第12話 魔法少女は放課後の部活が待ち遠しい
その後もフェルトの理解しがたい授業は続いた……。
しかし彼女はすでに知っているのだ。
これは魔法の授業ではないと!
フェルトの自信は回復、知力も元通りの『3』になる。
そして授業を聞きもせず、後方窓際の席で思いにふける。
(早く放課後にならないかな〜〜)
(ラルはトイザラウルスの攻略に2、3日はかかるだろうしな……『マジカルステッキ』早く見つかるといいな〜)
(『スマホゲーム開発部』ギルドのみんな、びっくりするだろうな。私が『リモコン』の使い方をマスターしているのを知ったら……)
(それにしても『やきそばぱん』おいしかったな〜。中のあれ『大ミミズ』のソテーかな?)
(角うさぎちゃんも美味なのよね。そういえば学校の飼育小屋に角のない奴がいたわね。あれって食べていいんだよね?)
(ああ、それにしてもチビオークの足焼いたのも美味しいんだよな。学校の回りにいるの……かし……ら……)
ぽかぽか暖かい日差しの中、空想が次第に食べ物にシフトするフェルト。
前話で称号こそ『高柳君』に昇格したようだが、フェルトの頭の中には『高柳』の『タ』の字も出てこない。
やはりまだフラグが立つのは早かったのであろう……
◆
『では、今日の授業はこれで終わりです』
『起立。礼。着席』
日直の号令がかかる。
フェルトはよだれを垂らして寝ていた。
「……フェルトさん、フェルトさん」
誰かがフェルトを「ゆっさゆっさ」する。
「(う、うーん、もう食べられないよ〜)」
「……フェルトさん、起きてよ! 部活行くよ! 部活!」
「(豚カツ? 何それ? おいしそう♪ 高柳君おいしそうなものいっぱい知ってるね♪♪)」
「……寝ぼけてないで、早く行こうよ。部長さんが待ってるよ」
目が覚めるフェルト。
高柳が視界に入る。
「高柳君!」
目をキラキラさせる。
それは決して恋などではない。
次はどんな美味しいものをくれるのか期待した目だ。
そして高柳は気づいていない。
すでに焼きそばパンでフェルトの使役に成功していた事に。
「ほら、早く行くよ」
「うん♪」
フェルトの手を引き部室へと向かう二人。
「あれ? 高柳君、そっち購買じゃ……」
「購買じゃないよ! スマホゲーム開発部だよ!」
高柳に使役された従順なモンスターのように付き従うフェルト。
二人は部室へと向かう。




