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第5話


「うわぁぁぁん!!!」


面倒臭い。

本当に面倒臭い。

やはり嫌な予感というのはよく当たる。

なんとなくこうなるんじゃないかと思ってたけど、予想通りだった。

俺は目の前で子供のように泣きじゃくる失恋勇者を哀れなものを見るように見下していた。


「ヨウくん?どうしたんですか?これ」


そこに何も知らないステラ姉がお茶を持ってやってきた。

というか勇者をこれ扱いですか……。


「おい、何があった?だいたい予想はつくけど聞いてやろう」


そう、だいたいの予想はつくのだ。

俺の優しい言葉に勇者はなにがあったのか語り出した。


「実は………」


こう言っちゃ悪いけど、ざまぁ!

やっぱりイケメンが振られる瞬間っていうのはスッとするわ。

エルマくんサイコー!!!


「………なんか嬉しそうじゃないか?」


「気のせいだろ。気にするな。それはともかく状況整理だな」


勇者の話をまとめると、デートに誘うことには成功したらしい。街を一緒に歩き、一緒に食事もして楽しいひと時を満喫した。

そして夕方の別れ際、勇者は思い切って告白したらしい。

帰ってきた答えは


「え……。ごめんなさい。流石に男同士は無理です…」


その時のエルマくんの表情は、まるでオークに捕まった少女のような、怯えた様子だった。


なんで知っているかって?

覗いてたからに決まっているじゃないか。


「なるほど、では写真の君は女の子ではなく男の子、いや男の娘だったということですね」


俺は白々しくも残酷な事実を勇者に再認識させる。


「……なんで言い直すんだ?」


「大事なとこだからだ。分かる人には分かるんだ」


むしろここを言い直さないと俺的に許せない。


「で、どうするんですか?ぶっちゃけこれって撃沈ですよね?これからどうするんですか?諦めます?諦めた方がいいんじゃないですか?」


「……なんでそんなに嬉しそうなんですか?目が爛々としてますし」


そりゃあ楽しいからに決まってるじゃないですか。ステラくん。

言わないけどね。


「…………ない」


「へ?」


勇者がなにかをぼそりと言った。


「諦めない!」


今度は確かな声で。

そして


「絶対に諦めない!!!」


今度は決意を秘めた瞳で宣言した。

それはさながら魔王との戦いで傷つきながらも諦めない勇者の姿。

そして、物語の中の覚醒フラグのようだった。

…………そんなものをこんなどうでもいいところで使うなよ。勿体無い。


「俺は決めた!彼が男であっても構わない!俺はエマルくんが好きなんだ!!!だから絶対に諦めるものか!!!」


勇者が覚醒した!!!

