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[作戦会議、ミヤコにて・2]

[作戦会議、ミヤコにて・2]



 「ここが謁見の間だ、国王陛下と姫は既にこちらで待っておられる」


ジュリが煌びやかな扉の前で止まり、ヒカリたちに向き直る。


「繰り返すが、くれぐれも粗相の内容にな。特にそこの男二人」


「ウルセェなぁ、わかってんよ」


「気をつけるようにする」


こちらを睨みつけるジュリに、ヒカリとガロンはそれぞれ返す。


「では入るぞ」


扉をゆっくりと開け入室するジュリに四人も続く。

床は見たことも無い黄緑色の植物素材の様なモノで綺麗に覆われており、10メートルほどはあろうかと言うほどの長い広間の奥には着物を着た精悍な顔付きをした中年の男が胡座で座っている。

整えられた髭に肩ほどまで伸びた髪は、それでも清潔感を感じさせる艶やかな漆黒。薄紫の下地に金の刺繍を施した着物と合間って、その姿は厳粛さと豪華さを兼ね備えていた。

その両脇にはミナヅキと、ヒカリの見知らぬ白髪の老人が共に正座で待機している。



「ジュリ・シバトラ大尉、謁見の為に件のヒカリ他三人と共に馳せ参じました!」


敬礼しながら報告するジュリはいつにも増して凛としている。ヒカリ達は横に並んで指示を待った。

すると国王の左前に座る老人が口を開いた。


「うむ、ご苦労であったジュリ大尉。御客人がた、国王陛下のお近くへ寄られい」


「はっ!……お前らついてこい」


四人はジュリに従って前に進む。そして用意された客用の座布団にそれぞれ座ったのを確認すると、国王が口を開いた。


「お主らよくここまで参ったな、列車で色々あったというのも聞いておる。まずはその労をねぎらおう」


威厳溢れる重低音の声に思わずヒカリは頭を下げた。


「今更名乗らんでも知ってる者もおるであろうが儂の名はダイコク、このミヤコを治めておる国王だ。

このジジイは参謀のハットリ、爺やと呼んで構わん。娘のミナヅキは知っておるな?」


ダイコクの問い掛けに皆一様に頷く。


「うむ、ではお主らの事を聞かせて貰おうか。報告で知ってはおるが、本人の口から聞くのとでは印象も違うしな。まずは赤毛の……お主がヒカリだな?お主から頼む」


「うぇ!?い、いや俺なんか記憶喪失で人に話せるような事なんて……」


突然の指名にヒカリは狼狽えるが、それを見たダイコクは軽快に笑う。


「ガハハハ!良い良い!お主が今まで感じて来たことを教えてくれれば良いのだ」


「は、はぁ……それじゃあ……」


こうしてヒカリ達は順々に簡単な自己紹介を行い、ダイコクは都度質問を投げかけた。



 「うむ、それでは本題に入るとしようか。ジジイ、頼む」


 しばしの質疑応答のあと、ダイコクは真剣な表情で切り出した。声を掛けられた爺やが御意と答えて懐から何枚かの紙を取り出して話し始めた。


「本日の謁見の理由であるが、昨日の調査によって判明及び予測される事態を我が国は重く見ている為である。まず最初にこれを見てもらおう」


爺やが立ち上がり全員に紙を配る。そこには研究施設で写し出されたヒカリの記憶のヴィジョンが何がしかのエヌエムを使ったのか、鮮明に転写されていた。


「な、何よこれ……」


それを見たツカサが思わず声を漏らす。ガロンやリュナも同じように驚きの表情を浮かべていた。


「な、なんでプロトがこんなに大量に……」


「驚くのも無理はありません、我々もそうでした」


ミナヅキが素の時とは違う威厳を感じさせる口調で話す。


「誰かの耳に入って無用な混乱が起きる可能性を潰したかったので、ヒカリから貴方方に説明させるのは私が止めました」


「すまん、俺も言いたかったんだが……」


「そ、そんことどうでも良いわよ!どういう事なのこれ!?」


「ああ、プロトってのはいったい何人いやがるんだ?」


ツカサとガロンがヒカリに問うが、ダイコクがそれを手で制した。


「まぁ待てお主ら、それを聞いて対策する為にこの会議を開いたのだ。まずはヒカリ、お主の口から知っている限りの事を話してもらおう」


「はい……まずプロトは、正式にはフォルンシリーズという機械人形の一号機です。つまり、元々量産の為に作られたんです」


「ではこれを見る限り、既にそのフォルンシリーズとやらは量産済みと見ていいのですね?」


「かもしれません……でも正直なところどうなのかは俺にも……」


ミナヅキの問いかけにも、記憶が戻っていない以上ヒカリは曖昧に返さざるを得ない。


「おいおい!プロトみたいなバケモノがこんなにいるかも知れないってのにそれじゃ困るぜ!」


「いや……仮に量産されていても、多分プロトほどは強く無いと思う」


「ほう、それはまた何故?」


ヒカリの言葉に爺やが反応する。


「生身の脳を使っているのはプロトただ一人だからです。プロトの経験値を持たないその他のフォルンシリーズは劣化コピーと言っても良いでしょう」


「なぜお主はそれを知っておる?」


ヒカリを見定めるようにダイコクが鋭い視線を向ける。


「それは……わかりません……ただそうだと思い出したとしか……」


「ふむ……現段階ではお主が唯一の情報源だ、不確かな情報でも有難くはあるがそれでも信頼に足るに越したことはない、わかるな?何か他に言うべき情報はあるか?」


「もしそのフォルンシリーズとやらが大挙して押し寄せて来たなら国家の安全に関わるのです。どんな小さな情報でも構いませんから頼みますよ、ヒカリ」


ミナヅキも真剣な顔で語る。二人とも自分の国の事を本気で考えているのだとヒカリも理解した。


「わかりました、俺が知っていることは全てお話しします」


ヒカリは己の思い出したことを全て話した。

プロトが村を焼いた記憶、ガラスの中に浮かぶ脳髄、己が得た装備に到るまで。


「聞けば聞くほど凄まじい技術力を感じさせるな、ピースメイカーの奴らは。それに、お主が使える様になった装備とやらもこの目で確かめてみたい。中庭でジュリと試合をして貰えぬか?」


「それが必要だと言うなら……俺は構いません」


ヒカリは一瞬迷う素振りを見せたが承諾した。


「よし、ならば移動しよう」


ダイコクの号令で一行は謁見の間を後にした。



[作戦会議、ミヤコにて・2]終

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