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第39話 春嵐の前触れ

 月曜の夜、電話がかかってきた為、淳が固定電話の受話器を上げると、確実に居る時間を見計らったらしい父親の声が聞こえてきた。


「やあ、淳。元気にしてるか?」

「親父? ああ、取り敢えず体調は良いが。珍しいな、親父が電話してくるなんて」

「今、元気なのが俺しかいなくてな」

 それを聞いた淳は、僅かに眉根を寄せた。


「そっちで今、タチの悪い風邪でも流行ってるのか?」

「加積康二郎と言う人が、奥様同伴で旅館うちに土日お泊まりになってな。全室貸切にして、他に黒服の男性が三十人程、一緒に泊まった」

「…………」

 淡々とした声での報告に、淳は無言で固まった。そんな息子の反応は気にせずに、潔がそのままの口調で話を続ける。


「ここに来るまでも凄かったらしい。一人一台運転して来たから、温泉街の入口が三十台以上の黒塗りの外車で渋滞して、周囲から何事だと思われたそうだ」

「親父……、何を感心してるんだ」

 妙にしみじみとした口調で語る父に淳は突っ込みを入れたが、潔の話はこれからが本番だった。


「別に感心してはいないが……。それで到着早々、奥さんの方が外に繰り出し、土産物屋を回って片っ端から店内の商品を全て買い上げて、一つ一つきちんと包装させてうちに運び込ませたものだから、売る商品が無くなった上、その対応で殆どの店が開店休業状態になった。飲食店には黒服が居座って他の客に睨みを利かせるものだから、買い物も食事もできないと、観光客からの苦情が観光協会事務所に殺到したそうだ」

「それ……、店の方からも、影響妨害の苦情が集まったんじゃないのか?」

「ああ、そっちの方はうちにだ。買い上げた商品の搬送先や、請求書の届け先から、うちの滞在客だと分かったし」

「…………」

 週末の書き入れ時に多数の店が迷惑を被った上、温泉街のイメージダウンに繋がりかねないと実家に非難が集中した事が容易に想像できた淳は、無言で額を押さえたが、続けて潔が無視できない事を言い出した。


「あと夜の宴会時には、大広間で読経会を開催してな。用意してきた音響設備で、窓を開け放って大音響でそれを流したから、かなり広い範囲に響き渡ったらしい。周りに迷惑をかけてしまった」

 それを聞いた淳は、顔付きを険しくして口を挟んだ。


「親父。それは立派な営業妨害だぞ。十分、訴えられるレベルだ」

「ああ。店の商品を正規の値段で購入したり、うちの中でされる分には仕方がないが、不特定多数の人間を不快にさせるのはな。だからご挨拶がてら、止めて頂くように頼んでみた」

「……それで?」

 抗議したなら抗議したで、淳は不安しか感じなかったが、潔は口調を変えないまま、さり気なく尋ね返した。

「お前、美実さんの監禁について、加積さんを訴えるとか書いた手紙を渡したな? 現物を見せて貰ったが」

 それで完全に話の流れが見えた淳は、唸る様に確認を入れた。


「……ああ。それで俺、親父から意見しろとでも言われたか?」

「言われたな。だが、それとこれとは別問題だし、書かれてある事が本当なら、尚更お前に止めろとは言えんだろう? だからそう答えたが。そうしたら、取り敢えず読経を外に流すのは止めてくれた。一晩、うちの中で読経が響いていたがな」

「親父、すまん!」

 淳は本気で電話の向こうの父親に頭を下げたが、潔の声は全く動じないままだった。


「別に、お前が謝る事では無いだろう。筋が通らない事を言っているのはあちらだ。タチの悪い客は、いつの時代にもいるものだ」

「いや、それでも加積クラスの傍迷惑客は、そうそういないと思うんだが……」

 きつい性格の母親の横で、常日頃は影が薄い父親の、意外な肝の座り具合に感心しながら淳が口を挟んだが、ここで潔は苦笑いの口調になった。


「まあ確かに困った客ではあったが、しっかり正規料金は払って貰ったしな。その上、開き直った縁が『札束が向こうから歩いて来てんのよ! ありったけ飲ませて食べさせなさい!』と温泉街中から食材と酒をかき集めて提供して、ちゃっかり別料金で上乗せ請求していた。客を見送った直後に、緊張の糸が切れたらしく熱を出して倒れたが、まだ変なテンションのまま、布団の中で高笑いしているぞ」

「縁の女将根性は凄まじいな。あの加積から金を巻き上げたのかよ……」

 溜め息を吐いて項垂れた淳だったが、潔の話は更に続いた。


「それから康之は、この間周囲の旅館に頭を下げて駐車場や仲居を融通して貰ったり、業者に頭を下げて食材資材をかき集めたり、苦情受付の窓口になって方々に頭を下げて完全に胃をやられたのか、今日の午後胃カメラをして、そのまま入院治療になった」

