ジョブでさらに攻撃力を上げんじゃねぇ‼
「助けてくださりありがとうございます‼ボクはテトラといいます。改めてよろしくお願いいたします」
「運よく見つけただけだから大丈夫だ。よろしくな」
テトラが頭を下げながら礼を言うのでシロは言った。クロはテトラの後ろから彼女を抱きしめ頭を撫でる。
「怖かったね。もう大丈夫よ」
するとテトラはクロの胸のなかに顔を埋めて泣き続けた。確かにテトラは四人組が怖かったが一番怖かったのはシロが山を消し飛ばした火魔法だった。しかし悪い人では無さそうなのでテトラはシロとクロについていく事に決めた。
◇
テトラが泣き止むとクロに聞いてみる。
「クロはなんか急に優しくなってないか?」
彼女は人の気持ちをたいして考えたりするようなタイプではない。
「だって金髪よ‼ボクっ子よ‼」
彼女は興奮し、よだれを流しながら言う。
(きっと金髪に憧れていたのだろう。そう願いたい)
するとクロはテトラの後ろに立ち軽く跳ね抱きついた。
「テトラの家はどこにあるの?」
「ボクの家はあの街だよ」
テトラが街に向かって指を指した。街に近づくと大きめの石を積み上げたような塀とその下の堀が見えてきた。塀に沿って歩いていくと堀に橋があり、門とその前の武器を持った門番が二人いるのが見えてくる。とりあえず門番に話しかけてみる。
「すみません。この街に入りたいんですけど」
「通行料を払わないとこの街には入れないよ」
「いくらですか?」
「一人青銅貨二枚だ」
シロはとりあえずジャージに手を入れてみる。五百円玉一枚、百円玉四枚、十円玉六枚、五円玉三枚、一円玉三枚、合計九百七十八円があった。とりあえず十円玉を六枚渡してみる。
「青銅だがこんな硬貨は使えないぞ」
そう言いながら彼は十円玉を押し返した。しかしクロが百円玉を六枚渡すと彼は驚いたように言った。
「これは白銅ですか!?いいのですか!?そんな貴重なものを!?」
白銅はやはり青銅より価値が高いらしい。
「いいわよ。こっちの世界では使えないなら要らないものよ」
クロはそう言うと門を通って行くのでシロとテトラはついていった。
街の中に入るともう赤の巨大な魔方陣と山が消し飛んだ事がもう伝わっていたが、なぜか祭りのような状態になっていたので近くのお爺さんに聞いてみた。
「すみません。この騒ぎはどうしたんですか?」
「なんじゃ。旅人かのぉ。今朝に南方にアレス様が現れ巨大な魔方陣で魔法を発動させ、魔物が蠢いていた山を丸ごと消し飛ばしたんじゃ」
「そ、そうか……。凄いことが起きたんだな」
俺は詐欺スキルで咄嗟に嘘をついてごまかす。
「どうしたんじゃ?汗がすごいが……」
「え?あっ……暑くてつい……」
シロはすっとぼけながら汗をかきまくっていた。クロも口笛を吹いてごまかしている。テトラも老人を直視しないでいるが目が泳いでいる。シロはとりあえず話を変える事にした。
「ところでこの辺でギルドはないか?旅をしていたら魔物の素材を手にいれたんだけど」
シロは近場の魔物を狩るために冒険者ギルドはあるだろうと思い、元々のテトラに聞く予定だったがちょうどよかったので聞いてみた。
「ギルドならこの大通りの先にあるぞ。だが魔物の素材を売るなら先にギルドカードを作らないと売ることはできないぞ」
「そうか。ありがとな、おっちゃん!」
三人はとりあえずギルドに向かうとする。ジャージの下にある牙が痛いのと金の欲しさで向かった。
ギルドの近くで隠れて牙熊の牙を八本ほどジャージのズボンから出し手で持ち運ぶ。出すとテトラの顔が赤くなり言った。
「どこから出してるんですか‼」
「いや、持ち歩きがだるかったからつい」
三人はギルドに入る。中には受付のような制服を着た何人かの女性や酒を飲んで酔っている大男やクエストボードでクエストを選んでいる人達がいた。
「すみません。旅人で今日この街についたんだが、その途中で狩った魔物を売りたいんだが」
「いらっしゃいませ。ギルドカードはお持ちですか?」
とりあえずシロは受付の緑色の髪をまとめたティファーという女性に話しかける。ギルドは冒険者に関わらず市民にも使われているようだ。
「いや持ってない。作ることはできるのか?」
「はい‼できますよ。このカードに触ってください。」
シロはティファーが出したカードを触るとカードが光だしシロのレベルや年齢、性別、ステータスが現れる。偽装スキルで変えたレベルが現れるか賭けだったがちゃんとLv. 3として現れた。
「十四歳でレベル3なんてすごいですね」
(レベル3がすごいのか127とか不味いんじゃないか?いやレベル137のクロが一番頭がおかしい(二つの意味で))
とりあえずクロとテトラもギルドカードを作ってもらう。
テトラのギルドカードによるステータスは
テトラ・ストライザー
種族 人間
性別 女
13歳
Lv.2
・HP 体力 39
・MP 魔力 37
