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終末のネクロマンサー  作者: あああ
死霊王国
47/72

047

カーディナルを発ったのは、朝靄がまだ残る刻だった。

 露に濡れた石畳。

 軋む車輪。

 門を抜けると、街の音は急に遠のく。

 背後にあるのは、

 迫害の街。

 静かで、整っていて、

 そして冷たい場所。

 俺は振り返らない。

 振り返る理由も、

 惜しむ理由もない。

 馬車が揺れる。

 木製の座席。

 粗末な荷台。

 長旅には向かない。

 だが、慣れている。


 街道は広い。

 だが、進むほどに人影は減り、

 道は細く、荒れていく。

 商隊の轍。

 野盗の足跡。

 道端に転がる壊れた箱。

 死体はない。

 ――ここでは、

 死もまた運ばれている。

 胸の奥が静かに疼く。

 死の匂いが薄い道ほど、

 信用できない。


 馬車の中は静かだ。

 御者は口数が少ない。

 リリアも、無理に話さない。

 車輪の音だけが、

 時間を刻む。

 俺は手帳を取り出す。

 黒く塗り潰された名。

 消えない影。

 そして、

 新たに塗られた老人の名。

 ――エルン・ハルバード。

 守れなかった名。

 殺していないのに、

 背負ってしまった死。

 手帳を閉じる。

 これ以上、

 増えてほしくはない。

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