というか新たな世界に足を踏み入れて行った。

ゲイという新しい世界へ………。


「…………ステラ姉。あとは任せてもいいですか?」


「お願いします。これと二人きりにしないでください」


「………分かりました」


ステラ姉の懇願は案外珍しい。

今までに懇願されたのは、呼び方をステラ姉にして欲しいという一回だけ。

貴重な二回目がこんな形になるとは思わなかったけど、無下にすることはしたくなかった。


「諦めないとは言っても、やはり性別の壁は厚いですよ。エルマくんの方が嫌がってはどうにもなりませんし、どうにもなれません。そこはどうするつもりですか?」


俺は気を取り直して勇者に質問を開始した。

これが諦めないと言うんだ。

相談所として俺は力を貸してやる。


「猛アタックで押し通す」


「相手はモンスターじゃねぇんだよ。馬鹿か?いえ、お馬鹿ですか?」


おっと、思いっきり素が出てしまった。

スマイルスマイル。ビジネススマイル。


「あぁ、話し辛いのなら今のでいいよ」


「マジで?了解」


ステラ姉は咎めるような視線を送ってくるが、相手から許しが出たのだ。乗っておいた方が楽でいい。


「さて、まずはこれだけは言っておかないといけない」


俺はここにきて一番大事な事実を告げてやることにした。

というか今までは言うタイミングを逃していた。



「実は俺は生まれてこのかた女の子と付き合ったことがないんだ!!!だから恋愛相談は全然さっぱりわからん!!!」



「ヨウくん、それは自信を持って言うことじゃないと思いますよ?」



「うん、知ってる!!!」



「知ってる!?」


「つまり、今回の相談は俺にとって専門外もいいところ。むしろ勇者の方が俺より経験豊富だろう。それでもウチに依頼するか?」


これは契約だ。

今まではなぁなぁにしていた問題を、完全に依頼として引き受けるための契約だ。

これ以上は料金をもらうし、料金をもらう以上はそれなりの働きをするつもりだ。

それがたとえ、変態相手の仕事であってもだ。


「あぁ!頼む!俺の恋を成就させる手助けをしてくれ!」


勇者のその言葉によって、今回の件はフレイヤ相談所の正式な依頼として受理されたのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「来ました!やぁぁっと来ました!待ちに待ち、街に待ったこの日がついに来たんですよ!!!」


マールがうるさい。

もう今にも天に昇ってしまうのではないかというくらいに浮かれている。

そのまま天界に帰ればいいのにと思ったのは秘密だ。

バレたら絶対にいじけるから。


「なんだよ。なにが来たんだ?春が来たのか?」


「ちっがーいます!ようやく来たんですよ!!神回マールちゃんメイン回が!!!」


「メタなこと言うのやめてもらえる!?」


なんてことを言うんだこの馬鹿天使は。

世界観とか壊れちゃったらどうするつもりだよもう。

しかも自分で神回とか言っちゃってるし。


「で、話はちゃんと聞いてたな?」


「もちろんですよ。つまり、今までの人生で彼女無し恋愛経験無し、女っ気無しモテ無しな童貞ヨウさんに恋愛についてのアドバイスを教えればいいということですね」


「確かにそれで合ってるよ。でもなんでだろ。一言一言が俺の心を抉ってくるんだ」


「気のせいでしょう」


気のせいなわけないだろ!

事実ですけど!事実ですけどね!でも人に言われるのって辛いんだよ!


「恋愛で意中の女性を攻略する方法その1」


「待て、言い方!攻略とか言うなよ。せめて落とすとか両思いになる方法とかにしといて!」


っていうか攻略なんて言葉この世界にもあるんだな!?


「はぁ、そんな細かいことを気にするからヨウさんは今まで彼女無しなんですよ?」


「もうそれについては放っておいて…………」


もうやだ……。

こいつ絶対このネタでイジって遊んでるよ………。


「あ、ちょ、泣くのは反則です!ごめんなさい!そんなに気にしてるなんて思わなかったんです!」


マールの必死の慰めのおかげでなんとか復活。

復活のY。


「まさか回復まで一時間近くかかるとは思いませんでした……」


「そんなもんだよ」


人の心は壊れやすく治りにくい。

特に俺の場合はガラスのハートですから。

軽く叩いただけでも砕けちゃいますよ?


「なんか脱線したな。話を戻そう」


「そうですね。それでは気を取り直して」


こほんと軽く咳払いしたマールは気を取り直して宣言した。


「恋愛で意中の女性を虜にする方法その1!」


「待て」


「………なんですか?」


「確かにさっきとは違う。でもさっきよりも生々しくなってる気がするんだが」


「そう感じるのは単にヨウさんが初心なだけじゃないですか?」


「初心じゃないやい!これでも十七年生きて来たんだ」


「はっ、高々十七年でなにを語ってるんだか…」


怖っ!

目が、目が怖い!

絶対に天使がしていい類の目じゃない!

心なしか声もドスが効いてるし!

マール・エマール。

年齢不詳。

しかし少なくとも十七年以上は生きていることが分かった。


「全く、ならなんて言えばヨウさんは納得するんですか?」


そしてこの一瞬で何事もなかったかのように元に戻るのが一番怖いんだよな。


「だからさっきも言ったけど、落とすとか両思いになる方法とかそういうライトな表現でお願いします!」


「落とすはライトな表現の括りに入るんですね……」


細かいことは気にしちゃいかん。

女にモテないぞ?


