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昔日の影  作者: 苳子
11/12

高旗

高旗---少々世世



 われらの生は死のはじまりではなく

 われらの死は生のはじまりでもない

 はじまりのない地――それが高旗


 われらは生を失い

 かれらは死を失った


 われらの生は死のはじまりにあらず

 われらの死は生のはじまりにあらず

 環をなす生と死

 断ち切る術はあるのか


 彼らの生ははじまりではなく

 彼らの死は終わりではなく

 生も死も存在せず

 ただ、永久とこしえに在るのみ


 われらははじまりを失い

 彼らは終わりを失った

 それは同じことではなかろうか



          <了>




高旗---生滅


 われらは多にして一、一にして多

 故に一人の身の上にふるわれた

 理を断ち切る刃は、皆の上にもふるわれたこととなり

 われらは羽を失い、地につながれた


 彼らはわれらを喰らう

 われらを喰らうことでしか、かれらの生は保つことはできない

 理を歪める刃は、ふるったものにも報いを与えた


 そして われらは すべてを断ち切るため

 われらが 刃を ふるった

 報いは 必ずある

 むあは 滅び

 われらは 生を失い

 かれらは 死を失った


          <了>



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