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[灰色の男、善き光の街、出会い・2]

 


 ズドォン、という重い音が周囲に響き渡り、それとともに飛来した"何か"が、まさにツカサを切り裂かんとしていた団長の頬を掠め、後方の木に直撃し穴を空ける。

 音に反応してギリギリで身を引かなければ、団長の頭は叩き割られていただろう。


「な、何だ今のは……この俺の目にも……ほ、ほとんど見えなかった……」


 驚愕の表情を浮かべながらヒカリを見る。周りの団員たちも明らかに動揺していた。

 荷車に尻餅をついていたツカサも、それにつられて涙目で視線を向ける。その先にはこちらに向かって右手を伸ばしたヒカリの姿があった。

 しかしその手は先ほどまでとは違い、全体が重く黒光りする金属質の"何か"で覆われている。

 それだけでなく、その何かから煙が……ヒカリの手の甲辺りにある小さな穴から煙が薄く上がっていた。


「な、何だそれは!テメェのエヌエムは身体強化じゃねぇのか!」


 団長は焦りと若干の恐怖を滲ませた声で激しく問い質す。しかし、ヒカリはそれに答えず驚きの目で自分の右手を見る。


「な、何だこれは……これが俺のエヌエムなのか……?」


 鋼鉄を纏ってなお震える掌を見つめながら、自問するヒカリ。

 しかし何となく、自分はこれのことを知っている、これの名前も使い方もわかるという気がしていた。


「チッ……!やっぱりテメェから片付けるべきだったみてぇだな!!」


 団長がこちらに向き直る。先ほど迄の動揺は消えているようだった。少なくとも表面上はそう見える。


「やめろ!これが当たったらたぶんただじゃ済まない!もう荷物を諦めて大人しく帰るんだ!」


「へっ、当たればの話だろ……?」


 そう呟くと、団長は再び高速移動を開始し、今までで一番のスピードで木々の合間を跳ね回る。


「どうだ!これが俺の最高速度だ!この速度で駆け回りゃそのオカシなモンでも当てらんねぇだろ!」


 その通りだった。いくら素早く強力なヒカリの武器も、腕の直線上に飛び出す以上狙いをつけねば当たらない。

 しかしこれほどのスピードで木々の間を駆け回られては狙いなどとてもつけられない。


「もうソイツは使わせねぇ!このまま一撃でテメェを潰す!」


 しかし、ヒカリは冷静だった。確かにこのままではコイツを……コイツの"銃弾"を当てられそうにない。

 だがヒカリには確たる勝算があった。

 そう、コイツが自分の思っている通りに使えるのならば、勝てる。自分の勝ちたいように。


「フ……」


 ヒカリは思わず自嘲してしまった。

 先ほど根拠の無い確信のせいでツカサを危険な目にあわせておきながら、また根拠の無いモノに頼ろうとは……俺には学習能力が無いのかもしれない。


「なに笑っていやがる!万策尽きて諦めたかよ!」


 団長は尚もスピードを緩めない。いや、むしろさらに速度が上がったかのようだった。

 しかし、団長は仕掛けない。自分の狙った隙を待っているのだ。


「一撃で……!一撃で仕留める!失敗してさっきのアレを食らったら間違いなく死ぬ……!こんなとこで死ぬわけにはいかねぇ……!!」


 ヒカリの右手の危険性は重々理解していた、だからこそ確実に仕留められる隙を狙って尚もヒカリの周囲を威圧するように駆け回る。

 ツカサも盗賊団員も固唾を飲んで見守っていた。どちらかが倒れれば残ったほうの取り巻きは終わりだと理解しているからだ。


 ふいに、その瞬間が訪れる。

 油断無く構えていたヒカリの右半身に僅かだが明確な隙が現れたのだ。団長はそれを見逃さなかった。


