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[準決勝、そして・2]

[準決勝、そして・2]


 試合会場へと続く通路、明かりは会場から入ってくる光以外は何もなく薄暗い。その暗がりの中で周囲の闇を己に纏うようにフードを被った人影が1つ。

 一回戦で前回優勝者のクサカベを圧倒したフォルンだ。


「導師様……何故このような茶番に私を……」


「僭越ながら、まだ我々の存在を公にを見せるのは時期尚早では……それにこの街はヨンゴウを失った忌まわしき……」


「なんと!それは本当ですか……!?」


 フォルンは誰かと会話しているようだが、周りには他の人間の姿は無い。


「ク…ククク…なるほど、そういう事ならば喜んで引き受けましょう」


「ええ……ええ、もちろんです……我らが導師よ、あなた様にこそ"アレ"は相応しい……では、また後ほど……」


 そう言ってフォルンは静かになる。どうやら会話が終わったようだ。

 するとしばらくしてフォルンは肩を小刻みに震わせだした。


「クク…ククク…そうかそうか、やっと貴様に会えるわけだな"ナナゴウ"よ……ククク…ハーッハッハッハ!!!」


 誰もいない通路でフォルンは1人、歓喜の声を上げて笑った。包帯を巻かれた顔の奥で二つの紅く光る眼が不気味に輝いていた。




「それでは参ります!準決勝第二回戦!ツカサ選手及びフォルン選手は舞台上へどうぞ!!」


 舞台の上で司会が声を張り上げる。新たな試合を前に会場の熱気も再び盛り上がりを見せていた。


「それじゃ行ってくるわ」


 そう言うとツカサは未だ治療を続けるヒカリ達に背を向ける。その後ろ姿にヒカリは声を掛けた。


「頑張れ、無理はするなよ」


 努めて優しい声をだすヒカリに、ツカサは顔だけ振り返った。


「大丈夫よ、私だってけっこう強いんだから」


 怯えも多分にあるだろうに気丈に振る舞うツカサに、ヒカリは笑いかける。


「そうだな、決勝でお前と闘えるのを楽しみにしてるよ」


 ツカサもヒカリに笑顔を返して舞台へと登っていく。反対サイドには既にフォルンが立っていた。

 包帯で包まれた顔は、表情を見ることすら許さない。


「さぁ両者出揃いました!まずはツカサ選手の紹介から参ります!一回戦においては父親譲りの武術の腕前と素晴らしいガッツで勝利を掴みました!また、強力なエヌエムの持ち主でもあり今回の試合にも期待がかかります!!」


 観客達から拍手と歓声があがる。一回戦での頑張りを皆が評価しているのだろう。


「続いてフォルン選手!一回戦では前回優勝者のクサカベ選手をなんと圧倒!ヒカリ選手と並んで今大会のダークホース的存在と言えるでしょう。なにより、あのクサカベ選手を相手にしながらその実力は未だに大部分が謎のままであります!さて二回戦も圧倒的な力を見せ付けることができるのか!?注目です!それでは間もなく試合開始です!!」


 司会が準備の為に舞台を降りる。ツカサが精神を集中させていると、思いがけずフォルンが話しかけてきた。


「おい女……貴様、"ナナゴウ"という言葉に聞き覚えは無いか?」


「なによ、いきなり話しかけてきたと思えば意味がわからないわ」


「なるほど貴様では無いのか……いや忘れているだけの可能性もある、なにしろ時が経ちすぎているからな」


 小声な上に口まで包帯に覆われている為に後半はほとんど聞き取ることができなかった。


「なによアイツ……気味悪いわね……」


 ツカサがジト目でフォルンを睨み付けていると、会場に司会の声が再び響いた。


「皆さんお待たせ致しました!準備が整いましたので第二試合を開始させていただきます!両者は向かい合ってもう少し距離を開いてください!」


「っと……そんなこと考えてる場合じゃないわ、集中しなきゃ。なんせアイツはあのクサカベを倒したんだから……」


 試合開始を前に否応なしに緊張が高まる。

 マトモに闘えば恐らく勝機は薄い、少しでも油断をしたら終わりだ。ツカサは鋭い目でフォルンを注視しながら構えをとった。対してフォルンは俯き気味に立っているだけである。


