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マナ

今更ですが、今回で一旦前書きは止めておきます。

活動報告に色々書いた方が良いと思いましたので。

なので、活動報告の方をよろしくお願い致します!

「……これが砂蠍神殿」


早速突入した六人だったが、出迎えてくれたのは通路の山。

どの通路も暗く、何処に通じているのか全く分からない。

事前に教えられた通り、内部は迷路になっているようだ。


「ここから先は私が案内します。付いて来て下さい」


先頭にタールが立ち、一番後ろにはズルフィが立って進む。

六人の中でタールが最も、内部の事をよく知っていた。

そのタールの案内であれば、迷う事は決してないだろう。

こうして進むこと数分、六人は順調に迷路を突破していた。


「それで今更なんですが、カンナギさんはどちらに?

 魔力を隠していらっしゃるんでしょうか?」

「えっ、隠す? 私はここに居ますが……」


そんな中、フィーは唐突に可笑しな事を言い出す。

奏慈はずっと五人の傍に居り、隠れてもいない。

なのにフィーは周囲を見回し、探し始めていた。


「その目隠しのせいじゃないんですか? それを外せば」

「いえ、君は知らないと思いますが、関係ないんですよ。

 魔力で見てますからね……でも、見えませんか。

 リング、それは本当ですか?」

「嘘吐く必要ある? 貴方も試してみたら分かるわよ。

 魔力を全く感じられないから」

「ふむ、やってみましょう……おや、確かにこれは」


半信半疑でイカリも魔力探知を発動し、奏慈の方を見る。

すると、そこには何も無かった。魔力の痕跡すらも無い。


「信じられません、本当に無いとは」

「えっと、魔力が無いのってそんなに可笑しいんですかね?」

「そりゃあ、可笑しいよ。魔力は誰でも持ってる物だからね。

 多い少ないはあっても、全く持ってないは有り得ないよ」

「……元々、持っていなかったとしても持たされる。

 それがこの世界の法則の筈ですが」


魔力とは単に魔法を発動する以外にも、免疫の役割も持つ。

その為、この世界で魔力を持たないという事は死を意味する。

異世界人であってもそれは変わらず、例外は存在しない。

何故なら、来た瞬間に創造神によって持たされるからである。


「いや、もしかしたら?

 すみません、少し触れてもいいですか?」

「えっ、ああ、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。それでは失礼して」


フィーはチルベに誘導されながら、恐る恐る奏慈に手を伸ばす。

そうして手が奏慈に触れた時、すぐに手を引っ込めた。


「……ま、まさか、そんな」

「リング、どうしましたか?」

「い、いえ、魔力は持っているようです。

 でも、持っているのは魔力は魔力でも……マナを持っています」

「ま、マナ!? それは本当か!」

「マナ? 何の事ですか?」

「そうか、それも知らないんだね……タール、頼んだよ」

「了解しました。私から説明させて頂きます」


――マナ。それはこの世界における空気のような存在だ。

生きるには必要不可欠だが、毒にもなる危険な物質。

そのマナを摂取する事で、生物は自身の魔力に変換する。


だが、奏慈は変換せずにマナを自身の魔力としていた。

これは通常なら起こらないイレギュラーな現象だ。


「だから、魔力探知で引っ掛からなかったんだね。

 周りのマナと同じだったんだ、そりゃ見えないよ」

「そ、それで私は大丈夫なんでしょうか?

 マナは毒なんですよね? 害とかそういうのは……」

「正直、分かりませんが……たぶん、大丈夫でしょう。

 今まで平気だったのなら、突然変化したりしない筈です」

「ほっ、それを聞いて安心しました……」


その言葉を聞き、奏慈は胸を撫で下ろす。

マナを持っている理由は、ひとまず置いておく。

今はそれよりも重要な、ゴビを捕まえるという仕事がある。


「問題は何故、マナを持っているかですが……」

「さ、さあ、先を進みましょう!!

