第79節: 最高の仲間（ドリームチーム）へのタスク割り当て
いつも『元・社畜SEの異世界再起動』をお読みいただき、誠にありがとうございます。
皆様の温かい応援に支えられ、アークシティ建設計画は、ついに、その、具体的な、一歩を、踏み出そうとしています。
前回、ケイが提示した、未来都市の、詳細な、青写真。特に、『水洗トイレ』という、革命的なシステムは、住民たちの心を、完全に、一つにしました。
今回は、その、あまりにも、壮大な、プロジェクトを、実行するための、具体的な、体制が、構築されます。
ケイの、最初の、そして、最も信頼する、仲間たち。ガロウ、ドゥーリン、そして、エリアーデ。彼らが、それぞれ、この、歴史的な、大事業において、どのような、重要な、役割を、担うことになるのか。
それでは、第四巻の第七話となる第七十九話、お楽しみください。
「すいせんトイレ！
すいせんトイレ！」
その、奇妙で、しかし、希望に満ちた、新しい言葉の大合唱が、ようやく、熱狂の余韻を残して、静まっていった頃。
フロンティア村改め、未来都市『アークシティ』の、最初の、市民たちは、まだ、興奮に、目を輝かせながら、庁舎のバルコニーに立つ、彼らの、小さなリーダーの、次の、言葉を、待っていた。
青写真は、示された。
自分たちの、進むべき、未来の、輝かしい、ビジョンは、共有された。
では、次に、何を、すべきなのか。
その、具体的な、第一歩を、誰もが、知りたがっていた。
ケイは、その、二百人を超える、期待の、眼差しを、一身に、受け止めながら、静かに、頷いた。
そして、彼は、自らの、傍らに、控えていた、三人の、最初の、仲間たちへと、向き直った。
狼獣人族の、誇り高き、戦士長、ガロウ・アイアンファング。
ドワーフ族の、伝説の、工匠、ドゥーリン・ストーンハンマー。
そして、エルフ族の、若き、精霊術師、エリアーデ・ウィンドソング。
種族も、能力も、そして、性格も、全く、異なる、三人の、天才たち。
彼らこそが、この、アークシティ建設計画という、途方もない、プロジェクトを、成功へと、導くための、三本の、巨大な、柱だった。
「――皆、聞いてほしい」
ケイの、声が、再び、広場に、響き渡る。
「この、アークシティ建設計画は、僕、一人の力では、決して、成し遂げられない。この、壮大な、事業を、推進するためには、それぞれの、専門分野を、統括する、強力な、リーダーシップが、不可欠だ。……故に、僕は、本日付で、この、都市建設における、三つの、最も、重要な、部門の、責任者を、任命する」
その、厳粛な、宣言。
広場は、再び、静まり返った。
誰もが、その、栄誉ある、重責が、誰に、与えられるのかを、固唾を飲んで、見守っていた。
ケイは、まず、その、岩塊のような、身体に、絶対的な、信頼を、寄せている、頑固な、職人へと、向き直った。
「ドゥーリン・ストーンハンマー殿」
「……なんだ、小僧」
ドゥーリンは、腕を組み、ぶっきらぼうに、答えた。だが、その、髭の奥の、黒い瞳は、ケイが、次に、何を言うのかを、正確に、予測しているかのように、静かな、興奮に、輝いていた。
「あなたに、この、アークシティの、全ての、建設と、インフラ整備を、統括する、『工務部』の、初代、最高責任者への、就任を、要請する」
その、あまりにも、大きく、そして、あまりにも、誇り高い、役職名。
ドゥーリンの、白い髭が、わなわなと、震えた。
「……こうむぶ、だと……？」
「そうだ。城壁の、建設。住居の、建築。そして、何よりも、僕が、最も、重要視している、上下水道システムの、敷設。その、全ての、設計と、施工の、全権を、あなたに、委任する。……あなたの、その、神の領域の、技術と、経験がなければ、僕の、この、夢の都市は、ただの、絵に描いた餅で、終わってしまう。……引き受けては、もらえないだろうか？」
