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神の視点

どうやって書いていくものか分からなくなってきました。

アドバイスを受けて、少しずつ良くしていこうと思います。

(避けて下さい!)

「えっ」


アウィンの耳に聞こえる筈のない声が聞こえた。それは奏慈の声だった。

咄嗟にその声に従い、その場から飛び退くアウィン。

すると、今まで居た場所に炎の息が放たれた。

もし避けていなければ、間違いなく焼かれていただろう。


(はあ、良かった……)

(その声、カンナギだよな?)

(はい、旭凪です!)


アウィンの心の声に応える奏慈。姿は見えないが、助かって安心している様だ。

周りには奏慈の姿は無い。言われた通り、避難したままらしい。


(カンナギ……さん、これは一体?)

(ああ、それはですね……自分でもよく分かってなくて。

 強いて言えば加護ですかね?)

(創造神様の加護ですか……)


突然の事に動揺して素が出つつも、アウィンは何が起きたか聞く事にする。

奏慈自身も分からないらしいが、加護によって話せると思っているらしい。

遠距離から、それも心で話せているのだから、そう思うのは当然の事だろう。


(飛竜の攻撃が分かったのも、加護の御蔭ですか?)

(ああ、はい。なんて言ったらいいんでしょうか……神の視点ですかね?

 アウィンさんや騎士達の姿が上から見えるんです、飛竜の姿も見えます。

 だから飛竜が攻撃しようとした瞬間、避けてと言えたんです)

(成程……心話魔法と盤上魔法ですか)


奏慈の言った事はアウィンの知る盤上魔法その物だった。

盤上魔法とは、戦場を俯瞰して見る魔法。軍師が覚える必要のある魔法の一つだ。


同時に今こうして話せているのは心話魔法の御蔭だった。

実際に声に出さずとも、心で思っている事を相手に伝える魔法。

奏慈はこの二つの魔法を使い、アウィンに指示を出したのだ。


(……カンナギさん、お願いがあります)

(なんですか?)


アウィンは空を仰ぎ見る。空には相変わらず、三匹の飛竜が居る。

一匹に攻撃を集中すれば、もう二匹に攻撃される状況だ。

常に旋回している飛竜を視界に収めて戦うのは不可能に近い。


だが、奏慈がその二匹を見ているなら状況は変わってくる。

覚悟を決め、立っていたアウィンだったが、勝ちが見えてニヤリと笑う。


(私に指示を下さい。この戦いに勝つために)

(それって!?)

(はい、一緒に戦いましょう!)


アウィンは不敵な笑みを浮かべながら言った。勝つ為の戦いを始める。

この間、ほんの数秒…声に出すよりも早く喋れるのが心話魔法の強み。

間も無くアウィンは口を開き、時間は動き出す。勝つには皆の力が要る。


「皆さん、今から私の指示に従って下さい! 生きて家に帰る為に!」

「聖女様、何か策が?」

「ええ、あります。私を信じて従って下さい、皆さんを決して死なせません!」

「……分かりました、聖女様を信じます」


騎士隊長がそう言うと、周りの騎士達も頷いて信じる意思を見せる。

狙いが分からない騎士達だったが、アウィンの言葉を信じて従う。

勝って生きて帰れるのだと思えたからだ。


「じゃあ行くぜ……ふんっ!」


アウィンは持っていたモーニングスターを適当な飛竜に投げた。

突然の攻撃に飛竜は驚くが、軽く飛んでそれを避ける。


「今です!」

「はっ!」


だが、それは囮。迂闊に飛んだ飛竜に騎士達は攻撃を仕掛ける。

アウィンと同様に持っていた剣を投げ、飛竜にぶつけていく。

遠距離武器の無いアウィン達には、これしか飛竜に攻撃する方法が無い。


(アウィンさん、右から一匹来ます!)

「右から来ます、避けて下さい!」

「はい!」


手元から武器の無くなったのを見計らい、飛竜が騎士達に突っ込んで来た。

本来であれば避けるのは厳しい攻撃だが、事前に分かっていれば怖くない。

騎士達は避け、騎士隊長に至っては避けながら飛竜を斬りつけた。


「流石、隊長さんです!」

「いえいえ、聖女様の御蔭です」


サモンウェポンは手元を離れても、魔力を込め直す事で手元に戻す事ができる。

武器を投げて攻撃するのは奏慈の居た世界では考えられない事だ。

だが、手元に簡単に戻せるこの世界では有用な攻撃手段の一つになる。


(正面から一匹、後ろから二匹が炎を吐こうとしてます!)

「分かりました、ならば……皆さん、左右に避けて下さい!」

(えっ、アウィンさんは?)


