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第8話 カメラマンと郵便屋さん

本屋でレターセットを買い、ついでに真那ちゃんが欲しい本を大量に買って秘密基地に戻ったが既に夕暮れ時だったのでその場でお開きになり、俺とマスタードラゴンは家に帰った。


宿題をすぐに終わらせて早速手紙を書こうと思ったが、何を書けば良いのか分からずにいた。


「なーに書けば良いのかなぁ……」


『んー?とりあえず……お爺ちゃん大好き!とでも書いとけばいいと思うぞ?それだけでアルフレッドは狂喜乱舞に大喜びするだろう』


「書かないよ!?って、もし書いたら狂喜乱舞どころじゃすまないと思うんだけど……」


『……すまん。下手したら魔法協会本部に多大な大損害が出る可能性があるな。忘れてくれ』


孫大好きの爺ちゃんに劇薬を与えてしまったらその影響力は計り知れない。


「とりあえず……マスタードラゴンを贈ってくれたことに感謝して、あと真那ちゃんのことと、秘密基地のことを書けばいいかな」


『ほほう?真那ちゃんを僕の将来のお嫁さんですって書くのか?』


「──爺ちゃんにマスタードラゴンに意地悪されてる、助けてって書こう」


人の恋心を弄られるのはとても不愉快なので爺ちゃんに報告しよう。


『ごめんなさい!!もう二度と真那ちゃん関係のことで茶化さないからそれだけはご勘弁を!!!』


マスタードラゴンはその場で土下座をして謝罪してきたのでそれに免じて手紙に書くのはやめた。


創世の竜を自称しても爺ちゃんはとても怖い存在なんだなと認識し、遅くなる前に手紙にペンを走らせた。



翌日、秘密基地でようやく手紙を書き終えて後は送るだけになったが、そこで真那ちゃんから提案があった。


「せっかくだから写真とか贈ったらどうかな?」


「写真?」


「うん。手紙と写真が一緒だと貰った方はとっても嬉しいと思うよ!アルフレッド様も成長した千歳君の写真は欲しいんじゃないかな?」


写真……全然思いつかなかったが、多分爺ちゃんは喜んでくれるだろう。


だけど、一つ問題ある。


写真を贈ると言っても撮るためのカメラが無いから用意しなければならない。


家に使ってないカメラあったかなと考えていると、脳裏に一つのアイディアが浮かんだ。


「……あ、そうだ」


「何か思いついたの?」


「うん。新しいドラゴンのアイディアをね」


別室で手紙を書いていたマスタードラゴンがやって来ると早速俺のアイディアを伝えた。


『……へぇ、いいじゃないか。千歳、いい空想力だ。面白い、やってみるんだ』


マスタードラゴンはすぐに了承すると白紙の創世の百竜を2枚投げ渡す。


「アウェイキング!」


創世の魔杖を構えて、足元に魔法陣を出しながら2枚の創世の百竜に魔力を送る。


「創世の力が宿りし百の竜の子よ、我が想いと夢を体と力に変え、優しき心を宿せ!我が魂の祈りより、今ここに目覚めよ!インカーネーション!」


呪文を唱え、今の俺のアイディアが込められた2体のドラゴンを創造する。







「過去の風景を未来へ残す竜!《No.16 カメラドラゴン》!」


少しレトロなカメラを両手で持ち、カメラの周辺機器がたくさん入った鞄を背負ったドラゴン。







「想いを遠くへ届ける竜!《No.17 デリバリードラゴン》!」


郵便帽子を被り、手紙などの荷物を入れる郵便鞄を肩にかけたドラゴン。







2体のドラゴンを創造し、まず初めに仕事を頼みたいのがカメラドラゴンだ。


「カメラドラゴン、写真を撮ってもらいたいんだけど、いける?」


『ギュギュ!』


もちろんと言うように胸を叩くと、早速カメラを構えて写真撮影が始まる。


まず俺とマスタードラゴンと真那ちゃんを撮影し、せっかくなのでみんなで撮ろうと言うことで創世の百竜のドラゴン全員をレリーズして集合写真も撮った。


写真を撮り終えると、カメラドラゴンのカメラが光を放つと次々と撮影した写真が出てきた。


撮影してすぐに写真が出来るインスタントカメラと違い、カメラドラゴンのカメラから出てきた写真は高品質のものでどれも綺麗に撮れていた。


写真の出来に満足していると、写真の中に不思議なものが写っていた。


「あれ?これって……秘密基地完成パーティーの時の……」


「え?あ、本当だ!みんなでトランプでババ抜きしたのもある!な、何で!?」


それは秘密基地が完成した時に行ったパーティーの光景が映っていて、まるでその時に撮ったみたいな写真だった。


謎の写真に困惑していると、マスタードラゴンがその原因を推測する。


『どうやらカメラドラゴンのカメラは現在だけでなく、過去の風景も自由に撮影出来るらしいな』


「過去も……?本当なのか……?」


『グルッ!』


カメラドラゴンは自信満々に頷いて答えた。


過去の風景も撮影出来るというトンデモ能力……いろいろな使い方が出来そうだが、今は考えないようにした。


「ありがとうな、色々撮影してくれて」


『ギュルー!』


カメラドラゴンに感謝し、写真をピックアップして手紙と一緒に封筒に入れた。


ちなみに俺は和風の封筒、マスタードラゴンはアンティーク風の封筒だ。


封筒にシールを貼って封をし、次に仕事を頼むのはもちろん。


「デリバリードラゴン、頼むよ」


『ギュルッ!』


デリバリードラゴンに2通の手紙を渡すとそのまま郵便鞄の中にしまう。


一度秘密基地から外に出るとデリバリードラゴンは翼を広げて宙に浮き、いつでと飛び立てる準備を整えた。


「届け先はイギリスの魔法協会本部、受取人は俺の爺ちゃん、アルフレッド・サードラゴン」


『頑張れよ!』


「いってらっしゃい!」


『グォーン!』


デリバリードラゴンはビシッと敬礼をし、翼を羽ばたかせて勢いよく空に向かって飛んだ。


あっという間にデリバリードラゴンの姿が見えなくなりそのあまりの速さに真那ちゃんは驚いていた。


「速い……もう見えなくなっちゃった」


「デリバリードラゴンはね、鳥よりも、飛行機よりも、戦闘機よりも速く空を飛ぶんだ。しかも、誰の目にもレーダーにも映らない、どんな建物などの障害もすり抜けて確実に荷物を届ける……言わば、《竜の郵便屋さん》なんだ!」


俺は自信満々にデリバリードラゴンのことを説明する。


絶対に爺ちゃんの元に手紙が届いて欲しい願いを込めてデリバリードラゴンを創造した。


爺ちゃんが喜んでくれることを願って秘密基地に戻った。




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