第6話 魔法少女は帰宅する、そこで見たものは……
学校の門を出るフェルト。運転手のガイラが車で迎えに来てくれていた。
「お嬢様、学校はどうでしたか?」
運転手のガイラが車を発進させながら尋ねてくる。
「ええ、つかみはばっちりだったわ。私が最強の魔法少女だとみんな認識したんじゃないかしらね」
「それは良かったですね」
「ところでガイラ、『リモコン』って知ってる?」
「リモコンでございますか? 知っていますよ。ボタンのたくさんある『あれ』ですよね?」
「そうそう、ボタンがたくさんあって、『ぱかぱか』もできるのよ。さすがガイラね。鉄の箱を動かす魔法を使えるだけあるわ。明日までにそのリモコンの使い方を教えてちょうだい」
「かしこまりました。テレビのリモコンでいいのでしょうか?」
「テルビ? デビル? 何それ?」
「画面に映像を映すものですよ」
「ああ、確かに視覚情報を転写していた四角いものがついていたわね。きっとそれよそれ。明日までにマスターするわ!」
走るベンツの窓を空けて顔を出して上空を見るフェルト。
「ガイラ、今はドラゴンいないわよ。空を飛んでもいいのよ」
「お嬢様、ベンツは空を飛びませんよ」
「ふーん、そうなの。覚えておくわ」
(明日学校でみんなに教えてあげましょう……)
フェルトの知力がまた+1上がった。
トータルで知力3になった。
◆
「ただいま、ラル! おなか減ったわ!」
「おかえりなさい。お嬢様、夕食の準備が終わるまで少し時間がございます。食べたいものがありましたら用意させますが、何かございますか?」
「うーん、そうね。ケルベロスの炎であぶったスライムもいいけど、今日はジャイアントラットが食べたいわね」
「……?」
「ジャイアントラットよ。ラット!」
(あの大ネズミ美味なのよね……)
「なっと? でございますか?」
「そう。そんな感じ」
「ああ! わかりました、お嬢様ご用意いたしますね。では夕食ができるまでお待ち下さい」
フェルトは夕食まで暇だった。
運転手のガイラにリモコンの使い方を教わった。
(魔法学校にあったものより小さいわね。『ぱかぱか』する部分も小さいし)
「お嬢様、ここを押すのですよ」
ガイラがリモコンのボタンを押してくれる。
テレビがつく。
(な、な、な、何これ? 何の魔法なの?)
――『私は魔法少女ラルル。ラルルに変身、マジカルステッキ。好評発売中! 近くのおもちゃ屋さんへGO!』
CMが流れている。
「ガイラ! あなた魔法少女をこの中に閉じ込めてしまったの!?」
「いいえお嬢様。ただのコマーシャルですよ。マジカルステッキの宣伝です」
(…………………………。……なるほど……。私は見た! 確かに見た! あの『マジカルステッキ』とかいう魔法アイテムで普通の女の子が魔法少女に変身していた……。私も変身したい! 『マジカルステッキ』! 絶対に手に入れるわ!)
フェルトのこの固い決心が後に実現することになる。(伏線)
――第1話にもありましたが、伏線というのは小説において、これから起こる出来事をあらかじめほのめかしておくことです。つまり『マジカルステッキ』がまたこの後出てくるってことです。まあ結果は……読者の予想通りでしょう。
↓にあるのはweb拍手と言ってクリックすると作者へ読んでいることが伝わります。
この話はコメディーです。みなさんを楽しませるものです。もちろんweb拍手にも仕掛けが……!?