「ソイツを待ってた!!」


 ヒカリに向かって疾走する団長、狙いはヒカリの右手だ。団長は右手を肩から切り飛ばすつもりで爪を振るう。


「ああ、俺も待ってた」


 突然ヒカリが体を捻り、降り下ろされる爪の目の前に何を思ったか自らの顔をさらけ出した。


「なにぃッ!?」


 慌てて腕を逸らす団長、爪はヒカリの頬を掠め赤い傷を残す。


「やっぱりお前は命を奪わない……お前の負けだ!」


 慌てて腕を反らしたことで、懐にヒカリを抱え込む形となる。そして周囲に再度ズドォンと重い音が響いた。


「ぐ……お……」


 短い呻きを残して団長はドサリと倒れる。

 ヒカリは息を少し荒げながらそれを見ていた、ギリギリの駆け引きだったのだ。

 息を整え、周囲の団員達を見回すと


「さぁ、まだ俺たちの荷物が欲しいのか?」


 団員達に向かって精一杯ドスを効かせる。その言葉に怯えたのか全員一目散に逃げ出して行ってしまった。


「あ、ちょっ……自分たちの団長置いていきやがった……」


 やっと立ち上がれるようになったのか荷車から降りたツカサが駆け寄ってくる。

 ヒカリは安心させるかのように微笑みかけ


「危なかったけどなんとかなったな、さてコイツどうしようか……」


 言い終わる前にスパァンとツカサに頭をシバかれる。


「なっ、何を!?」


「何をじゃないわよ!アンタのせいでとんでもないことになったじゃない!」


 涙目のままヒカリに凄い剣幕で叫び散らす。


「第一、そんな強いエヌエム使えるならさっさと使いなさいよ!無駄にもったいぶったから私が怖い目にあったんじゃない!」


「い、いやこれは俺もなんで使えたのか……あ!そ、そうだ!コイツが目を覚ます前に動けないようにしとかなきゃ!な!」


「え!?死んだんじゃないの!?」


「後で説明するからさ、なにか縛れそうなもの無いか?」


「荷物用のロープならあるけど……後でちゃんとなにもかも説明してもらうからね!じゃなきゃ許してあげないから!」


 ヒカリはツカサの鋭い視線を感じながら荷物用のロープで気を失っている団長を縛り上げ始めた。




「つまり、無意識にそれが出たってこと?」


 ヒカリの右手を指差しながらツカサが尋ねる。その手は今なお無骨な金属質の何かに包まれていた。

 団長を縛り上げた後、二人は状況整理と休息の為に昼食を食べることにしていた。もちろんヒカリは何も持っていないのでツカサに食料を譲って貰っている。


「ああ、一度発動した今はコレの使い方も名前も、なんというか直感で理解しているが、それまではコレの事はカケラも知らなかったんだ」


 それに、とヒカリは続ける。


「やっぱりこれは俺のエヌエムでは無い気がするんだ……これも直感でしか無いが、なんというかコレは俺自身が生み出したわけでは無い気がする」


 一旦言葉を区切るとヒカリは旨い旨いと手にした魚を一気に口に詰め込む。しかしツカサはヒカリの説明には納得していないようだった。


「うーん、どう考えてもエヌエムだと思うわ。だって突然右手をそんなふうにできるなんて他に説明のしようが無いじゃない」


「んー……そうなんだろうか……」


 しばらく無言で食事を進める二人、食べているのはどれもここでは一般的な保存食だがとても美味しく感じられた。


「ていうか、何でコイツが自分たちを殺さないなんて思ったの?もし間違ってたらあなたバラバラにされてたのよ?」


「これもただの直感で申し訳ないんだが……コイツは嘘をついていると思ったんだ、ヴァロン?とかいうのの息子だっていうのも、俺らを殺してやるっていうのも。たぶんコイツは、絶対に人を殺さないと思う」