「分かりました……。では、」


再び咳払いをし、気を取り直して宣言した。


「恋愛で意中の女性と両思いになる方法その1!」


「わーわー、ぱふぱふぅ〜」


「舐めてるんですか?」


「えぇ!?」


雰囲気を盛り上げようとしただけなのに怒られた。

ふざけたわけじゃないのに…。


「恋愛において大事なのはとにかく押すことです。意中の相手に自分をアピールしましょう」


「はい」


「はい、ヨウさん」


「あまりアピールすると、逆に引かれました。どうしてでしょうか?」


「………経験談なんですね」


中学の頃の俺の苦い思い出。

当時好きだった女の子によく話しかけていたのだが、ある日その子が他の女子と話している会話を聞いてしまった。


「栗花落って絶対夏帆のこと好きだよ」


「えぇ〜」


「だってほら、露骨に夏帆にアピールしてるし。どうなの?実際」


「ないない。露骨すぎて逆に引くから」


と。

心が痛かった。

それはもう屋上から飛び降りようとして教師に慌てて止められるくらい辛かった。


「それは多分ヨウさんがあまりに露骨すぎたんですよ。アピールはあくまでさり気なく。そしてしつこくしないことです。出ないとヨウさんの二の舞ですね」


「ねぇ、君俺のこと嫌いなの?ねぇ!俺のこと嫌いなの!?」


「そんなわけないじゃないですか。いつも美味しいご飯やおやつを作ってくれるヨウさんが大好きですよ」


「つまりご飯もおやつも作らない俺に価値はないと。そうですか。…………そうですか…ぐすん」


全然嬉しくない大好きだった。


「あーもう、いちいちイジケないでください。面倒くさいですから」


辛い………。

俺が悪いの?

ねぇ、俺が悪いのかな?


「だいたいよ、お前随分と偉そうなこと言ってるけど、実際のところ今までに恋人とかいたことあるの?」


「っ!そ、それは………」


目が泳いでいる。

やはりマールは嘘が吐けない。

いい意味でも悪い意味でも。

どんなに嘘を吐こうとしてもすぐに分かってしまう。


「もももももちろんいましたよ!三千人くらい!みんな私の魅力にメロメロだったんですから!」


こんな風に。

というか今時メロメロなんて言葉そうそう言わないぞ?

マール……本当に一体何歳なのだろう?


「ホントですから!天界人嘘吐きませんから!」


それからしばらくマールの見栄っ張りが続いたのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「さて、それでは恋愛で意中の女性と両思いになる方法その2!」


「……………」


「盛り上げろよ」


「えぇっ!?」


さっきは盛り上げて怒られたんだけど!

今度はなに?反応を返さなかったら怒られた!

ますますもってマールの意図が分からない。


「分かってないですね。盛り上げるならもっと盛大に盛り上げてください。最悪マンドラゴラを連れて来ても構いません」


「いや、死ぬから」


マンドラゴラってあれだろ?

ハリー○ッターでお馴染みのあの声を聞いたら死んじゃう植物だろ?


「大丈夫です。ヨウさんは死にませんから」


「ウチでの俺の認識がよーく分かった。確かシャルも同じような事言ってたし」


「いやぁ、羨ましいですね。私は永遠に歳をとらないだけで、死なないわけじゃないですから」


「実際のところ、お前何歳なの?実は二百は越えてますとか?」


「ギクっ!そ、そんなわけないじゃないですかぁ。見てくださいこのピチピチな肌。とても二百越えには見えないでしょ?ねぇ!見えないよねっ!」


この必死さが余計に二百歳越え説を濃厚にしているとは気づいて………ないだろうなぁ。

というかギクっ!とか言ってる時点でダウトだし。


「あ、その顔は信じてないですね?ホントですよ?私は十八歳。ピチピチの十代なんですよ」


「二百十八歳ではなくて?」


「ギクギクっ!」


マールの額に大量の脂汗が浮かぶ。

どうやらピンポイントで当ててしまったようだ。


「か、仮に。仮にですよ?二百十八年生きていたとしても、身体の成長が二十歳で止まっている場合はそれはもう二十歳と言って差し支えないのではないでしょうか?」


「それはない。十七年生きていれば十七歳。二百十八年生きていれば二百十八歳だ。身体の年齢なんて関係ない」


キッパリと言い放ってやると、マールの目に大量の涙が浮かんで来た。

そして………。


「な、なんでそんな酷いこと言うのぉぉ!!!」


盛大に泣き出した。

それも、めちゃくちゃ大声で。

うるさいし煩わしいし面倒くさい。

このまま放置でいいかしら?

