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AとBなんて知りませんが、多分全員ヤりました


「疲れたー。疲れたよー」


「子供ですかあなたは」


なぜかドレッドからウォレットに切り替わったドレッドがジトーとベットで寝転がる俺を睨みつける。

言ってて思ったけど結構ややこしい事言ってるな。

結局ドレッドなのかウォレットなのか分からないし、なぜかという言葉がウォレットと入れ替わったことに掛かるのか、それとも睨んでいることに掛かっているのかも分からない。


「なんでウォレットに切り替わったんだよ」


「ドレッドが寝落ちしました」


「理由が普通だなぁ〜」


ちなみに、「なぜか」はドレッドからウォレットに切り替わった方に掛かる。


「しかし、こうして直接会うのは久し振りですね。お元気でしたか?」


「少なくとも、殺される。なんてことはなかったかな」


「面白いことを言いますね。殺されないツユリさんなんてただの一般人Cじゃないですか」


「だからAとBは一体どこに行っちゃったんだよ!?」


「AとBなんて知りませんが、多分全員ヤりました」


「前にネットで似たようなセリフを見たことある気がするけど、ヤるの意味が全然違うよ」


ヤったってあれだよね?殺ったって変換するやつだよね?

それが完全に否定しきれないのがウォレットの嫌なところだよな。


「で、本当はどうして出てきたんだ?」


「だからドレッドが…………」


「だったらそのまま寝ればいいでしょ」


「むぅ………。ツユリさんは変なところで鋭いですね。本当に気持ち悪い」


「待って、気持ち悪い関係なくないですか?ねぇ」


「この男は何を言っているんでしょうか?ツユリさん=気持ち悪い。気持ち悪い=ツユリさんじゃないですか」


「やめて!変な公式作らないで!泣くよ!?」


身体だけじゃなく心まで傷つけてくるんだよな、この殺人鬼は。


「だいたいそれを言うのなら、ウォレット=おっぱいお化け。おっぱいお化け=ウォレットじゃないか」


久々に首が飛びました。

これは掃除が大変だなと思いながら、頭を拾って繋げる。


「おっぱいお化け言うな!その理屈だとドレッドだっておっぱいお化けじゃないですか!」


「ドレッドは普通におっきいおっぱいだから」


「もう死ねよ」


今まで聴いた中で一番冷たい声と視線を向けられた。


「無益な言い争いはここまでにしようか」


「…………そうですね」


お互い傷つくだけの口論なんて誰も得はしない。


「で、結局何しに出てきたの?」


「…………ドレッドに頼まれたんですよ。ツユリさんを護るように」


「そうですか。さっきどこかの誰かさんに殺されたんだけど」


「また掘り返すつもりですか。そうですか」


やだ、なんて冷たい視線。

凍っちゃいそうだよ。


「冗談はここまでにして、頼まれたってなんで?」


確かにウォレットの力をあてにしてなかったと言えば嘘になる。

むしろドレッドよりもウォレットの方を頼りにしているくらいだ。

でも、あのウォレットがドレッドに頼られたからと言って簡単にYESと言うわけがない。

言うわけがない!


「何か勘違いしているんじゃないですか?」


「なに?ツンデレ?」


「殺しますよ?」


「とか言いつつ俺の腕が飛んでいっているのは気のせいかしら」


なんと手の早いことに、切られる瞬間が全く見えませんでした。


「勘違いしているようですが、私は報酬を受け取っている以上仕事はしますよ。それが護衛であれ、殺しであれね」


「殺し屋と言うよりは傭兵だな」


「まあ似たようなものですね」


あれっておっぱい邪魔にならないのかな?

動くたびにプルプルと…………まさかノーブラ?


「殺しますよ?」


「なんで!?と言うか今度は脚が一本無くなってるんですが!」


「やましい事を考える自分が悪いと思ってもらえれば嬉しいです」


「いや、お前が嬉しいかどうかなんてどうでもいいんだけど」


「今はそう言う話をしてるんじゃねぇよ」


「あ、はい…」


殺し屋さんってズルいと思います。

言葉に殺気を乗っけるのってズルだよね。


「そう言うわけで、明日からは私がドレッドの振りをしてお伴します」


「お伴しますって、お前髪の毛でバレるだろ」


「そんなのいくらでもどうとでもなります」


あぁそうですか。


「と言うわけですので、よろしくお願いします」


そう言って、ウォレットは眠りについた。


ところで、ドレッドとウォレットって記憶の共有ができないのにどうやって頼んだんだろうか?

………謎である

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