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骨の刃が火花を散らす。
俺と神父の距離は、
もはや一歩分しかない。
「素晴らしいですね」
神父は微笑んだまま、
刃を振るう。
「あなたは――
まだ“素材”として磨ける」
「……喋りすぎだ」
俺は踏み込む。
だが、
床が軋んだ。
背後で、
重い音。
――ズズズ……
協会の奥、
聖卓が裂けるように開き、
異様な祭壇がせり上がる。
それは石ではない。
木でもない。
縫い合わされた“人の肉と骨”でできた祭壇。
祈りの彫刻の代わりに、
歪んだ肋骨の装飾。
聖布の代わりに、
干からびた皮膚。
「私の“工房”です」
神父が穏やかに告げる。
「ここでは、
すべてが私の作品になります」
指が鳴る。
椅子。
棚。
机。
長椅子。
すべてが一斉に動き出す。
床を這い、
宙を舞い、
退路を塞ぐ。
「囲まれた……!」
リリアが息を呑む。
「下がれ」
俺は短く告げ、
一歩前へ出る。
家具が殺到する。
重い。
数が多い。
隙がない。
刃で斬っても、
次がすぐ迫る。
腕を掠められる。
皮膚が裂ける。
だが、止まらない。
「……そろそろ限界ですね」
神父の声は、
あくまで丁寧だった。
「あなたを、
この祭壇の一部にしましょう」