「なにそれ……結局根拠もなにも無いんじゃない、やっぱりあんた変よ……」


 呆れた声でツカサが呟く。ヒカリは申し訳なさそうに肩を竦めた。


「じゃあ質問を変えるけど……あなた、右手のそれがなんなのか理解してるって言ったわよね?武器にしろエヌエムにしろそんなもの見たこと無いから説明してよ」


「わかった……直感で理解したまま言うが、これは鉄甲弾発射装置付き白兵戦用格闘兵器、通称"ガントレット"だ」


「てっこう……?なに?」


 ツカサがきょとんとした顔になる。何を言っているのかわからないというふうだ。


「つまり格闘戦と銃撃戦どちらにも対応できる武器だ、その強度から防具としても使える」


「あの……格闘戦ってのはわかるんだけど、銃撃戦ってなに?」


「え……?なんというかこう、銃弾が飛び交うような……遠距離での……」


「銃弾……?遠距離なら、矢とは違うの?」


「んー、名前の通り銃から発射される弾だ、色んな種類があって……どんな種類があったか思い出せないな……まぁ火薬で小さな鉄の弾を凄い速度で打ち出す武器だ。感じたままを喋ってるからあってるかはわからんが」


「聞いたこと無いわ、そんな武器」


「なるほど……覚えて無いからわからんが少なくとも銃っていうのはあまりポピュラーじゃないらしいな」


「そうだと思うわ。そんな武器を知ってるなんて、あなた記憶を失う前は武器の開発者か何かだったのかしら?」


「どうだろう……少なくとも、武器に精通した人間ではあったのかもな」


「ちょっとどういうモノなのか使ってみせてよ、さっきは一瞬で良くわからなかったし……」


「ああ、じゃあまずは鉄甲弾発射機能だな。これは手首の上にあるこの穴から銃弾が出る機能だ」


 ちょっと試してみようとヒカリが呟き、右手を手近な木に向ける。

 すると例のズドォンという重い音とともに穴から火花が吹き出し煙をあげる。


「ちょっと!やる時は言ってよ!ビックリするじゃない!」


「あ、ああ……すまん……」


 申し訳なさげに謝ると、ヒカリは撃ち抜いた木の裏に回り、少しすると何かを拾って帰ってくる。


「コレがさっき発射した鉄甲弾……つまりは説明した銃弾だ」


 手のひらに乗せた小さな黒い塊をツカサに見せる。


「あの木の裏にある岩にめりこんでたから、威力は小さな木を貫通するくらいだな」


「くらい……ってそんなものが頭にでも当たったら間違いなく死ぬわよ……」


 ツカサが恐ろしげに呟く。


「ああそうだろうな……さっきは必死だったから無意識にそのまま撃ってしまったが、コイツが避けてくれて本当に良かった」


 そう言って団長のほうを見る。まだ目を覚ましてはいないようだ。


「でも、ならなんでアイツはそれをお腹に受けて気絶で済んだの?目立った傷も無いし……」


「ああ、それに関してはガントレットの2つ目の機能を使ったんだ」


「あんな恐ろしいモノ以外にまだ何かあるの!?」


「そうだ、むしろこっちの機能がメインなんだと思う」


 そう言うと、先ほど撃ち抜いた木に向かって歩き出す。


「さっき、銃弾は火薬を使って弾を飛ばすって言ったよな?この機能はその火薬の力を使うんだ」


 ヒカリは腰を少し落として、正拳突きの構えをとった。スゥ……と静かに息を吸い込み、カッと目を見開く


「ハッ!!」


 声とともに木に向かって正拳を繰り出すと、右拳が激突する瞬間にまたズドォンと音が響く。

 すると、小さいとはいえガッシリとした木が爆発でもしたかのように細かい木屑となってバラバラに弾け飛んだ。


「うわぁ……」


 ツカサは目を丸くして弾け飛んだ木を見ていた。これほど強力なエヌエムを生で見るのは初めてだった。

 少なくともリトル村にはこんなモノを使える人はいない。


「自分の拳に火薬の爆発したスピードを乗せて、ガントレットの硬い拳を相手にぶつける。団長にはこれをやったんだ。もちろん死なないように火薬を爆発させるタイミングを調節したし、あんなふうに構えをとって集中してから殴ることなんて出来ないから、実戦で使うときはもっと威力は低くなるけど」


