そのきっかけはオルゴール
登場人物紹介
拓斗 初デートを楽しみにしている高校生
マスター 拓斗のアルバイト先、喫茶店ハーモニーのマスター 長く海外を放浪していたらしい。国籍不明の顔立ちで、博識。薄い髪色に淡い瞳に、マスター目当ての女性客多し。
オーランジュ 異世界の姫。大変美しいお姫様だが、盲目。若くして亡くなり、転生する。
カイ 異世界の青年。こちらもかなりの美青年だが、奴隷のため生贄として祭りに捧げられ、奉納舞を舞うオーランジュに恋する
グレイン卿 オーランジュの兄王子
俺は浮かれた気分で、噴水に腰掛けていた。あと30分でみあちゃんとの初デート。彼女の気を引くための涙ぐましい努力の甲斐あって植物園でデートだ。綺麗な花に囲まれた彼女はすごく可愛いだろうなぁ。そんな想像に顔が自然と緩んでしまう。いかんいかん。クールに振舞える様バイト先のマスターにも散々相談したんだ。目をあげるとすぐ先にバイト先の喫茶店が見える。窓に人影がちらちら見えているのはマスターだろう。
ふと優しいオルゴールの音色が聞こえた。聞いた事があるような?音の先を探すと大きな花束を抱えた長身の男から聞こえてくる。俺はついじーーっとその男を見てしまっていた。いるんだよなこういう完璧なイケメン。俺が見劣りするから早くどこかに消えてくれ。しまった目が合ってしまった。逸らそうとしても視線が固定してしまったのか目を逸せない。すると男が近づいてきた。まずいぞ。
腰を浮かせかけた時、男が花束を俺に差し出した。俺に!?
「お探ししました。きっとどこかで転生されると信じて」
片膝をついて恭しく俺の手を取る男に、俺は呆気にとられていた。ちょっと待て?何?!
しかし、次の瞬間もっと驚く事が起こった。俺の手がぎゅっと握り返したのだ。そして続けてこう言った。
「やはり貴方なのですね。あの曲で分かりました。初めて貴方の眩しいお姿を拝見できて幸せにございます」
そのまま見つめ合う2人…ちょっと待って、ちょっと待って、何がどうなってるの?俺の体どうした!?
「あの日、俺は絶望の淵を見ました」
「それ程私のことを…」
ちょっと、誰か止めてーー
「もう良いのです。貴女は今はここにいる。もう決して離しません」
「私も…」
2人がひしと抱き合おうとした瞬間。誰かが割って入ってきた。止めてくれたのは有難いけど、誰?
「姫に触るな。奴隷の分際で」
男を見下ろす様に立ちはだかったのは…マスター?何で?
「お兄様!?」
「卿!」
2人の声が重なる。誰なんだよ一体。
「お前が姫をたぶらかしたせいで、姫は命を落としたのだ。こんな事なら舞などさせるのではなかった」
「お兄様。それは違うのです。私は不治の病に侵されていたのをこの方が…」
「お前は騙されているのだ。もう良い、ここで決着をつけてやる」
そして、周囲の風景はぼやけて霞み、3人だけになってしまった。
「いつかお前が現れるだろうと、姫の近くで目を光らせていたのが功を奏した。覚悟しろ」
もう、俺抜きでやってくれないかな