「なんかもう……、康之さんには本当に申し訳ない……。ところでお袋は?」

「加積さん達が大挙して現れた段階で寝込んだ」

「……そうか」

 それで父だけが普通に話ができる状態だと分かった淳は、暗い表情になって黙り込んだ。するとそれを察したのか、潔が再び笑いを堪える口調で話しかけてくる。


「しかし、お前。とんでもない人に喧嘩を売ったものだなぁ……」

「親父がそこまで平常運転なのが、俺は逆に怖いんだが」

 正直な感想を口にした息子に、潔が平然と言い返す。

「ジタバタしても仕方があるまい? 一応、経過を報告しておこうと思ってな。縁からは『バカ淳に一言文句言っといて!』と絶叫されたし」

 それを聞いた淳は、瞬時に真顔になった。


「……落ち着いたら、一度そっちに顔を出す。好き放題にボコれる様に、それまでにしっかり体力つけとけって、縁に言っておいてくれ」

「分かった。伝えておこう。それから言わずもがな、だが……。負けるんじゃないぞ?」

「当たり前だ。じゃあ親父も、身体に気をつけろよ?」

「ああ。それじゃあな」

 静かに激励してくれた父親に感謝しつつ、淳は静かに受話器を戻してから、悪態を吐いた。


「……あのくそジジィ、やってくれやがった」

 わざわざ直に実家に圧力をかけに行った、加積夫婦の底意地の悪さを再認識した淳は、自分の考えの浅さに盛大に歯ぎしりしたのだった。



「……行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 殆ど目を合わせないまま、しかし一応律儀に挨拶をして食堂を出て行った美野を見送って、この間ずっと居心地の悪さに堪えていた美幸が、盛大に抗議の声を上げた。


「美子姉さん。美野姉さんの態度もどうかと思うけど、いい加減にして!」

「何が?」

「もう三月だよ? 美実姉さんをどこかに預けて、もう優に一ヶ月過ぎてるのに、どういう事? 美野姉さんじゃなくても、心配するし怒るからね!?」

 憤然として美幸が訴え、昌典と秀明が視線を向ける中、美子の淡々とした声が食堂内に響いた。


「……言いたい事がそれだけなら、さっさと学校に行きなさい」

「うもぅ! 美子姉さんの分からず屋! 行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

 腹を立てながら、それでも美野と同様に挨拶して美幸が出かけてから、昌典が美子に声をかけた。


「美子」

 しかし尋ねようとした事を、彼女が先回りして冷静に報告する。

「あれから屋敷を五回訪ねたけど、礼儀正しく門前払いされたし、口を利いてくれそうな人に取り次ぎや屋敷への同伴をお願いしてみたけど、皆に申し訳無さそうに断られたわ」

「そうか……」

「ただ、美実のかかりつけの産婦人科に問い合わせたら、妊婦健診はきちんと受診しているし、特に問題は無いそうよ」

 そこまで聞いた彼は、思わず口を挟んだ。


「それなら次の予約日を聞いて、そこで待ち構えていれば」

「個人情報保護の面で、患者に関する問い合わせは受け付けられないのよ」

「俺達は家族だろうが!」

「『ご家族ならご本人に直接お尋ね下さい』と言われるのがオチね」

「…………」

 あっさりと美子に言い負かされた形になった昌典は、渋面になって黙り込んだ。するとここで秀明が、思い出した様に尋ねてくる。

「因みに出版社の方は?」

 それを聞いた美子は、まるで舌打ちしそうな表情になった。


「迂闊な事に、気が付くのが遅れてね。先週担当の木原さんに電話してそれとなく尋ねてみたら、最近何回か出向いて貰って、当面必要な作業は終えたと言われたわ。逆に『先生から聞いていませんでしたか?』と不思議そうに言われて、冷や汗をかいたわよ」

「そうか……。確かに俺も失念していたしな。そうすると必要な外出は、きちんとさせて貰っているらしいな」

「そうみたいね」

 そこで秀明は、改めて美子に尋ねた。


「それで、これからどうする気だ? 淳の奴も、個別に何回か押し掛けているみたいだが、そろそろ我慢も限界らしい」

「……考えが、無いことも無いわ」

「何だ?」

 不思議そうに尋ねた秀明だったが、美子は明言せずに父と夫を促した。


「取り敢えず、二人とも出勤して。遅れるわよ?」

「ああ」

「行ってくる」

 この状態で、美子があっさり自分の考えを口にする筈も無いと分かっていた二人は、無理に問い詰めずに立ち上がった。そして二人を見送ってから、美子は腹立たし気に、ある所に電話をかけ始める。


