二度目の夜・反対意見
雨の残る東京で、透は新しい記録を開いた。三週間後、九都市で新たな殺人が起きる。前回との直接接点はないが、事件後の公共調達だけが同じ速さで動く。 偶然の一致だという指摘を消さず、照合表の横へ置く。疑う側の都合で仮説を事実に変えないためだった。
各都市の担当者は忙しく、他国の一件へ人手を割けない。AIが関連なしと示せば、その判断に従うことが最も合理的な配分とされた。
報道は戦争のない安全な世界で起きた異常として事件を伝えた。その言葉が、平和は新しい製品で守らねばならないという広告へすぐ利用された。
しかしAIが止めたのは国家の合理的な決定であり、家庭や路地に生まれる憎悪まで消したわけではない。殺人は局地的な例外として各都市へ分けられていた。
答えは出なかった。それでも、別々の都市で閉じられるはずだった二つの記録が、初めて同じ机の上に残った。
現地刑事は被害者の名を読み直した。世界規模の数字へまとめる前に、一件ずつ別の生活が失われたことを忘れない。
同時刻という一致は目を引くが、それだけで共謀にはならない。透は似ている点と異なる点を同じ数だけ書き出した。
AIは与えられた目的の中で最善を選ぶ。国家戦争を防ぐ目的は達成されている。その外側の殺人は、別の問題として切り離されていた。
関連なしという判定にも根拠がある。透はAIを疑うためではなく、後から同じ結論へ到達できるよう計算過程を保存した。
同時刻という一致は目を引くが、それだけで共謀にはならない。透は似ている点と異なる点を同じ数だけ書き出した。
AIは与えられた目的の中で最善を選ぶ。国家戦争を防ぐ目的は達成されている。その外側の殺人は、別の問題として切り離されていた。
(本文実測:708字)