「な、なるほどね……よくわかんないけど……」


 ツカサはバラバラになった木屑をつまみ上げて言う。


「でもやっぱり、あなたのそれはエヌエムじゃ無いかもね……転用すれば武器になったり殺傷力を持ったりするエヌエムはあっても、あなたのそれ……ガントレットみたいに破壊の為だけにあるようなエヌエムは聞いたこと無いわ……」


「そういうものか……なんだかまたわからなくなってしまったな……」


「どっちにしろあなたもガントレットも普通じゃないわ 。やっぱり街で医者に見てもらいましょ、アイツも警察につれてかなきゃだしね」


「そうだな、そう言えばこれどうやって消すんだろう……」


「そう言えばそうね、消えろーって念じてみたら?」


「やってみよう」


 ヒカリはガントレットを見つめて消えろと念じる。するとそれは始めから無かったようにスッと消えていった。


「あ、意外と簡単にいったな」


「そうね、ずっと右手があのままじゃなくて良かったじゃない。さ、アイツの目が覚めるまでもうしばらく休んでましょ」


 それと……と、ツカサが続けた。


「さっきはひっぱたいてゴメンね?あなたのお陰で、結果的には荷物も無事だったしお礼を言うわ」


 そうしてまたしばらく休息をしていると、団長が目を覚ました。


「くっ……なんだこれは……ロープ?」


 自分が縛られていることに気付くと、二人に向かって叫ぶ。


「これをほどきやがれ!俺を誰だと……いっ、痛!」


 殴られた部分が痛んだのか、途中で言葉が途切れる。


「無理するな、骨の一、二本は折れてるかもしれん」


「テメェがやったんだろうが!」


「それはお前たちが襲ってきたからだ、荷物を守るためには仕方なかった。大丈夫、俺たちはこれから街へ行くからそこで医者に見てもらおう」


「ちょっと!コイツも医者に見せるの!?」


「ああ、すまないが警察は勘弁してやってくれないか?正当防衛ではあっても、彼らが襲ってきたのは俺が交渉に失敗したからだし、何か事情がありそうだ」


「あれで本当に交渉のつもりだったのね……もういいわ、勝手にして……はぁ、なんで今回に限ってこんな面倒なことばかり起きるのかしら……」


 ぶつぶつ言いながらツカサは疲れた様子で荷車の御者席に座る。


「そう言うことだ、街まで連れていくぞ」


「ふざけんな!誰が街なんかに!」


 団長が抵抗しようとするも縛られている上に怪我をした状態ではそれも叶わず、ヒカリにひょいと担がれ荷台に載せられてしまう。

 ヒカリがツカサの隣に乗り込むと、ドムゥに鞭が入れられゆっくりと進みだした。街まではあと少しである。





「そう言えば、お前はなんて名前なんだ?」


 街へ向かう道中、ヒカリがふいに尋ねる。 団長はと言うと諦めたのか不貞腐れたのか、どちらにしろ荷台で大人しくしていた。


「………ガロンだ、ガロン・ワーロウ……」


「やっぱりヴァロンの息子じゃ無いじゃない、ヴァロンの名字はスナッチだもの」


「ふん、血の繋がりなんかどうでもいい、俺はヴァロンの息子だ……」


「なにそれ……」


「詳しいんだなツカサ」


「けっ、親父の名を知らないヤツがいるとはな。ヴァロン盗賊団も堕ちたもんだぜ」


「違うわ、コイツ記憶喪失なのよ。ヒカリは覚えて無いでしょうけど、ヴァロン盗賊団はこの大陸では名の知れた盗賊団なの。団の規模としてもそうだけど、金持ちしか狙わないっていうことから市民の間で人気が高くて貧者の英雄なんて呼ぶヤツもいるらしいわ」