「全く……。どこまで世話を焼かせるんだか……。この手は使いたくなかったけど、仕方が無いわね」

 そして美子はブツブツ文句を言いながらも、相手が出てからはいつも通りの口調で、ちょっとした野暮用を依頼したのだった。



 父親から電話を貰って以降、淳は怒りと焦りを募らせながら仕事をこなし、憤然としながら週末に突入した。そして目覚ましをかけずに寝ていた日曜の朝、スマホへの着信で叩き起こされた淳は、不機嫌さを露わにして電話をかけてきた相手に凄んだ。


「何だ、秀明。日曜の朝っぱらから。生憎と俺は、機嫌が悪いんだが」

「今日一日、暇か?」

「何だいきなり」

「美樹の世話を美野ちゃんと美幸ちゃんに頼んで、美子が出かける支度をしている」

「それがどうした」

「美子は買い物に行くと言っているが、今身に着けている物が普段使いじゃなくて、最高級品だ。物の善し悪しは分からんが、値段は最高レベルだ」

 冷静にそう告げられた淳は、いきなり脈絡が無さそうな事を言われた以上に、秀明の鑑定眼に感心した。


「お前って昔から、美術品とか宝飾品の鑑定とか善し悪しの批評はできないが、不思議と価値の有る無しだけは勘で見分けて、偽物や駄作の類を掴まされた事は皆無だものな。ある意味凄いぞ」

「悪かったな、育ちが悪い成金で。美子がそこまで気合い入れて支度をするのが、本当に単なる買い物の為だと思うのか?」

 ここで秀明が気分を害した様に口にした内容を聞いて、淳は漸く完全に目が覚め、相手の言いたい事を完全に理解した。


「買い物じゃないと? 本当のところを聞かないのか?」

「買い物と既に言っているのに、それ以上の事を言うと思うのか?」

「急いで支度する。途中で合流しよう。逐一、連絡をくれ」

「分かった」

 ベッドから飛び起きながら頼んだ淳に、秀明は余計な話をせずに通話を終わらせ、それからは随時淳のスマホに美子の様子を連絡してきた。


「淳、ここだ」

「おう、何とか首尾良く合流できて良かった」

「全くだ。車を使われたら、ちょっと面倒だったからな」

 約一時間後、細かく乗っている車両まで伝えていた秀明と、淳は電車内で合流を果たした。そして挨拶もそこそこに、秀明にここに来るまでに考えていた事を尋ねてみる。


「ところで、着替えながら思ったんだが、美子さんは桜査警公社の会長だろう? 当然、日常的に護衛が付いている筈だし、そいつらに聞けば居所なんてすぐに」

「俺に一切、報告は無い」

「は?」

「以前、例え美子が間男を作っても、会長のプライバシー保護を優先すると、面と向かって言われた事がある」

「……大した社長様だな」

 自分の台詞を遮って断言した相手に、淳は少しだけ同情した。そして二人で幾つか他愛のない話をしながら、注意深く乗客の間から、少し離れた所に着物姿で佇んでいる美子の様子を窺う。


「本当にどこに行く気だ……。降りるぞ。遅れるなよ?」

「ああ」

 そして新橋駅でホームに降り立った彼女の後から、見つからない様に注意深く進んだ二人は、人並みを抜けて美子が迷わずに歩いて行く方向を見て、怪訝な顔になった。

 

「何だ? ゆりかもめ?」

「お台場にでも行くのか? ああ、でもホテルとかもあるし、そこで加積夫人と会うか、何かの会合の席に押しかけるつもりなんだろうか?」

「それは良く分からんが……、日曜で人出が多くて助かったな。これは連結車両が短いから、変に空いていると美子に見つかる可能性もあるし」

「そうだな」

 そして注意深く美子が上がったエスカレーターとは反対側からホームに上がった二人だったが、こそこそと人波に姿を隠して車両の到着を待ちながら、周囲の状況を観察していた淳が、到着した車両に乗り込んでから徐に言い出した。


「なあ……、秀明」

「……何だ?」

「少々、思い出した事があるんだが」

「だから何だ」

「この客層、この時期を考えて……。毎年この時期にお台場で開催されている、あるイベントの事なんだが……」

 日曜であるからビジネスマンの姿が殆ど皆無なのは当然として、親子連れやカップルをはるかに凌駕する人数の、若い女性客達で埋め尽くされた車内で、淳が微妙に顔を引き攣らせた。対する秀明も、男二人連れの自分達が相当悪目立ちしているは十分分かっていたが、控え目に否定の言葉を返す。


「それは一応、俺も考えた。だがな、淳。そんな所に、美子があの格好で出向くと思うのか? TPO無視も甚だしいぞ。周囲から浮き上がって見失う心配が減って、俺達は楽だが。それに美実ちゃんは、臨月近い妊婦だぞ? 普通に考えたらあり得ないだろう?」