正直マールと話してても心の傷を抉られるだけだし。

……………よし、放置だな。


俺は泣きじゃくるマールを放置して自室に戻ろうとした。

しかし………


「おい、この手はなんだ?」


マールは俺の服を握って離さない。


「なんでそんな酷いこと言うの!!!」


「事実を告げただけだ。いいからこの手を離せ!おい!こら!人の服で鼻水拭くな!汚いだろ!あぁもう分かった。マールは十八歳、それでいいだろ!って服で鼻かむな!」


「なんでそんな投げやりなのぉ!構って、もっと構ってよ!」


「鬱陶しい!そんな構ってちゃんだから天界でもボッチだったんだよ!」


「なんでそんな酷いこと言うのぉぉぉ!!!」


ループした!?

なるほど、天界の人たちがマールに関わりたくない気持ちがよく分かった。

これは確かにお近づきになりたくないな。

友達になろうものならめちゃくちゃ依存してくるタイプだ。

拗らせたらヤンデレになる可能性も大。


「それでは気を取り直して、恋愛で意中の女性と両思いになる方法その2!」


「いぇーい!わーわー!ぱふぱふぅ〜!ドンガラガッシャーン!」


もう訳が分からないくらいに盛り上げると、マールは一応納得した。


「ぶっちゃけた話、顔が一番大事ですね」


「ぶっちゃけすぎだよ!」


そればっかりは生まれ持ったものだしどうにもならないだろ。


「でも、実際イケメンは許されてもヨウさんみたいなブサメンは許されないことなんていくらでもありますし。例えばブルマを被るとか」


「いやいや、ブルマ被っちゃうのはイケメンであろうとなかろうとアウトだと思うよ。あと、さり気なく俺をディスるのやめて」


それにブルマなんて被ってたら顔なんて見えないからイケメンもなにもないと思うよ。


「というか、この世界にもブルマなんてあるんだな」


だんだんホントにここが異世界なのか分からなくなってきたよ。


「なにを言ってるんですか?ブルマは今から何千万年と前から存在する由緒正しき衣装で、学校に通う女生徒はみんなこれの着用を義務付けられてるんです」


「俺その学校に通いたいわぁ」


俺の世界じゃあほとんど絶滅危惧種だったからなぁ。

結構貴重な光景だ。


「それにしても何千万年か………。なんでそんなに続いたんだろうな?」


「当時からブルマは男性からの人気が高く、一時期は廃止されかけていたのが復活したという話です」


「な、なるほど…」


どこの世界も男という生き物は基本変態らしい。

男の悲しい性かな。


「でもその点は安心だな。今回の依頼者はイケメンだし勇者だし。若干、いやかなり変態ではあるが顔は結構良かった。…………ぐっちゃぐちゃにしてやりたいくらいにはね……」


「よ、ヨウさん……?怖いですよ?顔がすっごい悪い人になってますよ?」


「はははっ。依頼人相手にはそんなことしないよ」


「相手が依頼人じゃなければするんですね………。流石は大魔王であるクシャナさんが認めた人間ですね」


大魔王を引き合いに出されると俺がすっごい悪い奴に見えるのはなぜだろう。


「とにかくですね。恋愛において最も重要と言えるのはやはり顔なんです。ヨウさんみたいに顔が悪い人は整形なりなんなりして顔をよくしましょう!」


「俺ってそんなに酷い顔してる!?流石にそこまでではないと思うんだけど!」


俺のツッコミは華麗にスルーされ、話は先に進んでいくのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「年収は結構大事です!」


天界人からお金の話を聞くと、世の中って結構シビアなんだなと思う。

そりゃそうだわな。

いくら天界人と言えども金がなければ何も食べられない。


「参考までにマールの理想の相手に求める年収ってどれくらい?」


「そうですね……。ざっと白金貨七千枚といったとこでしょうか?」


「理想を抱いて溺死しろ!」


思わず某アニメのセリフが出てしまったじゃないか。

……これって怒られたりしないよね?