「それでは参ります!準決勝第二試合……開始ぃ!」


 司会の声が高らかに響きわたる。

 それと同時にフォルンは己の着ているローブへと手を掛けた。


「何を……?」


 訝しむツカサを尻目にフォルンはローブを脱ぎ捨てた。露になった全身には顔と同じように包帯が巻かれている。


「さっきの奴はどうしようもない雑魚だったが……お前はどうかな?」


「……!?」


 ツカサは咄嗟に身体を捻る。

 刹那の後、先ほどまでツカサの顔があった場所をフォルンの拳が通過していた。


「なかなか良い勘をしているな小娘……戦士として最低限の素質はあるようだ」


「そりゃどうも!」


 言いながらツカサは飛び退き距離を取る。


「まったく見えなかった!アイツ、あの距離をどうやって……!?」


 思考回転させながら構えるツカサを深紅に輝く瞳でフォルンは睨む。


「距離をとるにしても中途半端だ、悪手とは言わんが誉められはせん……己の長所を活かそうとせんのではな。どうも経験が足りぬようだが、やはり貴様は違うのか……?」


「何をワケのわからないことを……!」


 しかし言葉はそこで途切れる。またしてもフォルンがいきなり間合いに入りこみ拳を見舞ってきたのだ。今度は避けずに腕で逸らす。


「ほんと何なのよコイツ……!速いってレベルじゃないわ!」


「やはり勘は良いな、先ほどの試合でも身の守りに関しては中々の物であった。では、何処まで捌けるか見せてもらうとしようか」


 そのままフォルンは連続で攻撃を繰り出し始める。しかしツカサは一回戦で見せた防御の腕を遺憾無く発揮し危なげなく防ぐ。


「コイツ……攻撃スピードは大したことないわ!これなら私でも充分対応できる!」


「ふん、やはり経験が浅いようだな。ほんの少しの攻防でもう油断とは」


 突然フォルンの攻撃のリズムが変わり、緩急をつけた攻撃に一瞬タイミングを見失うツカサ。フォルンはそこを見逃さない。


「しまっ……!ぐっ!!」


  直後、腹部にクリーンヒットを受けたツカサは不自然なほどに後ろに弾き飛ばされるがなんとか着地し、フォルンに向かって構え直す。


「おかしい……あの程度のスピードの攻撃を一度受けただけでここまで後ろに飛ばされるなんて……恐らくはアイツの能力……いったいどんな力なの?」



「勘は良いが経験が足りない、攻めようという意思も感じられない……何より、あの背筋が凍るような気迫が無い。どうやら貴様は"ヤツ"では無いようだ」


 フォルンが期待外れといったふうに呟く。


「もう貴様は充分だ、終わりにするぞ」


 フォルンが体重を前へと移す。次の瞬間にはツカサの眼前へと拳が迫っていた。


「そう何度も通用しないわよ!」


 能力がわからないとは言え、流石に三度目ともなれば予想してカウンターを狙うこともできる。

 ツカサはフォルンの拳を掴むと、勢いを利用して捻る。体勢を崩したフォルンは不様に地面に叩きつけられるかに見えたが


「なっ!?」


 地面から身体が離れた瞬間、フォルンの姿が目の前から消えた。


「どこに!?ぐぅっ!?」


 突如背後から強い衝撃を受け、ツカサはうつ伏せに吹き飛ばされる。

 立ち上がり自分の居た箇所を見るとそこにはフォルンの姿が。


「いったいどういうこと……!?」


「カムイさんよ!今のはもしかして……!」


「ああ、私も始めて見るが……」


 突然の攻撃を受けたツカサよりも、待機場のガロン達のほうが情報を掴んでいた。


「あれはまさしく瞬間移動……!」


 ガロン達の目には、倒れる姿勢のまま消えたフォルンがそのままツカサの背後上空から突如として現れ、

 そのまま蹴りを放ったように見えたのだ。観客達も驚きの声を上げている。


「そんなエヌエムありかよ……!無敵じゃねぇか!」


「いや、まだ本当に瞬間移動かはわからない……しかしどちらにせよこれはかなり厄介だぞ、どうするツカサ……!」


 舞台上では再びツカサとフォルンが向かい合う形となっていた。