 タールさん、案内をお願いします!」

「リング?」

「えっ、わ、分かりました! こちらです」


それでもイカリは考えようとするが、話を切り上げられた。

フィーはそのまま奥へと進み、奏慈達を置いて行く。


「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」

「やれやれ、アタシの秘書を顎で使うんじゃないよ」

「……フィー様、勝手に先に行かないで下さい」


その後を奏慈達も急いで追う。ただ一人、イカリを除いて。

イカリは少し距離を開けて、奏慈達の後に続いた。

そして、周囲を警戒しながら冷静に考えを進める。


(あの様子、触れた時に何かを感じたのでしょうか?

 感じたとしても、あのリングが焦った様子を見せるとは。

 でも、まずは持っている理由を考えないといけませんね)


思う所はあるものの、イカリは初めて奏慈と戦った時の事を思い出す。

奏慈はあの戦いで時止めを連発し、剣を振るっていた。


(本来その魔力消費の多さから、時空間魔法は連発できません。

 だから、あの時は不思議でした。

 何故、連発できるのか?と……でも、今なら分かります。

 マナを自身の魔力としているなら、その魔力は実質無限。

 周囲のマナを吸収すれば、どんな魔法も連発できるでしょう)


身体能力に優れた人族と、魔法に優れた魔族。

その差はマナを自身の魔力に変換する組織の多さにある。

魔族はそれが多い為、魔法に優れ、魔力量が多い。


しかし、奏慈はマナを変換せずとも魔法を発動できる。

人族の身体能力と、魔族の魔法……両方使えるのだ。


(……まさか、そういう事なのですか?

 だとすれば、リングのあの様子も説明できます。

 ですが、そうなると……いえ、あくまで予想ですね。

 ふむ、考えるのはここまでにしましょうか)


何かを掴んだイカリだったが、頭を振ってそれを忘れる。

その予想が正しければ、マナを持っていた理由も説明がつく。

全てに答えを出す事ができた。でも、それに甘えたくない。

イカリは魔法使いとして、安易な答えに縋りたくなかった。


「しっ、人の気配がします。この先に居るようです」

「やっとかい、歩き疲れちまったよ」


それから数分後、六人は通路を抜けて広場へと辿り着く。

先程と打って変わり、広場は明るく、澄んだ空気に満ちていた。


そんな空間から微かだが、人の話し声が聞こえてくる。

覗き見ると、武装した集団が周囲を警戒していた。

その中央には初老の男が居り、集団に指示を出しているようだ。


「さて、準備はいいね? こそこそせず、一気に行くよ!」

「……それでも私とチルベは、隠密行動をしておきます。

 万が一にも、ゴビを取り逃がさない為に」

「その方がいいだろう。となれば、自分は戦いに専念する」

「私も正面から行きます! ここで終わらせましょう!」

「ふっ、良い面構えだ……じゃあ、行くよ! ついてきな!!」


ズルフィの号令を受け、五人は一斉に動き出す。

奏慈達はわざと足音を鳴らし、フィーとチルベは静かに動く。

御蔭で武装した集団の気は奏慈達に向き、二人をスルーする。

こうして奏慈達は初老の男と対峙するのだった。


「な、何者だ!? 何故ここにやってきた!

 ワシをなんだと思って……むっ、貴様は!!」

「ゴビ、久しぶりだね? くたばってないようで安心したよ」


この初老の男こそ政変の首謀者。ゴビであり、捕まえるべき対象だった。

ゴビは苛ついた様子で拳を振るい、声を張り上げる。


「ズルフィ、貴様! どこまでワシの邪魔をするんじゃあ!!」

「それはこっちの台詞! アタシの邪魔を何度する気だい?」

「うるさい! お前は何も分かっておらん!!

 この国に必要なのはワシのような賢き者で、武人は不要じゃ!

 武人など戦いの時以外、何の役にも立たぬ!」

「その武人が居るから、安心して暮らせるんだろうが!

 賢いだけじゃ、国を守れねえよ!!」

「だから、ワシがこの国の王になる!

 賢き者が武人を動かし、支配する国を!!」

「平行線だな……もういい、やるぞ! ゴビを捕まえる!!」

「はいっ!」


奏慈を剣を出し、構える。もはや言葉は不要……戦いの始まりだ。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい! 修正します!

感想評価も募集致します、よろしくお願いします!

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