その、最大級の、賛辞と、そして、絶対的な、信頼の、言葉。
ドゥーリンの、職人としての、魂が、燃え上がらない、はずがなかった。
上下水道。
あの、光の幻影の中で見た、あまりにも、美しく、そして、挑戦的な、システム。
あれを、自らの手で、この、大地に、刻み込む。
それ以上の、名誉が、この世に、存在するだろうか。
「……フン」
ドゥーリンは、その、込み上げてくる、歓喜を、必死に、押し殺しながら、わざとらしく、そっぽを向いた。
「……仕方、あるまい。……小僧の、描く、その、ふざけた、設計図を、本物の、芸術品へと、昇華させてやれるのは、この、大陸広しと、いえども、この、わししか、おらんのだからな。……いいだろう。その、ちーふ・えんじにあ、とやら。……この、ドゥーリン・ストーンハンマーが、謹んで、引き受けてやるわい！」
その、あまりにも、素直ではない、しかし、力強い、承諾の言葉。
広場から、地鳴りのような、歓声と、拍手が、沸き起こった。
次に、ケイは、その、美しさと、そして、その、奥に秘めた、計り知れない、魔力に、期待を寄せる、エルフの、姫君へと、向き直った。
「エリアーデ・ウィンドソング殿」
「はい、ケイ」
エリアーデは、その、翡翠の瞳を、静かに、細め、ケイの言葉を、待っていた。
「あなたには、この、アークシティの、全ての、魔術的な、防御と、そして、環境デザインを、担当する、『魔術部』の、初代、最高責任者への、就任を、要請する」
「……まじゅつぶ……」
「そうだ。この都市を、物理的な脅威から守るのが、ドゥーリン殿の、城壁だとすれば。その、城壁を、さらに、強固にする、目に見えない、魔法の、盾――『防衛結界』を、構築するのが、あなたの、仕事だ。ゴブリン・スタンピードの、あの、シャーマンが、放ったような、強力な、魔法攻撃さえも、完全に、無力化する、大陸最強の、結界を、僕は、君と、共に、創り上げたい」
そして、彼は、続けた。
「それだけではない。僕は、この都市を、ただ、機能的なだけの、無機質な、箱にはしたくない。中央公園に、四季折々の、花を咲かせ、街路樹に、美しい、光る苔を、纏わせ、そして、夜には、精霊たちの、淡い光が、街全体を、優しく、照らし出す。……そんな、自然と、文明が、調和した、美しい、都市を、創りたいんだ。……そのためには、あなたの、その、精霊と、心を通わせる、その、力と、そして、エルフ族の、優れた、美的感覚が、どうしても、必要なんだ」
その、あまりにも、ロマンチックで、そして、彼女の、エルフとしての、魂を、くすぐる、提案。
エリアーデの、白い頬が、かすかに、赤く、染まった。
自分を、ただの、強力な、魔法使いとしてではなく、この、都市の、「美」を、創造する、アーティストとして、必要としてくれている。
その、事実が、彼女の、心を、温かい、喜びで、満たした。
「……承知、いたしました、ケイ」
彼女は、その、美しい顔に、花が、咲くような、笑みを浮かべて、頷いた。
「……あなたと、共に、この、大陸の、いえ、世界の、どこにもない、最も、美しい、都市を、創り上げてみせます」
その、力強い、誓いの言葉に、再び、広場から、大きな、歓声が、上がった。
そして、最後に。
ケイは、自らの、最初の、仲間であり、最高の、親友である、狼の、戦士長へと、向き直った。
彼の、青い瞳には、これまでの、二人とは、全く、違う、絶対的な、そして、少し、悪戯っぽい、信頼の色が、浮かんでいた。
「――ガロウ・アイアンファング」
「おうよ、大将！」