でも、白金貨七千枚って……一体俺がどのくらい働けば得られるのだろうか?

一生かけても無理だろうな…。


「じゃあ聞きますけど、ヨウさんは相手になにを求めますか?」


「外見だけでなく中身も見てくれる人かな?」


「それならヨウさんが大っ嫌いなウォレットさんがお似合いですよ。だって中身も見てくれたじゃないですか」


「中身って内蔵のことじゃねえよ!?というかなんでその会話知ってるの!」


「昨日見てましたから」


「だったら助けろよ」


「嫌ですよ。まだ死にたくないですから」


「二百十八年も生きててまだ生に執着するか……」


「あ!またそういうこと言う!しつこいですね」


…………。

こうしてまた、話は脇に逸れていく。

なんでだろう?


「で、なんの話でしたっけ?」


約四十分の時が経って、ようやく本題に帰って来た。


「俺の理想が中身もちゃんと見てくれる女の子ってことだろ」


「あぁ、そうでしたね。そんな素敵な女の子には漏れなく彼氏が付いています。残念無念」


「ぶっ殺すぞ!」


どうしてウチの連中はこうも俺のことを煽ってくるのだろうか?


「さて、年収の話でしたね。実際のところ、年収の高い人間は高確率でモテます。現に貴族やら王族なんて顔が悪くても女が言いよってますし」


「その辺にしとけ。不敬罪で処刑されるぞ」


結構スレスレな発言を戒める。

こいつ外でこんな発言してないだろうな?

嫌だぞ?身内が不敬罪でしょっぴかれるなんて。

あそこの御宅のマールさん不敬罪で捕まったらしいわよ。とか主婦の間で噂になっちゃうじゃないか。


「つまり、顔がよくない人はとにかく年収を増やすことに専念するべきですね」


「待ってくれ、イケメンじゃない金がない人はどうすればいいんだ?」


「……………」


マールは俺の目をじっと見つめた後、……スッと逸らした。


「おいコラ!どう言う意味か説明しろ!なんで今、目ぇ逸らしたよぉ?お?」


「そ、そういう人にもいつかいい人が現れますよ……いつか」


「いつかってなんだよ!まさかお前ローロちゃんが成長するのを待てとでも言うつもりか!?」


「ローロさんが優しくて良かったですね」


なんでお前が泣く!

泣きたいのはこっちだよこんちくしょう!


「でもヨウさんにもポイントの高いことはいくつかありますよ?」


「聞こうじゃないか」


「家事ができるところですね。意外とそういう男性はモテるんですよ」


「じゃあなんで俺はこんなにモテないんだ?」


「なんて言うんでしょうね。ヨウさんはお母さんなんでしょうか」


「お母さんなの?お父さんじゃないの?」


「だって、実質ウチの家事全般をヨウさんがやってるわけですし」


「それは誰もやらないから仕方なく……」


「シャルロットさんは積極てきに料理に関わろうとしていますが?」


「それはダメ絶対」


命がいくつあっても足りません。


「とにかくですね。女性にモテるのに必要なのは、積極性と顔と金ということですね」


「嫌な現実だなぁ」


あ、そういえば一番大事なことを言い忘れてたな。


「今までの話ってさ、男相手でも適応されるのかな?」


「…………はい?」


「だからさ、勇者が恋慕してる相手っていうのは男なんだよ。だから女の子にモテる方法が男にも通用するのかと…」


それを聞いたマールはプルプルと震えだした。

まるで何かをこらえるかのように………。

そして爆発した。


「そんなの私の方が教えて欲しいわよぉぉぉ!!!」


でっすよね〜。


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