「まだまだ元気そうだな。まぁ、あの体勢からの蹴りでは当然ではあるが……」


 余裕そうな口振りのフォルンに対して、ツカサは一分の隙もなくフォルンを睨み付けている。


「やっと分かったわアンタのエヌエムが……瞬間移動でしょう?それなら今までの闘いにも説明がつくわ」


 フォルンの言葉を無視してツカサは問いかける。


「もしそうだとして、俺が教えると思うのか?」


「ふん、その口振りじゃ正解だって言ってるようなものじゃない」


 ツカサの言葉にフォルンは包帯の奥から軽く笑い声を洩らす。それはまるで嘲笑しているかのようだ。


「なによ、違うの?」


「いや……俺の能力を見た者は皆が皆、同じことを言うのでな。では生意気な貴様に少しだけ教えてやろう」


 フォルンの眼光がツカサを射抜いた。


「俺のエヌエムは瞬間移動では"ない"」


 その瞬間、目の前からパッとフォルンの姿が消える。咄嗟に背後を警戒するツカサだがそれは早計であった。

 己の下方から低い体勢でいきなり出現するフォルン。身体をバネのように使ったパンチがツカサの顎を打ち抜く。ツカサはマトモに受けざるを得ない。


「ぐふっ……!」


 しかしそれで攻撃は終わりではない。

 またしても消え去ったかと思うと、若干中に浮き上がったツカサの右サイドから現れ、蹴りあげるようにして更に空中へとツカサを打ち上げていく。

 そのまま攻撃しては瞬間移動を何度も何度も繰り返す。一度毎にツカサの体は不自然なほど高く浮かび上がっていった。


「おいおいマジかよ……!」


 ガロンが思わず口を開く。度重なる打ち上げ攻撃によってツカサの体はついに舞台から十m程も浮かび上がっていた。


「くっ、くそっ……!」


 二発目以降の攻撃はなんとか防御していたツカサだが、もはや空中で身体を捩ることしか出来ない。

 このままでは舞台への落下は避けられないだろう。


「フハハハ!よくぞまだ意識があるものだ!大抵のヤツはそこまで上がる前に気を失うのだがな……やはり防御に関しては大したものだ!」


 ツカサの遥か下、舞台上に現れたフォルンが笑う。


「だが、それは貴様にとって逆に不運であったな……意識が無ければ苦しむことも無かったろうに」


 フォルンが消える。

 ここから先、フォルンがどうするかはツカサにも予測はできていた。しかし打つ手は無い。


「では、宣言通り終わりにしよう」


 ツカサの更に少し上に現れたフォルン。その右足は折り畳まれている。


「くっ!!」


 ツカサはなんとか身を捩り腕で防御の構えをとる。


「ハッ!健気だな!」


 嘲笑うかのようにフォルンは右足をツカサに叩き込む。

 蹴り自体は防御したツカサだが、その体は勢いを増して落下する。そして轟音を立てて地面へと叩き付けられた。


「茶番にしては暇を潰せたか……さて、残るは……」


 激突によって砕けた舞台が土煙を上げるなか、なんなく着地するフォルン。

 その目が辺りを見回そうと目を逸らしたその時。


「待ち……なさいよ……」


 突然、土煙の中からツカサの腕がフォルンを掴む。


「ほう、咄嗟に受け身をとったか。本当に身の守りに関しては大したものだ……それで、この腕はなんだ?」


「なに……余裕かましてんのよ……こっちは、やっとアンタの能力が分かったってのに……!」


 ツカサの声は不自然に大きかった。ボロボロの体から振り絞るようにして喋っている。


「なんだと?」


「アンタの能力は、自分や……自分の触れたモノを"何処かへ飛ばす"能力……だから大した攻撃じゃ……なくても、私をあんなに弾き……飛ばしたり、浮かび上がらせることが……できた……違う?」


 ツカサの絞り出すような言葉はまるで誰かに聞かせているかのようだ。


「ツカサ……もういい!もう充分だ……!」


 待機場でヒカリが叫ぶが、ツカサの耳には届いていないようだ。


「なるほど、良くそこまで気付いたモノだが……なら俺を掴まえていれば問題無いとでも思ったか?残念だが、俺は別に手のひらで無くても体の何処かに触れてさえいれば飛ばせる」