飛竜達も本格的に攻勢を強めてきた。一匹は陽動で、二匹が本当の狙い。

一気に炎でアウィン達を焼き尽くすつもりだ。

それを知ったアウィンは騎士達を避けさせ、自身は飛竜の攻撃を待ち受ける。


「聖女様、何を!?」


心配する騎士達を余所に、アウィンは変わらず待ち受ける。

飛竜はそんなアウィンに突撃する。当たれば、ただでは済まない一撃だ。


「ようこそ」

(す、凄い……)


しかし、アウィンはその一撃を受け止めていた。

周りの騎士は勿論、突撃してきた飛竜もその事実に驚く。

持ち前の怪力で押さえつけたのだ。


「そらよ」


そして、そのまま受け止めた飛竜を思いっきり背後に放り投げる。

投げられた飛竜はそれに対応できず、ただただ投げられた。

アウィン達の背後にはそう、二匹の飛竜の息が待っている。


「お仲間に焼かれな」


飛竜はこの世のものとは思えない声を上げて、仲間の炎に焼かれる。

アウィン達には飛竜が盾になり、炎は届かない。これで一匹は倒した。


(え、えげつない戦法だ)


奏慈がアウィンに指示し、アウィンが騎士に指示して戦う。これが勝つ為の戦い。

力無く飛竜は倒れ、残った二匹は憎々しげにアウィンを見つめる。

対するアウィンは楽しそうに飛竜を見ており、骨をゴキゴキと鳴らす。


(アウィンさん、飛竜の口に炎が見えます!? それに飛んで)

(こちらが攻撃できない位置から焼いてくる気ですか)


仲間を殺され、怒った飛竜は急上昇する。

アウィンはその様子を見ながら、騎士隊長に近づく。


「隊長さん、作戦会議で言ってたのお願いします」

「分かりました。皆、準備を始めるぞ!」

「はっ!」


隊長の指示の下、忙しく動き始めた騎士達。

魔法で黒い縄を作り出し、それを一つに結んでいく。


(アウィンさん、一体何を?)

(できてからのお楽しみです。

 それよりも私は囮になります。飛竜の動きを逐一伝えて下さい)

(は、はい)


そう言うとアウィンは走り出した。騎士達を置いて、村から出ていく。

そのアウィンを追って、飛竜も村から出ていく。そして、口から炎を吐き出した。


(上から来ます!)


アウィンは報告を聞き、炎を的確に避けていく。

村の外は火の海に変わっていくが、その海を泳ぐように走り続ける。


(アウィンさんは何を狙っているんだ?)


奏慈は報告を続けながら、アウィンの狙いを考えていた。

だが、いくら考えても奏慈には狙いが分からない。

そうして十分以上経った頃、村の方から声が聞こえてきた。


「聖女様、できました!!」

「よし」


それを聞くと踵を返して、アウィンは村へと戻る。

飛竜も続くが、炎の吐き過ぎで先程までの速さは無い。


「これを」

「ありがとうございます! これで勝てます!!」


無事に辿り着いたアウィンは騎士隊長から縄を手渡された。

それは伸ばし切れば村を囲っても余る程の長さがある。

アウィンはそれを自身のモーニングスターに括り付け、強度を確かめる。


「よし」


不敵な笑みを浮かべるアウィン。

そこに丁度、飛竜も追いついてやってきた。


「オレからのプレゼントだ、受け取れ!」


アウィンは再びモーニングスターを飛竜に向かって投げた。

しかし、疲れているとはいえ目に見えた攻撃は当たらない。


「なら、これならどうだ!!」


アウィンはモーニングスターに括り付けた縄を思いっきり引っ張った。

すると、軌道は大きく変わる。

モーニングスターは真っ逆さまに飛竜に向かって落ちていく。

飛竜は後方から迫る音で気づくが、もう遅い。直撃し、共に落ちる。


「これであと一匹」


残った飛竜は倒れた仲間の姿を確認し、声を掛ける。だが、声は返ってこない。

飛竜はアウィンを睨みつけ、雄叫びを上げる。

そして、そのままアウィンに向かって突撃した。もう避ける気も無い攻撃だ。


「来い!」


片手でモーニングスターを持ちながら、待ち受けるアウィン。

次の一撃で戦いは終わる。


(えっ)

「はあ?」


しかし、それはアウィンの手では無かった。割って入って来た一筋の閃光。

その閃光によって飛竜は倒され、仲間と同様に地面にその骸を晒させる。


「驚きましたわ、三匹の飛竜相手にここまで戦うなんて」

(あの姿は……)


そこに立っていたのは斧を携えた褐色肌の少女。

強さと美しさを兼ね備えた奏慈の知る者。


「初めまして、アタクシの名前はフラン=フォン=ファルシオン。

 よろしくお願いしますわ、聖女様」


フランはそう言って、優雅にアウィンに頭を下げるのだった……

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい…修正します。

感想意見質問も募集致します、よろしくお願いします。

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