 私には理解できないけど、とツカサは続けた。


「でも半年前くらい前から急に姿を現さなくなったの。団長のヴァロンも老齢だったし、彼が死んでバラバラに解散したんじゃないかって言われてたわ、実際のところどうなのかは知らないけど……」


 そう言ってチラッと何やら複雑な表情を浮かべていたガロンを見る。


「そうなのかガロン?」


 しばしの沈黙の後


「殺されたんだ……」

 

 と、静かに答えた。


「殺された?警察か軍と争いにでもなったの?」


「違う、親父がそんなウスノロ共に殺されるわけがねぇ……」


「じゃあ誰なのよ?」


「盗賊団のナンバー2であり俺の兄でもある男、バジリコにだ……ヤツは親父に一番信頼されていたにも関わらず、ある日突然親父を罠にハメて殺したんだ」


「仲間割れってこと?盗賊団らしいっちゃらしいけど……」

 

「ふん、なんとでも言え……とにかく理由はわからねぇが、兄貴は親父を殺し、そのせいでトップを失った盗賊団は散り散りになった。俺の下についてきたヤツらとその辺のチンケな盗賊みたいな事をやろうとしたら、いきなりお前らにやられてこのザマだ……部下達もさっきの無様な俺の姿を見てどっかに行っちまったし、盗賊団も終わりだな」


「今日が初めての活動だったてわけ?だから噂も何も聞かなかったのね」


「あの勝負、俺が勝てたのはお前が俺の読み通りに優しかったからだ。お前が宣言通りに命を奪いに来てれば俺は死んでいた」


「けっ、よせよ、優しいなんて気色悪い。自分から攻撃に顔を晒すなんて本物のバカだぜ、俺が腕を逸らす保証も無ぇのによ」


「そう言えば、結局はヒカリの勘が当たってたわけだけどなんであなたはヒカリの命を奪わなかったの?」


「俺が"盗賊"だからだ、真の"盗賊"は1つしか無いものは盗まない。だから金持ちが沢山持ってる金は頂いても、どんなヤツも1つしか持ってない命は絶対に盗らない。そういうふうにガキの頃から親父に教わってきたからな」


 そう話すガロンはどこか誇らしげだったが、すぐに忌々しげな顔に戻る。


「だがその教えを兄貴は……バジリコは破りやがったんだ……!よりにもよって親父の命で……!」



 しばし沈黙が続いた。30分ほど経って、小高い丘を越えたとき不意にツカサが声を挙げる。


「あ!見えたわ、あれが目的の街の"ゼンコウ"よ!」


 随分長く感じたわ、とツカサが呟く。


「あれが街か……ゼンコウとはどういう意味なんだ?」


「私も良くは知らないけど、たしか昔の言葉で"善い光"って意味だったかしら」


「なるほど、それにしても随分と高い壁に囲まれているんだな」


 丘の上から見える街の周囲は、ゆうに五階建ての建物ぶんの高さはありそうな壁に囲まれていた。


「ゼンコウの壁は特別高いけど、だいたいの街があんな感じで壁に囲まれているわ。街を襲ってくるようなヤツはそうそういないけど、まぁ保険ね」


「なぜゼンコウの壁は他の街より高いんだ?」


「それは……」


「俺が教えてやる」


 ツカサが答えようとすると後ろからガロンの声がした。


「この街はな、大昔にある生き物に襲われたことがあるんだ。あれはその時の経験から生まれた対策なのさ」


「ある生き物?街全体が対策をたてなくちゃいけないような生物なのか?」


「ああ、そうだ。ソイツは凄まじい力でな、グレート・ファイアの正体はソイツだなんて当時は言われたらしい」


「それほどなのか……どんな生物なんだソイツは?」


「デカくって羽が生えてて空を飛ぶんだ、おまけに火を吹くらしい」


「そんな生物がいるのか!?」


「聞き覚えがねぇか?ドラゴンだよ」




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