結成
視点がコロコロ変わりますが、自分なりに頑張ってるつもりです。
それでも分かり難い部分はあると思うので、ぜひ言って下さい!
分かり易くしていき、説明していこうと思うので!!
「――ふう、終わったぞ」
「流石ね! 貴方の治療魔法には敵わないわ!!」
「感謝します……でも、もういい時間ですね。
宿は取っていますか?」
「あっ、どうしよう……」
あの後、イカリの治療も終えたアウィンはホッと一息吐く。
だが、治療を終えた頃には闇が世界を支配していた。
すぐ城に行く事も考えたが、時間も時間で遅すぎる。
アウィンは仕方なく、フィー達と共に宿へ向かうのだった。
「はあ、結局戻れなかったな」
「アウィン、ごめんなさい……私が戦おうと言わなければ」
「気にするな。そもそも、勝手に飛び出したのはオレだ。
フィーが謝る事じゃない」
「ありがとう……心配してると思うけど、きっと大丈夫よ!
彼氏さんは絶対、信じて待ってるわ!!」
「だと良いんだけどな……今頃、何に首を突っ込んでいるのやら」
呆れた表情でそう言いながら、アウィンはその奏慈の姿を想像する。
正義感に燃え、皆に止められても突っ込む。大体そんな感じだろう。
アウィンのこの予想は当たり、奏慈は砂蠍神殿に向かう事になる。
「それで明日、皆さんは何をして過ごされるのでしょうか?」
「……おい、ここはオレ達の部屋だぞ。なんで居るんだよ」
「油断も隙もないわね」
そうして想像していると、いつのまにかイカリが部屋に入ってきていた。
あまりにも堂々としており、椅子に座ってくつろいでいる。
「すみません、声をかけても反応が無かったので入らせて頂きました。
一応、チルベ君も居ますので安心を」
「はあ、私の従者を免罪符にしないでくれる?」
「で、何の用だ? 明日の予定を聞いても、お前には関係ないだろ」
「ええ、関係ありません。ただ、聞いておこうと思いまして」
イカリは辛辣な事を言われても、くつろぐのを止めようとしない。
二人の明日の予定を聞くまで、部屋から出ていくつもりはないようだ。
それを察した二人は溜め息を吐きながら、お望み通り言う事にする。
「オレは城に向かう。これ以上、心配させる訳にはいかないからな」
「私はアルマ王国行きの船に乗る……今日乗らないと遅れちゃうからね」
「……チルベは、フィー様に付いていきます」
「成程、それぞれ正反対の方向ですね……ふむふむ、感謝します」
満足そうにイカリは頷く。本当に予定を聞きたかっただけらしい。
これで用は済んだが、自分達だけ聞かれるのも癪だ。
「そういう貴方の予定は? まさか、言わないつもり?」
「ふむ、確かに言うべきですね……これは失礼しました。
自分は明日、砂蠍神殿に向かうつもりです」
「砂蠍神殿? あの魔王の神殿にか?」
「……何の理由で行くのよ」
奇しくも、イカリは奏慈と同じ場所に向かうと言う。
だが、理由が分からない。神殿は魔王の住んでいた場所だ。
決して観光名所ではない。内部は仕掛けや迷路で一杯だ。
つまり、普通はそんな場所に向かう理由はないのだ。
「理由はただ一つ、ツェーンの魔力を感じたからです」
「ツェーンの? 魔力探知でもしたの」
「ええ、しました。正直、苦労しましたよ。
そうして追った所、砂蠍神殿に辿り着いたんです」
「という事は、政変を企んでる奴らは神殿を根城にしてるのか?」
「その可能性は高いと思います。なので明日、確かめに行こうかと」
魔力探知はフィーも使っている魔法で、その名の通り、魔力を探知する。
使い方は様々だが、今回のように魔力を追う事も可能だ。
イカリもウルトルクスの所業に思う所があったらしい。
「……私も砂蠍神殿に行く」
「本気ですか? 明日を逃せば、アルマ行きの船はしばらくないですよ」
「分かってるわ。でも、ウルトルクスも見過ごせない!
今回の政変、協力者が一人とは限らない……絶対、他にも居るわ!