「いいえ……もう、無理よ……!」


「なに……!?」


 フォルンが声を上げた。何故ならツカサに掴まれた腕が、ツカサの腕ごと凍りついていたからだ。


「いま私が飛ばされたら……アンタの腕ごと飛んでくわよ!まぁ……このままでも……全身凍らせてあげるけど……!」


「なるほど、そういう算段か……忠告してやろう、やめておけ」


 フォルンの声は冷静そのものであった。そこには何処か呆れのようなモノも感じられた。


「なによそれ……最後までワケわかんないことを……」


 ツカサがエヌエムを全開にする。己すら危険な程の出力だ。


「ごめんヒカリ……決勝、いけないかも……」


 ツカサの意識はそこで途切れた。


「ツカサァァ!!!」


 ヒカリは思わず叫んだ。舞台の上には、ツカサとフォルン両者が彫像の如く全身凍りついていた。


「は、早く医療班を……!」


 その時だった、舞台からビキビキと音が響く。


「ま、まさか……!」


 フォルンの表面を覆う氷に亀裂が走っていく。そのまま氷は砕け散り、中からは先ほどまでと同様、無傷のフォルンが現れる。


「ふん、だからやめておけと言ったのだ」


 フォルンは凍りついたツカサを見、吐き捨てるように呟いた。


「まぁいい、ここまでやった褒美だ。このまま粉々に打ち砕いてやろう」


 凍りついたままのツカサを打ち砕かんとフォルンが拳を振りかぶった。


「な!?やめろぉぉぉ!!」


 既に限界であったであろう待機場のカムイが思わず叫ぶ。しかし今からでは間に合わない。


「良くやったぞ娘、久々に楽しめた」


 拳を繰り出すフォルンだが、その拳がツカサに届くことは無かった。


「もう勝負はついているだろう……!これ以上やるつもりならこの場で俺が貴様を殺すぞ……!!」


 フォルンの拳を受けとめたのはヒカリであった。普段の表情からは想像も出来ないほどに激怒と殺気に染まった顔をしている。


「その目、その気迫……間違いない!貴様だ……!貴様こそ!」


 しかしフォルンは喜びを滲ませた声で何事かをブツブツと呟き始めた。


「なんだ……?」


 拳を受け止めた姿勢のまましばし硬直する両者だったが、

 カムイ達が舞台に上がってきたことで自然と引き離された。


「大丈夫かツカサ!?」


 誰よりも早くカムイはツカサに駆け寄り直ぐ様エヌエムで治療を始める。ガロンや他の医療班も舞台に上がってきた。


「てめぇ……!なんであの状態のツカサを殴ろうとしたんだ!!死んじまうだろうが!!」


 ガロンがフォルンに食って掛かる。フォルンは既に平常時の精神状態に戻っているようだ。


「理由など無い、戦いとはそういうモノだ」


「なんだと……!?これは試合だぞ!それに戦いなら死んじまってもしょうがねぇってのか!!殺していいとでも……!!」


 ガロンは今にも飛び掛かりそうな勢いだ。


「そういうものだろう、力と力のやり取りとは」


「だがそこの獣の言う通りこれは試合だ、あのまま相手を殺していたなら貴様を叩き斬っていた。割って入ったアイツに感謝するのだな」


 不意にフォルンの背後から喉元に刀が突き付けられる。いつのまにかジュリがVIP観覧席から飛び降りてきたのだ。


「フッ、叩き斬るか……できるものなら良いがな」


「ほう、ならば今すぐ試してやってもいいぞ?コレはさっきまで使っていたナマクラとは違うからな」


 ジュリの刀がジワリと青白い光を纏う。


「引っ込んでろ!!」


 不意にヒカリが凄まじい剣幕で叫んだ。その余りの気迫に周囲に居た誰もが一瞬怯んだ程だ。


「ソイツは決勝戦で俺が叩き潰す!手を出そうって言うならお前からやるぞ!!」


 ヒカリがジュリを睨み付け、二人は一瞬睨み合う。


「ふん……よかろう」


 ジュリは刀を鞘に仕舞うと、観客席を軽業のように飛び伝いVIP席へと戻っていった。


「う……」


 不意にヒカリの背後から声がする。

 慌てて振り向くと、氷付けだったツカサがカムイと医療班の治療によりなんとか意識を取り戻していた。


「大丈夫か!?」


 ヒカリが駆け寄り、ガロン達もそれに続いた。


「う、うん、なんとか……それより……ごめん、負けちゃった」


 ヒカリは申し訳なさそうに謝るツカサの肩に手を置く。


「いや、いいんだ。お前の頑張りは充分見せてもらったよ、誇っていい闘いぶりだったと俺は思う」


 精一杯笑みを作ってツカサを励ます。


「でも……どうしてアイツ……なんのダメージも無いなんて……」


 ツカサがフォルンを見ると、その視線を感じたのかフォルンが近づいてくる。


「なんの用だね……?娘にまだなにかあるのかな?」


 治療を続けながらカムイがフォルンに牽制する。丁寧な口調だが、明らかな怒りが滲み出ていた。


「なに、貴様の娘に代わりの褒美をやろうと思ってな。何故貴様のエヌエムが俺に通じなかったか……気になるのだろう?」


 カムイの怒りすら意に介さないかのように、フォルンが尋ねる。ツカサは無言で頷いた。


「ならば教えてやろう、答えは単純だ。貴様ら"人間"が凍ってしまう程度の温度では、体表に巻いた包帯は凍っても、中の俺までは凍らん」


 フォルンは、己の全身に巻かれた包帯をゆっくりとほどきだす。

 その本当の体が露になるにつれ、それを見る人々の顔が驚愕に引き釣っていく。


「つまりだ、そこの娘が凍って気絶してしまうような温度になろうとも……」


 ついに全ての包帯が取り去られる。

 姿を現したのは人間では無かった。

 ロウでもカームでもドンパでもランバンでも無かった。


「俺のネジ一本、オイル一滴すら凍らせることは出来んというわけだ」


 それは凡そ生物とは言えなかった。

 現れたのは正に異形。

 頭から爪先まで、全てが鋼の体躯。

 顔面すらも金属質の鈍い輝きを放っている。


「ク、ククク……ハハハハハッ!ヒャアーハッハッハッ!!!!」


 周りの人間の表情を見渡し、フォルンはさも楽しそうに笑った。

 笑顔すら作れぬ鋼鉄の顔の奥で真紅の瞳だけが楽しげに揺れていた。


[第6章・準決勝、そして・終]

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