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第173節: 国内産業の保護育成

いつもお読みいただきありがとうございます! 第八巻『経済戦争』編、その反撃の狼煙が上がりました。 ギルドの卑劣な経済封鎖によって混乱に陥ったアークシティ。 その絶望的な状況の中、我らがリーダーケイがついに立ち上がります。 彼が提示する驚くべきカウンタープラン。 どうぞその鮮やかな逆転劇の序章をお楽しみください。

「――国家の総力を挙げて新たな国内産業の育成を開始する!」


ケイ・フジワラの静かな、しかし絶対的な自信に満ちた宣言が庁舎第一会議室の張り詰めた空気を震わせた。


『プロジェクト・インディペンデンス(独立計画)』。 そのあまりにも壮大でそしてあまりにも無謀なカウンタープラン。 集まったリーダーたち――ガロウ、ドゥーリン、エリアーデ、ルナリア、リリナ、ハク、そして各部族の長老たちはまだその言葉の本当の重さを測りかねていた。


「大将」


ガロウがその傷だらけの顔に深い困惑の色を浮かべて口火を切った。


「気持ちは分かる。奴らに頼らねえで生きていければそりゃ最高だ。だがな現実を見ろ。塩はどうする? リリナたちが血眼になって探してくれてはいるがもし見つからなかったら? 布だってそうだ。俺たちのその獣の毛皮とゴワゴワの麻布だけであのクソ寒い冬をまた越せるってのか? あんたはまたルナリアやエリアーデ殿に無茶をさせるつもりか?」


そのあまりにも真っ当でそして仲間を想うが故の痛切な指摘。 会議室の空気が再び重くなる。 そうだ。理想だけでは腹は膨れない。理想だけでは冬の寒さは凌げない。 ギルドが握っているのは塩や布という「モノ」ではない。 自分たちの「命」そのものなのだ。


その重苦しい空気をケイは静かに、しかしきっぱりと断ち切った。


「ガロウ。君の懸念はもっともだ。だが君は二つのことを見誤っている」


ケイはその小さな手のひらをテーブルに置いた。


「第一に僕は君たちに以前のあの貧しい生活に戻れなどとは一言も言っていない。僕がこれから創り出すのはギルドが供給していたあの粗悪な製品よりも遥かに高品質でそして豊かな生活を約束する全く新しい国内産業だ」


「第二に」


彼の青い瞳がその場にいる全ての仲間たちを見渡した。


「君たちはもはや僕がいなければ何もできない烏合の衆ではない。君たち一人一人がこの大陸のどこにも負けない最高の『技術』と『知識』と『誇り』を持っている。僕はその君たちの力を信じている。いやその君たちの力に『賭けて』いるんだ」


彼はゆっくりと立ち上がった。 プロジェクトマネージャーの顔だった。


「敵の武器が『経済封鎖』ならば、僕たちの武器は圧倒的な『生産力』と『技術革新』だ。彼らが僕たちの血流を止めたつもりでいるのなら、僕たちは僕たち自身の新しい血流を創り出す。ただそれだけのことだ」


そのあまりにも不遜でそしてあまりにも頼もしい宣言。 リーダーたちの瞳に再び光が宿り始めた。


「これより第一弾として二つの緊急プロジェクトを始動する」


ケイは黒板に二つの単語を書き出した。 『製紙』 『繊維』


「この二つが僕たちの経済的自立の最初の礎となる」


「紙と布か」


ドゥーリンがその白い髭を扱きながら唸った。


「確かにどちらも今のわしらの技術では創り出せん代物だ。だが小僧、羊皮紙は金がかかりすぎる。布はどこから原料を」


「そのどちらも僕の前世の知識で解決する」


ケイはきっぱりと言った。


「羊皮紙ではない。木材パルプから作る安価で高品質な『紙』だ。そして麻布ではない。この土地に自生する未知の植物繊維と魔物の糸を使った新しい『布』だ」


「これより工務省、魔術部、そして保健衛生局は総力を挙げてこの二大プロジェクトの開発に着手する。ガロウ、君の軍務省にはその原料の安定供給と労働力の確保を頼む。いいな?」


その矢継ぎ早の、しかし完璧に計算され尽くした指示。 アークシティは今この瞬間ギルドとの全面的な経済戦争へとその舵を切ったのだ。 それはケイがこの世界に転生して以来最も困難でそして最も胸の躍るプロジェクトの始まりだった。

ついにケイの口から反撃の狼煙が上がりました! 『武器なき戦争』。そしてその勝利条件は『完全なる経済的自立』。 あまりにも壮大なプロジェクトが今始まろうとしています。


次回、その具体的な第一弾『製紙プロジェクト』と『繊維プロジェクト』が始動します。 ケイの前世の知識が再びこの異世界に革命を起こす! どうぞご期待ください。

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