その協力者を捕まえる為にも、私はこの国に残って戦う!」
それはフィーも同じで、一呼吸置いてから力強くそう言う。
聖女の本分は巡礼の旅。それを破ってまで同じ地域に留まる事を普通はしない。
しかし、そこはアウィンの同級生。普通じゃない事をする。
「なら、オレも行く!! 味方は多い方がいいだろ?」
「駄目よ、アウィンは城に向かって」
フィーの言葉を聞き、アウィンもまた力強くそう言う。
ウルトルクスは強敵だ。簡単に勝てる相手ではない。
にも拘わらず、フィーはアウィンを言葉と手で止めた。
「な、なんでだ!? 相手はウルトルクスかもしれないんだぞ!」
「分かってるわよ。でも、彼氏さんはどうするの?
神殿に行ったら、その日はもう城に向かえないわ。
そうなったら、また待たせる事になる」
「そ、それはそうだけど……そこはほら、手紙か何かで伝えれば」
「なら、顔を見せてあげて。突然、飛び出していったんでしょ?
これ以上、好きに動くのは良くないわ」
「……そうだな、そうするよ」
フィーの言う事は最もだ。さらに神殿は町から遠く、内部も複雑な迷宮。
その日の内に攻略できても、外に出る頃には夜になってる筈だ。
これでは城に向かえず、堂々巡りを続ける事になる。
そうならない為にも、アウィンを行かせる訳にはいかないのだ。
「ふむ、こんな所でしょうか? 自分は部屋に戻りますね。
お二人も明日に備え、休んで下さい」
「言われなくても休むわよ」
イカリはそう言うと、足早に部屋から出ていった。
その姿を見送り、フィーは扉に鍵をかけながら言う。
「さあ、寝ましょう! 明日は忙しくなるわよ!」
「ああ、そうだな……明日、気を付けろよ」
「ありがと。何もないと思うけど、アウィンも気を付けてね。
じゃあ、おやすみなさい……」
「うん、おやすみ」
こうして長かった一日は終わり、疲れから二人はすぐに眠りに就いた。
その選択で、すれ違う事になるとは知らずに……
「ここまでは何もありませんでしたね」
「そうね、拍子抜けしちゃったわ」
次の日、フィー達は予定通り神殿に辿り着いた。
朝早くから出発し、馬車を使わずに歩いて向かう。
それは御者を巻き込まない為の配慮だったが、道中何事もなかった。
神殿を根城にしてるなら、何かしらの妨害があると踏んでいたのだが。
「フィー様? どうして、こちらに?」
「えっ、あ、貴方達は!?」
そんな事を思っていると、突如後ろから声をかけられる。
悪意を感じなかった為、そのまま振り向くと見慣れた者達が居た。
その人物とはタールとズルフィ。そして、奏慈であった。
「なんで、イカリがここに……」
「それはこちらの台詞です。まさか、君も捕まえに来たんですか?」
「えっ、イカリも!?」
「ふむ、目的は同じようだね。フィー様もそうなんですか?」
「え、ええ、聖女として放っておけなかったので」
まさかの出会いにその場に居た全員が驚く。でも、今は時間が無い。
すぐに気持ちを切り替え、それぞれ訪れた理由を話し始めた。
「成程ねえ、ツェーンの魔力を辿ってここに来たと。
それにしても、フィー様がツェーンを倒していたとは」
「……フィー様、感謝致します。本来であれば、私達の仕事を」
「いえ、気にしないで下さい。だけど、根城の場所を吐くなんて」
「余裕の表れだけではないでしょうね。注意して進まなければ」
イカリがそう言うと、五人は件の神殿を見上げる。
外装は古びているが、どこも崩れていない。しっかり建っている。
この中にゴビが居て、今も政変を企んでいるのだ。
「行きましょう! さっさと捕まえて、馬鹿な事を止めさせるんです!!」
「だね! フィー様も共に向かいましょう、奴らを逃がす訳にはいきません」
「分かりました……イカリ、貴方もいいわね?」
「問題ない。カンナギ、足を引っ張るなよ」
急遽結成されたパーティーで神殿に向かい、戦う事になった。
お互いに思う所はあるものの、今はゴビを捕まえる……それだけだ。
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