「ああ、普通だったらそうだな。だが、美子さんも美実も、普通一般の女性とは言えないだろう?」

「…………」

 すこぶる真剣に指摘してきた友人に、秀明は黙り込んだ。そして周囲で明るい甲高い声が楽し気に響く中、定刻通りに発車した車両が順調に進んでいく。それからしばらく無言だった二人だったが、レインボーブリッジを渡り終えて少ししてから、急に秀明が何やら弁解する様に言い出した。


「その……、淳。今日美子は、本当にショッピングモールとかで、買い物かもしれんし」

「……あのな、秀明」

「日舞教室の生徒達と、どこかで待ち合わせて茶話会とかの可能性もあるからな」

「外の景色を見てるか? ショッピングモールとかホテルとか、もう通り過ぎたぞ」

「そうだな天気も良いし、意表をついて春の気配を感じながら野点とか」

「美子さん、周囲の客と一緒に降りたぞ。因みにここは、国際展示場正門駅だ」

「…………」

「だが、桜査警公社の美子さん担当の護衛も、周りに紛れてたって事だよな。凄いな。全然分からん」

 冷静に指摘されて秀明が口を閉ざすと、淳が少々慌てた様に促してくる。


「ほら、秀明、行くぞ! 他の経路からも人が集まって来るから、マジで見失いそうだ!」

「……ああ」

 そこで何とか気を取り直した秀明は、淳と一緒に東京ビッグサイトへの連絡通路を歩き始めた。

 秀明が指摘した通り、周囲からの訝し気な視線など物ともせずに一足先にそこに到達した美子は、入場待機列に真っ直ぐ歩み寄り、その先頭近くで自分以上にその場にそぐわない、ダークグレーのスーツ姿の男性に声をかけた。


「お待たせしました、藤宮です。畠山さんですか?」

「はい、おはようございます、会長」

「日曜なのに、朝からご苦労様。精神的負担も加味した、時間外手当をお支払いしますね?」

「ありがとうございます」

 安堵した表情の、自分とそう年の変わらない男性と美子が笑顔で挨拶を交わしていると、ここで秀明達が小走りにやって来た。


「美子。こんな所で何をしている。それにそいつは、桜査警公社の奴だろう。やっぱり美実ちゃんがここに来るのか?」

 若干険しい表情での問いかけに、美子は一瞬嫌そうな顔つきになってから、素っ気なく答えた。

「来るかどうか、公社の方に問い合わせなんかしていないわ。だけど私はここの常連だから、今回公社の方に一足先に来て、パンフレットの入手をお願いしただけよ」

「常連?」

「ええ。パンフレットの事前販売は、今回やっていなくてね。当日並ぶのは面倒だし。それのどこがいけないの? 美実と偶々出先で会ってしまったのなら、付き添いの方の落ち度にはならないわよ」

 堂々と主張した美子から、秀明が無言で視線を動かすと、傍らの畠山が苦笑の表情になる。そこで苛立ったように淳が会話に割り込んだ。


「そんな行列をする所に、本当に美実が来ると?」

「加積さんが手を回すなら一々並んだり待ったりせずに、あっさりこっそりスタッフの出入り経路を使って、中に入っていてもおかしくはないわね」

 平然と美子が口にした内容を聞いて、秀明たちが唖然としていると、この間もゆっくり進んでいた行列は入り口近くまで進んでおり、彼女は男二人に手振って追い払った。


「そういう事だから、中に入りたかったらさっさと入場券を購入して来なさい。ちゃんと列にも並ぶのよ? 遠くから楽しみにしてきたお客の前で、乱闘騒ぎなんて許しませんからね」

「あのな!?」

「話は後だ。行くぞ!」

 厳命してきた美子に、淳は思わず声を荒げたが、そんな彼を秀明が引きずるようにしてその場を離れた。それを見送った畠山が、手にしていたパンフレットを美子に手渡す。


「それではこちらをお持ち下さい」

「ありがとう。それで?」

 主語を省いて短く美子が尋ねると、彼は心得た様に補足説明した。

「本日の担当者からの連絡を受けまして、これまで回っておられたスペースに、丸を付けて時間を書き込んであります。宜しかったら、ご参考になさって下さい」

 それを聞いた美子は、満足そうに微笑んだ。


「助かりました。今のは聞かなかった事にしておきますね」

「はい、ごゆっくりお楽しみください」

 あくまで個人的に、社内で禁止されている情報の横流しを頼んでいた美子は、後々のお礼を考えながら畠山に見送られて HARU COMIC CITY 会場内へと進んだ。

 そして美子の予想通り、加積が裏から手を回して開場直後にこっそりとスタッフ用の通路経由で会場入りしていた美実は、これから訪れる修羅場など全く予想せずに、すっかりその場を満喫していたのだった。


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