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第167節: 英雄の凱旋

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

第七巻『外交戦線』、ついにそのクライマックスです。

ケイの絶対的な信頼を背負い、未知なる戦場へと旅立った三人の使節団。

彼らが今、全ての任務を終え、故郷へと帰還します。

アークシティが初めて経験する、歴史的な勝利の瞬間。

どうぞ、その熱狂をお見届けください。

アークシティの南門が、その重い音を立ててゆっくりと開かれていく。

その開かれた門の向こう側、春の陽光を背に三つの人影が立っていた。

一人は、その金色の髪を誇らしげに風になびかせるエルフの女性。

一人は、その金色の瞳を安堵と達成感に細める猫の少女。

そしてもう一人は、その無骨な顔を緊張から解放され、泣き出しそうに歪ませる若いドワーフの職人。

エリアーデ、リリナ、そしてボルツ。

アーク連邦史上初の外交使節団が、今確かにその故郷へと帰還した。


彼らがまず目にしたのは、門の内側に整然と並ぶ鋼鉄の盾の壁だった。

ハク率いる警備隊が、彼らを出迎えるための最高儀仗隊形を組んでいたのだ。

その一糸乱れぬ姿。

そしてその兜の奥から注がれる、仲間への尊敬の眼差し。

エリアーデたちはその光景に息を呑んだ。

自分たちがいない間にも、この故郷は確かに成長し、強くなっている。


だが本当の驚きは、その先にあった。

警備隊の盾の壁が左右に開かれる。

その向こう側、中央広場へと続くメインストリート。

そこは信じられないほどの数の住民たちで埋め尽くされていた。


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」


二百人を超える魂の咆哮。

それはケイの建国宣言の時にも匹敵するほどの、熱狂的な歓喜の爆発だった。

狼獣人たちが遠吠えを上げ、ドワーフたちがそのハンマーで地面を叩き、エルフや猫獣人、兎人、蜥蜴人、鳥人たちが自分たちの言葉で最大の賛辞を叫んでいる。

空には色とりどりの花びらが舞い、そして建国を祝ったあのアーク連邦の旗が誇らしげにはためいていた。


「……うそ……」


リリナの金色の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。


「な、なんだよ、これ……」


ボルツもまた、その無骨な顔をくしゃくしゃに歪ませ、子供のように声を上げて泣き始めた。

エリアーデでさえも、その完璧な外交官の仮面を保つことはできなかった。彼女の翡翠の瞳は驚きと感動に大きく見開かれ、その美しい唇は震えていた。


彼らは覚悟していた。

自分たちの任務は極秘裏に行われたもの。

誰にも知られることなく静かにケイに報告し、それで終わりだと。

だが彼らを待っていたのは、この都市の全ての住民からの最大級の祝福だった。


「――英雄の凱旋だッ!!!!」


その群衆をかき分けて飛び出してきたのはガロウだった。

彼はその傷だらけの顔を太陽のように輝かせ、三人の元へと駆け寄った。


「よくやった! いや、よくぞ帰ってきた、エリアーデ! リリナ! ボルツ!」


彼はその熊のような両腕で、三人いっぺんに抱きしめた。

骨が軋むほどの力強い抱擁。


「が、ガロウさん、くるし……」


「はははっ、すまん、すまん!」


彼らの耳に届いてくる住民たちの声。


「エリアーデ様、お美しい!」


「リリナちゃん、お帰りー!」


「ボルツ! 師匠おやっさんが、お前のために最高の酒を用意してるぞ!」


彼らは知っていたのだ。

この三人が自分たちの未来のために、あの恐ろしい人間の世界へと乗り込み、そして歴史的な勝利を収めて帰ってきたことを。


(ケイ様……。あなたが全て、皆に伝えたのですか……)


エリアーデは群衆の向こう側、庁舎のバルコニーの上で静かにその光景を見守っている、小さなリーダーの姿を見つめた。

ケイはこの勝利を自分だけのものにしなかった。

彼はこの勝利の栄誉を全て、この三人の功労者たちと、そして彼らの帰りを待っていた全ての市民たちと分かち合うことを選んだのだ。


アーク連邦史上初の外交的勝利。

それはこの生まれたばかりの国家に、二つの大きなものをもたらした。

一つは『ゴルディア王国』という北の強力な同盟国。

そしてもう一つは。

『我々もやればできるのだ』という、あの大国リオニス王国にさえ決して屈しないのだという、国家としての揺るぎない『誇り』と『自信』だった。

その目に見えない、しかし何よりも強固な絆が、今この歓喜の渦の中で確かに鍛え上げられていた。

第七巻『外交戦線』クライマックス。

英雄たちの凱旋でした!

彼らを迎えたアークシティの住民たちの熱狂。

そしてその全てを仕組んだ、ケイのリーダーとしての器の大きさ。

感動的なシーンが描けたのではないかと思います。


さて、次回はいよいよ第七巻の最終話。

この歴史的な勝利を祝う宴の夜。

ケイとエリアーデ。

二人の間に流れる静かな、しかし熱い想い。

どうぞご期待ください。


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