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2話 長男は本当に良いお兄ちゃん


「アンタ! 今日こそちゃんと殺してきなさいよ!」

 姉のケイトが俺にそう強めに言ってくる。

「ホープはホープの()りたいように()ればいいのだよ」

 兄のメビウスはニコニコ優しい顔でそう言ってくれる。


 兄も姉も銀髪で真紅の瞳をした美男美女である。

 そして、俺も似たような顔をしているが顔色は優れない。

 何故なら10歳になって5日もたつのにまだ人を殺してないせいだ。


 俺の一族は10歳になってから1日でも人を殺さないと体調が悪くなるという、特殊な体質をしている。


 1日目は人を殺さなくても耐えれた。

 2日目になると気分が悪くなった。

 3日目も我慢したらもっと気分が悪くなった。

 4日目は流石に人を殺しに出かけたけど殺せなかった。

 今日は5日目で気分は最悪である。

 さっさと人を殺してこの気分最悪な状態から抜け出したい。


 俺の意識は基本的1つだが、感情が昂るとホープ10歳がかなり表面にでる。

 心が身体に引っ張られるという奴だろうか。

 

 なので人間を殺したい気持ちはやまやまなんだが、前世の記憶とか色々な感情が邪魔して、どうしても殺せない。


 殺る気はあるのだが、殺れないのが俺ことホープである。

 さっさと人を殺してスッキリしたいとこなんだが、それがなかなか難しい。


 しかし、今日の俺は一味違う!

 朝早くから出かけて、本気で人を殺しに行く覚悟である。俺の殺る気は全開だ!

 俺は神槍の森にある自宅から『空を自由に飛ぶ白銀の翼』を使って移動する。


 この召喚魔法は背中に4枚の翼が生える。

 そして、文字通り空を自由自在に飛ぶ事ができる。

 音速を超えで飛ぶ時は『全てを無効化するシールド』を展開しておかないと身体がズタズタになるので注意が必要だ。

 

 翼を使って爆速で移動して、地上の魔の森付近に到着した。

 この辺りには人間が沢山住んでる街がある……。


 空から街に向けて『46センチ91式徹甲弾』を沢山放てば誰かしら殺せるだろう……。


 遠くから顔を見ずに殺ればうまく行く気がする……。


 今日こそは!

 今日こそは人間を殺すと覚悟を決めて『46センチ91式徹甲弾』100発を街に向けて放った。


 砲弾は戦艦大和の主砲並に勢い良く飛んで行く。

 もうまもなく街に着弾する。

 その瞬間だった。

 俺は意識的に全砲弾の軌道を、街から外れるようにコントロールしてしまう。

 全ての砲弾の軌道は大きく逸れて舞い上がり、空の彼方に消えてしまった……。


「ううう……。 やっぱり……。 やっぱり僕には人なんて殺せないよー!」

 また、失敗してしまった……。


 ちなみに、自分の事を俺とか言うと今の両親が、「子供は僕と言いなさい! 僕と!」と小さな頃から言い聞かされて育ったので、自分の事を口に出す時は「僕」というのが癖づいてる。


 しかし、

 俺にはやはり人は殺せないのだろうか?

 家に帰り聡明な兄に相談してみる事にした……。

 

「ふむ。 察するにホープは我々一族にはない、人間に対する善悪という感情があるのかもしれないな」


 何時もニコニコなメビウスが真面目な顔してそんな事を言うもんだから、ズルっと俺はコケそうになる。


 幼い頃から俺の面倒を甲斐甲斐しくみてくれて、毎日のように楽しく遊んでくれた、あの優しい兄に善悪の感情がないだと!


「え、でも兄ちゃんは僕に凄い優しいよね?」

「一族や家族、それとホープには特にそうだな」

「人間を殺しても何とも思わないの?」

「まったく思わんな」


 何故だろう……何か深い理由が?


「ホープはゴミが地面に落ちてたらどう思う?」

「え、屑籠にいれなきゃって感じかな……」

「その通り。 ゴミは屑籠に入れるのが正しい。」

 兄メビウスはゴミ広い感覚で人間を殺してたのか……なる程な。

「でも人間は生きてるんだよ? ゴミとは違うんじゃない?」

「そうだな人間は生物だからな。 殺して焼却してから捨てるのが正しい」

 ……。

「そうじゃなくて……。 可哀想とか……。 そう思ったりしないの?」

 兄メビウスは少し難しい顔をしながら息をのんでこう言う。

「ふうー。やはり思った通りだな。ホープは人間に対して善悪の感情がある。 それがある限り人を殺すのは難しいかもしれない」


「ふえーん、僕はこのままじゃ人を殺せないよー!」

 俺は思わず泣いてしまった。

 身体に心がどうしても引っ張られてしまう……。

 

 そんな俺をそっと抱きしめながら「大丈夫、大丈夫だホープ。 兄ちゃんがなんとかしてやる!」というメビウスは本当に優しい俺にとっても自慢のお兄ちゃんなのだ。

 

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