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蜜柑は可愛くない子供です!!!

蜜柑は妾の妾の子供としてこの世に生を受けました

蜜柑は14歳である。


黒い髪、大きな大きな黒い瞳

その周りは隙間なく長い長い睫毛に縁どられている

お口は薔薇のようにぷっくり真っ赤だったし

生まれてこのかたお化粧なんてしたことない


そんな蜜柑が

ぷるぷるとその体躯を震わせながら


ここ最大の危機に襲われていた。

何故なら・・・・・

ここ一か月逃げまどっていた

お兄様に見つけられたから。


蜜柑は所謂深窓の令嬢であった。

妾の子供ではあったのだが。

祖父の妾の子供の子供

ややこしいが

祖父の妾の子供が父上の妾になり


そして蜜柑が生まれた。


何故蜜柑か。


生まれた時に

誂えられた着物がそれはそれは美しい橙色だったから。


橙色のお着物のうえにちょこんとのせられた

赤子の蜜柑が日本人形のように完璧な美を備えていたから


蜜柑は年の割にませた子供だった。

とりたてて周囲の大人に子供らしい仕草を見せた覚えはない。


だがしかし・・・・・・・・・・・・


「あぁぁぁぁぁぁ蜜柑は本当に本当に可愛いよっ目の中に入れても痛くない!!」

「どうしてどうして今日も可愛いのでしゅか」


毎日のように祖父も父も自分に告げた

大きな声で気色わるい。

蜜柑はきっと答えた。

「蜜柑は目には入りません」

「小さくもありませんっっ」

「あ~もうキュン死!!!!」


幼い頃から

どんなに蜜柑が真面目にモノ申しても

祖父も父上も

常に蜜柑を抱きしめて抱きしめて抱きしめた

頭をひつこいくらいなでられた

白くて柔ぺちゃな頬を

何度も何度も頬ずりされた


おーい、正妻はいーんかいと

そんなこと幼い蜜柑にはわからなかったけれど


そんな祖父と父上がいやで

こっそりお庭に逃げ込むと


植え込みの陰から

正妻の長男ががさっと蜜柑の前に姿を現した


「お前っっ妾の子供だろっっっ」

ここで遭ったが運のつき、観念しろ!!とばかり

睨みつけてきた長男は

蜜柑の首をかしげる仕草に瞬殺で落ちた。


「め、め?か」


蜜柑としては言葉の意味がわからなくって

きょとんと首をかしげただけだった。


だが、しかし


「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


自分で口にしたくせに

長兄は蜜柑をぴょんと抱き上げると

「だめだめ、そんな言葉口にしちゃ駄目でしゅよ。まだちょっと早いからね」

ん?と蜜柑の額にこつんとおでこを当てたる


いや・・・・・・・・・・お前が今口にしたんだろ

そんな風につっこむ者は誰もいやしない日本庭園の中


名前はなぁに?と聞かれて


蜜柑はたどたどしく

舌ったらずに

覚えたての言葉をつげた


「あのね、みぃ…かんっていうの。み、ぃか、ん」

それから。


小首をかしげ聞いてみせた

おにぃちゃまゎ誰ぁれ?


「キュン死っっっっ」


目の前の少年は意味不明な言葉を口にし

大げさに頭を後ろにさげた


それから祖父や父上と同じように

苦しいくらいぎゅむっとすると


これまた祖父や父上のように

白ぺちゃな頬をひつこいくらいぷにぷに頬ずりした


「お兄ちゃまはね、蜜柑ちゃんのお兄ちゃまなんだよ。園無兄ちゃま、

そのむにぃちゃまって呼んでみようね?」



「そ…の…のむ…?にぃちゃま」

まだ言葉を覚えたての蜜柑には難しい


そんな蜜柑に

んー蜜柑ちゃんにゎまだ難しいかな?

とわざとらしく人差し指を頬にあてて覗き込んでくる兄上に


蜜柑はむ~っとして

ぷーんとそっぽを向いてみせた


おにいちゃま嫌いっ


「キュン死っっっっ」

またもや意味不明な言葉を発して

目の前の男は後頭部を大きくそらした


蜜柑はそんなだったから

小さいときから

いつもいつも誰かに構われて。


一人になりたいって

隠れこんでも見つけられて


重たいものもそんな重くないものも

むしろ軽いもだって

自分で持つことすら許されず育ってきた。


周りにいるのは

祖父と父上となにやら面倒なお兄様


いや、正妻とか正妻とか正妻とかいいのかい…?と

つっこむ者も存在せず


お着替えを手伝ってくれるばあやと


お買いものにいってくれる

蜜柑と同い年くらいの男の子


そんな環境下の中

蜜柑はあるとき悟ったのだ。


「蜜柑ね、お外に出てみたいの」


お外に行きたい→学園に行くしかないですね。あ、肝心の王子様でてこない。

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