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終末のネクロマンサー  作者: あああ
ネクロマンサー狩り
26/72

026

俺は、深く息を吐いた。

 床に滴る血の匂い。

 歪んだ祭壇の鼓動。

 迫り来る“家具”の群れ。

 ――もう、隠す理由はない。

 唇を開き、

 声に出す。

「……来い」

 掠れた声が、

 協会に落ちる。

「父よ。母よ。」

 一瞬の沈黙。

 そして、

 真名を呼ぶ。

「アルベルト。」

「セレスティア。」

 その瞬間、

 影が震えた。


 床に伏していた影が、

 引き剥がされるように持ち上がる。

 黒い輪郭が固まり、

 人の形を成し――

 剣を携えた、父の影。

 槍を構えた、母の影。

 “名を与えられた骸”が、半ば現実へと踏み込む。

 空気が、冷えた。

「……ほう」

 神父が目を細める。

「血縁の真名解放。

 禁忌の中でも、特に美しい」

「ご両親を、

 今も縛っているのですね」

 俺は答えない。

 ただ、命じる。

「――斬れ」


 アルベルトの影が踏み込み、

 剣閃が走る。

 セレスティアの影が回り込み、

 槍が家具の核を貫く。

 肉の椅子が裂け、

 骨の棚が砕け、

 祭壇が呻く。

 協会は、

 影と肉と骨の戦場と化す。

 俺は、その背を見つめながら、

 胸の奥で呟く。

 ――まだ終わらせない。

 ――この罪も、

 ――この力も。

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