面に叩きつけ足場を崩壊させる。
「あっちに階段があるわよ‼」
クロが叫ぶがシロは無視して第二戦を始める。二層は平均的にレベル7で数が二十体と少ないが、一体だけレベル12が後ろの更に下の階段の前にいる。リーダーだろう。
「ボウケンシャカ‼オシツブセ‼」
リーダーがいうとゴブリン達が襲いかかるが、シロが持っているハンマーに叩き潰され、投げたハンマーと壁に挟まれ何体かがトマトのように潰れる。
「ったく‼うちの戦闘バカはこれだから。付加」
クロは殺したゴブリンから短剣を奪い取りそう唱えると二層に降りに風魔法を付加させ、ゴブリンを胡瓜を斬るように軽々と斬り続けた。
シロは詠唱をした。
「火を司る大神アレスよ。火の魔導書第一章を開け‼」
シロはゴブリンを蹴り飛ばしながら両手に赤い魔法陣を出す。
「火造形」
両手に現れた大きな鎌を出すとブーメランのように投げ右から回転しながら半円を描くようにゴブリンを斬り裂き、後ろにいたリーダーだけを残しシロの手元に戻ってくる。
「ナゼオマエラハソンナニツヨイ‼」
「レベル差としか言いようがないな」
リーダーゴブリンの言葉にシロは唇を吊り上げて答える。
(あれ絶対主人公じゃないわよね)
シロの笑みに対しクロはそんなことを思いながら残ったゴブリンを切り裂く。
リーダーゴブリンが冷や汗をかいていたが下の層への階段から足音が聞こえた。その音にリーダーゴブリンは笑みを浮かべた。
「一番強い反応があったがお前がボスか」
「ソウダ」
シロの言葉に答え姿を現した長い剣を持った大きなゴブリンが答えた。レベル15とそれなりに高い。
「クロ?お前全然暴れ足りないだろ?ボスはクロにくれてやるよ」
「そう?なら貰うわ。正直暴れ足らなかったの」
クロはボスゴブリンと、シロはリーダーゴブリンと向かい合う形になる。
シロは火の鎌を消し新たに詠唱を始める。
「土を司る大神ガイアよ。土の魔導書第一章を開け‼」
シロは両手に茶色の魔法陣を纏い笑いながら魔法を使った。
「付加‼」
両拳に土魔法を付加させ構える。リーダーゴブリンは剣を抜き斬りかかるがシロは剣を殴りへし折り、その拳がそのまま軌道を変えてリーダーゴブリンの顔を殴ると回転しながら壁に飛び血の花を咲かす。そのままシロはクロとボスゴブリンの戦いをみた。
「こっちは終わったぞー。早くしろー」
「はいはーい。さっさとやりますよー」
クロは剣でボスゴブリンを斬りかかると剣で受け止められる。
「カゼヲツカサドルタイシンアテナヨ。カゼノマドウショダイイッショウヲヒラケ‼」
「風魔法!?」
ボスゴブリンが詠唱を始めたことに驚きクロは距離を取る。
「風球」
クロは飛んでくる風魔法を避けながらボスゴブリンに近づき剣を降り下ろすがまた受け止められる。しかしクロは笑みを浮かべた。クロがボスゴブリンとぶつかり合う剣の間に手を伸ばすと茶色の魔法陣が現れる。
「土球‼土球‼土球‼土球‼土球‼」
連続で撃った土球がボスゴブリンの顔面に直撃し顔が砕け散り倒れる。
「えげつないっすねー」
「あんたも人のこと言えないでしょ。このチーター。運営‼さっさとBANしなさいよ‼」
クロはボスゴブリンが、持っていた長剣を軽々と持ち上げ回収する。シロとクロは下に続く階段を見つけ階に降りると宝箱があり、青銅貨五十五枚と銅貨三十八枚、白銅貨二十枚、銀貨三枚、その他装備品が入っていた。鑑定スキルでみるが漆黒の杖、漆黒杖と紅のペンダントという装備はシロが貰い、白い刀身に黄色の宝石が埋め込まれた片手剣、光雷剣と漆黒の髪飾りいう装備はクロが貰う事にした。
「おぉ、一気に小金持ちじゃねぇか?」
「とりあえず銀貨は全部テトラの家にあげましょう」
二人は回収し洞窟の外に出ようとする。すると
「シロ‼これなんか文字がかかれてない?」
シロがそこをみると文字らしきものがうっすら書かれていた。相当古いものなのだろうか。
二……前神は我らの……王を倒し……と人……の狭……結界を……
読める部分を読むとこうなったがよくはわからなかった。
シロとクロは気にせず洞窟を出ることにした。外に出ると朝日が昇り始めた。
「もう朝なの?どうりで眠いわけね」
「すまん。並列思考のせいで眠気がない」
「ずるいわよ。それ」
クロはあくびをするがシロは並列思考により半分寝ていたので全然眠くない。するとクロはシロの背中に乗った。
「罰としておぶっていきなさい‼」
「やだ」
即答だったがクロに頭を叩かれると仕方なくシロは歩き出した。クロはシロの背中に顔を埋め眠り始めた。
洞窟の文章の意味を理解できた者はその場にはいなかったが、シロとクロの気配察知をくぐり抜け後ろからついてきていた存在がいた。その正体は街にきてシロが質問していた老人だった。
「ふぅーばれなかったわね。あれが神達の呼んだ子達か」
そう老人は言い変身を解いた。そこには茶髪の羽が生えた少女がいた。
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会得装備品
漆黒杖
魔法攻撃力 微上昇
消費魔力 微軽減
高速詠唱 +1レベル
闇魔法の攻撃力 上昇
紅のペンダント
火魔法の攻撃力 微上昇
光雷剣
光魔法付加時 攻撃上昇
光魔法付加時 消費魔力軽減
雷魔法付加時 攻撃上昇
雷魔法付加時 消費魔力軽減
漆黒の髪飾り
闇魔法の攻撃力 上昇
攻撃力 上昇
更新です。うん。チートですね(笑)
次回はキャラのステータスを公開して新章入ります‼
ぜひ読んでください。