・STR 攻撃力 18
・INT 魔法攻撃力 17
・DEF 耐久力 14
・DEX 器用 10
・AGI 敏捷 14
・LUK 運 2
技能
料理スキル Lv.3
裁縫スキル Lv.2
鑑定スキル Lv.1
交渉スキル Lv.2
槍術スキル Lv.1
固有技能
魔法破壊Lv. 1
魔法
装備
シャツ スカート ブラ パンツ
シロはユニークスキルで天敵のようなスキルがあるのを発狂していたがクロに峰打ちスキルを使った状態で殴られ大人しくなった。
冒険者にはランクがありE級冒険者が駆け出しで、最初にギルドカードを作るときはE級から始める。クエストを進めたり、素材を売却するとD級、C級、B級、A級、S級、SS級、SSS級と上がっていくようだ。
とりあえず持っていた素材を売却してもらう。牙熊の牙を八本売ると銅貨四十枚になった。この街ではこの牙が武器の素材などにも使えるらしく、価値が高めらしい。そして三人はD級になった。はやっ‼と思ったが冒険者の中で一番多いのがD級冒険者らしい。E級からすがに上がることができるが、C級に届けない人が多いようだ。
(まぁいつでも上がれる力はあるんだが)
ついでに聞いてみたが
青銅貨百万枚=銅貨十万枚=白銅貨一万枚=銀貨千枚=白銀貨百枚=金貨十枚=白金貨一枚
という価値らしい。つまり硬貨の価値が十倍ずつ上がる仕組みらしい。白金貨はこの世界の大きな国のペルシ王都でもヘルン帝国でもなかなか使われないらしい。
(しまった。門番にぼったくられた)
シロはそんなことを思ったがまだあるので気にしないでいた。
「次に仕事を決めてもらっていいですか?」
「仕事?」
ティファーに仕事について説明を受ける。奥にある個室に水晶があり、そこで仕事を決められるらしい。レベル1で一つ得ることができ、レベルが20、40、60……と20ずつ増えると得ることができる数が一つ増えるらしい。
とりあえずテトラ(実験体)に教わる事にした。テトラは水晶に触れると色々な仕事が現れる。商人、剣士、騎士、槍使い、暗殺者が出たが、テトラは槍使いを選んだ。槍使いスキルのレベルが+1されるらしい。本人曰く使いやすいらしい。
次にクロが水晶に手を翳すとかなりの数の仕事が現れた。二刀流や二槍使い、勇者や神の使いなどもある。悪魔殺者などヤバそうなスキルもあるが、クロは元々ゲーム気にいって使っていた二刀流を選んだ。二刀流は名前の通り両手に剣を持つ剣術だ。二刀流スキルが+1レベルされたり、付加の魔法が両手の剣に効果が発揮したり、敏捷のステータスが三十上がるなどの効果がある。クロにはピッタリだろう。おまけに二つ目を魔法剣士にしていた。剣に魔法を付加して属性攻撃にする効果がある。また攻撃力のステータスが+四十上がる効果がある。
(まだ火力が上がるのか……)
最後にシロはそんなことを思いながら手を翳す。するとクロと同じく多くの仕事が現れた。クロ同じく勇者や神の使い、悪魔殺者があるがとりあえず、大賢者を選ぶ。魔法攻撃力のステータス五十増加や魔法使用時の消費魔力半減や高速詠唱スキルが➕2レベル上がるなどが大賢者の効果のようだ。そして二つ目に魔拳士を選んだ。拳や足に魔法を付加して属性攻撃にする仕事だ。体術スキルのレベルを+1するなどの効果がある。
(選んでから気づいたが、どっちももっと魔法を覚えないと使い物になんねぇな)
仕事を決め終わりとりあえず今ギルドでするべき事は終わっていた。
「とりあえずテトラを家に送るか」
「そうね。家族が心配してるだろうし」
「すみません。ありがとうございます」
「敬語なんて使わなくていいの‼私達そんなに年齢変わらないんだし」
テトラは感謝しているのか、そんな滅相もないって感じだったがシロが次に敬語を使ったらこの街に魔法を放つという発言に怖がっていたがクロが峰打ちスキルを使いながらそれなりの火力で殴ってきた。
「シロ‼テトラを脅すなんて私が許さないからね‼」
クロが今まで一緒にいた中で一番怖い顔をして睨んでくるので、シロは至近距離での戦いだとクロに確実に負けるので見事な土下座を見せる。
「すみませんでした‼」
「ハハハハ‼あの強かったシロが今は私の忠実な下僕‼気持ちいいわぁ♪」
(コイツ‼クロより強くなったら海に沈めるとしよう)
クロはシロに靴をなめなさいと言っていたが、テトラの引いている顔を見てクロは直ちにやめた。
「よし‼そろそろ行くよ‼シロ早く立ちなさい‼」
(コイツ最近リーダー気取りし始めてきたな……)
クロの言葉にシロはそんなことを思いながらギルドをあとにした。
最近それなりに小説ネタ考えるのが楽しくて次の日が休みのときは普通に四時を回るようになってきました。不味いですねw そして更新がほんと不安定ですみません。つい楽しくてどんどん更新しちゃうんです。そのうち週一になるように頑張ります。
今後もよろしくお願いいたします。