ガロウは、まるで、自分の、出番を、待ちかねていたかのように、その、傷だらけの顔に、獰猛な、笑みを浮かべて、一歩、前に出た。
「君に、何を、任せたいか。……もう、分かっているな？」
「へっ！
当たり前だ！」
ガロウは、その、岩のような拳で、自らの、分厚い胸板を、力強く、叩いた。
「この、アークシティの、全ての、労働力の、確保！
そして、この、クソみてえに、デカい、工事現場の、安全を、守る、警備の、全て！
……違うか、大将！」
その、完璧な、答え。
ケイは、満足げに、頷いた。
「その通りだ。君には、この、都市建設における、人的リソースの、全てを管理する、『総務警備部』の、初代、最高責任者となってもらう。……そして、何よりも、重要な、任務がある」
ケイの、声のトーンが、少しだけ、低くなった。
「この、プロジェクトは、おそらく、何年も、かかる、長大な、ものになる。その間、僕たちの、この、理想郷の、噂を聞きつけた、外敵が、必ず、現れるだろう。……人間の、欲望。魔物の、暴力。それらの、全ての、脅威から、この、僕たちの、夢の、建設現場を、守り抜く。……それこそが、君にしか、できない、最も、重要な、仕事だ」
その、言葉の、持つ、重さ。
ガロウの、顔から、笑みが、消えた。
彼の、黄金色の瞳に、狼の、一族の、未来を、その、両肩に、背負う、戦士長の、厳しい、そして、誇り高い、光が、宿った。
彼は、その場で、深く、深く、頭を下げた。
「……この、ガロウ・アイアンファング。……この、命に、代えても、必ずや、大将の、そして、俺たちの、夢の、都市を、守り抜いてみせるぜ」
その、魂からの、誓い。
ここに、アークシティ建設プロジェクトを、推進する、三つの、巨大な、柱が、確かに、打ち立てられた。
土木と、建築の、神、ドゥーリン。
魔法と、環境の、女神、エリアーデ。
そして、労働と、防衛の、守護神、ガロウ。
その、あまりにも、豪華で、そして、あまりにも、頼もしい、ドリームチームの、結成。
広場の、熱狂は、もはや、最高潮に達していた。
ケイは、その、三人の、頼もしすぎる、仲間たちの、顔を、見渡した。
そして、彼の、心の中では、最後の、そして、最も、重要な、タスクの、割り当てが、完了していた。
（――そして、僕、ケイ・フジワラは。……この、全ての、プロジェクトを、統括する、絶対的な、プロジェクトマネージャー（PM）兼、最高責任者（CEO）として。……この、アークシティの、グランドデザインの、全てに、責任を、負う）
それは、誰にも、明かすことのない、彼だけの、静かな、しかし、何よりも、重い、決意だった。
こうして、伝説の、都市建設プロジェクトは、その、最強の、布陣を、整えた。
彼らの、夢の、都市が、その、最初の、産声を、上げるまで、あと、もう少し。
最後までお読みいただき、ありがとうございます！
ついに、アークシティ建設プロジェクトの、最強の、布陣が、整いました。
ドゥーリン、エリアーデ、そして、ガロウ。
それぞれの、分野の、天才たちが、ケイの、壮大な、ビジョンの下で、その、能力を、最大限に、発揮します。
この、ドリームチームが、これから、どのような、奇跡を、生み出していくのか。どうぞ、ご期待ください。
さて、計画も、体制も、整いました。
次回は、いよいよ、その、壮大な、プロジェクトの、最初の、タスクが、実行されます。
ケイの、ユニークスキルが、今、この、大地そのものを、相手に、その、真価を、発揮します。
「面白い！」「ドリームチーム、最強！」「都市建設、いよいよ、始まる！」など、思っていたていただけましたら、ぜひブックマークと、↓の☆☆☆☆☆での評価をお願いいたします。皆様の応援が、アークシティの、最初の、測量杭となります！
次回もどうぞ、お楽しみに。
