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終末のネクロマンサー  作者: あああ
死霊王国
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しばらく、言葉が出なかった。

 火の残りを見つめたまま、口を開く。

「……二十年前」

「俺は八歳だった」

「弟は、五歳」

「家族四人で……普通に暮らしていた」

 喉が鳴る。

「突然、ネクロマンサーが来た」

「家に入ってきて」

「父と母を殺して」

 一拍。

「弟を……連れていった」

 拳を、強く握る。

「俺は……家具が倒れてできた隙間に、隠れていただけだ」

「助かったんじゃない」

「……ただ、見逃された」

「弟の遺体だけが、消えた」

 ここで、言葉が止まる。

 胸の奥が、焼ける。

「……その時だ」

 声が低く、濁る。

「両親の死体を見た瞬間」

「弟の血を見た瞬間」

「頭の中で、何かが壊れた」

「叫びたかった」

「死にたかった」

「全部、消えてほしかった」

「その時……」

 唇を噛む。

「死霊術が、開花した」

 リリアの息が止まる。

「無意識だった」

「術式も、理屈も、知らなかった」

「……ただ」

「両親の“魂”を」

「この世界に、引き留めてしまった」

 指先が震える。

「死なせてやれなかった」

「送ってやれなかった」

「俺が……」

「縛った」

 沈黙。

「ネクロマンサーに家族を殺されて」

「ネクロマンサーになって」

 乾いた笑い。

「……皮肉だろ」

 視線を落とす。

「それ以来だ」

「ネクロマンサーを狩り始めたのは」

「復讐だ」

 そして、小さく。

「……取り戻すためでもある」

「弟を」

「奪われた、亡骸を」

 廃村の外で、風が鳴る。

 二十年前の夜は、

 まだ終わっていない。

 魂の鎖と一緒に、

 今も続いている。

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