セクハラには死を
二週間と1日ぶりですね。
お久しぶりですね。
先週は突発ですみませんでした。
と言うわけで二週間ぶりの更新ですが、今回もなんとウォレットさんメイン。
っとこれ以上はネタバレになっちゃうのでこれで失礼!
「さて、問題はどうやって相手に近づくかだな」
「屋根裏にでも忍び込めばいいのでは?」
「今後から屋根裏には注意することにするよ」
そんな風に会話をしながらやってきたのは市場だった。
こうしてまたウォレットと肩を並べて歩くなんて、あの日には思いもしなかった。
幸いここにはローロちゃんもいないことだし、誰に見られたところで何の問題もない。
そんなわけで、俺は今、銀髪に染めたウォレットと一緒に市場をぶらぶらしていた。
「そもそも調査なんて回りくどいことしなくても、サクっとヤッてしまったほうが早くないですか?」
「いや、それはダメだろ」
「別にいいじゃないですか。一言ヤレと言えば私がヤッてきますけど」
「ねえ、話聞いてた?お願いだから話を聞いて?ウチはね、犯罪はやらないの。オッケー?」
「はぁ、相変わらずの偽善者っぷりですね。どうしてあなた達はそんなに甘々なんですか?」
「いや、あんたが極端なだけなんじゃ……」
ウォレットの思考は基本的にデッド・オア・ライブだからな。
「そうだ。いいこと思いついた」
「なんですか?」
「ウォレットがそのエロエロボデーで取り入るという画期的なっ!?」
「殺しますよ?」
「刺さってる、ねぇ、もうなんか腹に刺さってるんですけど?」
俺の腹にはいつもの鉈ではなく、ナイフが深々と刺さっていた。
「暗殺も得意ですよ」
「うん、知ってる」
ナイフを抜くと、逆再生のように傷口が再生して行く。
「相変わらず気持ち悪いですね。ところでそれってどの程度の負傷まで治せるのですか?」
「さぁ?どうだろう?少なくとも首や胴体を真っ二つにされても大丈夫なことは分かっている」
「なら、例えば魔法で内側から爆破して、ぐちゃぐちゃの肉片になった場合も再生するのでしょうか?」
なんて酷いことを考える……。
「というかその目は何?まさか試してみようなんて思っていないだろうな?」
「そんなこと………うふふふ」
何その笑い方!?
まるで日曜六時半から始まる国民的アニメのジャンケンの後のような笑い方だな!
「さーて、来週のツユリさんは」みたいな?
来週もクソもそもそもウチはアニメじゃありません!
「逆に聞くけど、お前は一体どこまで成長するつもりなんだ?主におっぱいっ!?」
「セクハラには死を」
「心臓は痛いからやめようよ!ねぇ!」
左胸に刺さったナイフがプラプラと揺れる。
その度に肉を抉られるみたいでめちゃくちゃ痛い。
今度本格的にクシャナに痛覚を無くせないか相談してみよう。
「しかしとうとうおっぱいネタで取り乱さなくなったな」
「ふん、殺し屋がそう何度も動揺するわけがないじゃないですか」
何度も何度も動揺してた気がするのは俺だけなのかな?
うん、言ったら絶対殺されるから黙っておこう。
「ところで、………彼らはツユリさんのお友達でしょうか?」
「ん?」
今まで気がつかなかったが、いつの間にか俺たちはガラの悪い男達に囲まれていた。
どうやらいつの間にか人気のない場所まで来てしまっていたようだ。
「彼女、いい身体してるねぇ?どうだい、これから俺たちといいことしない?」
チンピラAが口をくちゃくちゃ言わせながら近づいてきた。
この世界にもガムってあるのかしら?
「ウォレットさん?この人たちが本当の俺の友達に見えますか?」
「ええ、このいやらしい目つきなんてツユリさんそっくりですよ?」
「いやぁ、照れちゃうなぁ」
「褒めてませんけど。それよりも、そろそろお腹が空いてきたんですが」
「奇遇だな、俺もだ」
二人してチンピラ達を無視する。
こういうのは関わらないのが一番の対処法なのだ。
俺たちは三人の男達に背を向けてどこか飲食店を探しに向かった。
「おい待てよ」
しかし彼らはそれを許さなかった。
めんどくさい。
「えっと、僕らほらお腹が空いてましてね?君たちに関わっているのすら惜しんだけど………」
「あ?口答えするなよ。つかお前なんなん?邪魔なんだけど。腹減ったんなら一人で行きゃいいだろ?」
あ、そっか。
絡まれてるのウォレットなんだから別に俺がわざわざ付き合ってやる必要はないんだな。
「なるほど、その発想はなかった。というわけだから俺だけでも通してくれないかな?」
「いいぜ?でも財布は置いてけよ?」
「待って、それじゃあわたくし空腹を満たせないんですけど?」
「知ったことか」
酷い……最近の若い子ってみんなこうなのかしら?
まあ俺も若いけどさ。
「う〜ん。なんというかさ、怪我をしないうちにどっか行ったほうがいいよ?」
「ほう、面白いことを言うじゃねぇか?誰が怪我をするって?」
チンピラBが指をポキポキ言わせながら近づいてくる。
あれって痛くないのかな?
「おら、死ね」
チンピラBの拳が飛んでくる。
そして、チンピラBの拳が飛んで行った。
「あ?」
何が起こったのか分かっていないらしく、一瞬間が生まれた。
そして、
「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁxhsjふいdjdbjsぁ」
ようやく理解と痛覚が追いついたらしく、チンピラBは腕があった場所を抑えて転げ回る。
だから怪我をするって言ったのに。
人の忠告は聞いておくものだよ少年。
しっかし、あれってすっごい痛いんだよな……。
可哀想に…。
「なにしやがった!この野郎!」
チンピラAとチンピラCがキレた。
「だから、怪我するからもう帰ったほうがいいって言ってるのに……」
「死ね」
殴りかかるチンピラAの姿がふっと消えた。
それは地面に転がっていた。
片脚をなくした状態で。
「うわぁ、容赦ないな……。ちょっと可哀想になってきたかも」
傷口を抑えてうずくまる二人を見ていると、どうしても普段の自分と重ねてしまう。
「で、そっちの人はどうする?」
「ひっ!?」
チンピラCは仲間を失って完全にビビっていた。
まあそうだろうさ。
こういう輩は仲間がいないと強がれないんだよ。
「言っておくけど、これいじょうやるとなると………」
俺はウォレットのおっぱいを揉んだ。
首が飛んだ。
「こうなるぞ?」
それをくっつけながらチンピラCに忠告をする。
「あと、もしも今回のことを誰かに話したら」
もう一回ウォレットのおっぱいを揉む。
胴と首が飛んだ。
「こうなるぞ?」
もう一度くっつけながらチンピラCに忠告する。
チンピラCがコクコクと頷いたのを確認して、俺たちはその場を立ち去った。
「さて、お昼ご飯は何にしましょうか?」
「お前、あの光景を見た後でまだ食欲があるのか……」
「必須スキルですので」
俺たちはたわいのない話をしながら街を歩いた。
この後、まさかあんなことになるなんて、この時の俺たちは微塵も思っていなかった。




