転生
今回は結構、重要な回だと思います!
なので変な所がありましたら教えて下さい!
修正して、良くしていこうと思います! それではご覧下さい!
「――アウィンさん、まだ戻って来ませんね」
「そうですわね……」
ズルフィの執務室でアウィンを待つ三人。
あれから日は落ち、食事を済ませても、未だ戻って来ない。
平和に見えたが、今この国は政変が起きようとしている。
何かあったのかもしれない。奏慈は心配のあまり歩き始めた。
「鬱陶しいぞ、静かに待てないのか?」
「くっ、ボーアさんは心配じゃないんですか!?
いくら聖女でも、アウィンさんは一人なんですよ!」
「そうですわ! 少しは心配なさい!!」
落ち着いた様子のボーアに、二人は怒りを募らせる。
そもそも逸れたのも、ボーアが二人を止めたからだ。
すぐに追っていれば、逸れる事はなかったかもしれない。
あの時も今も、ボーアは心配していないのだ。
「そういうカンナギはどうなんだ?
ここ数日のアウィン様は普通じゃなかったぞ?」
「そ、それは……」
「……確かに様子が可笑しかったですわね」
「ボクがアウィン様を行かせたのはそれもある。
行かせる事で、悩みが解決できると判断したんだ」
「……そうだったんですね」
説明されて、ようやく気づく。ボーアは男嫌いの女好きだ。
アウィンを放って、落ち着いていられる訳がない。
こうして一緒に執務室で待っているのも、心配している故だ。
「だから聞かせろ、アウィン様に何をした?
そういう関係でも、内容によっては許さんぞ」
「そうですわね、アタシも聞きたいですわ」
「……分かりました、お話します」
真剣な表情で言う二人に対し、奏慈はゆっくり話し出した。
今まで話してこなかった望結の話は、二人の興味を惹く。
奏慈は敢えて話して来なかったが、それには理由があった。
一つは単純に言う必要が無いから。元の世界に帰るのが奏慈の目的。
望結の話をした所で戻る事に繋がらず、時間を無駄にするだけだ。
そして、もう一つは話したくなかったから。一番大きい理由だ。
世話になり、心を読まれたから話したが、本心では話したくない。
それでも今回話したのは二人を信頼し、話してもいいと思えたからだ。
奏慈はそうして話し続け、アウィンに話した所まで話し終えた。
「そんな事があったんですね……なんだか意外でしたわ」
「……そうですよね、今の私とは全然違いますし」
「ああ、そうだな。今のカンナギと同じ人物とは思えない」
「ちょっと、ボーア!!」
「い、いいんですよ、その通りなので……今の私は情けない大人です」
そう皮肉る奏慈は椅子に座り込み、深く息を吐く。
ボーアの言う通り、今の奏慈は話に出てくる奏慈とまるで違う。
昔の奏慈は堂々としており、自信たっぷりで頼もしい。
別人と思う程だが、今更二人に見栄を張る必要も無いだろう。
「現時点では何故、アウィン様が悩み出したのか分からないな」
「そうですわね……現状、アイという人が怪しいのですけれど」
「カンナギ、続きを話せ。それを聞けば、何か分かるかもしれない」
「アタシからもお願いしますわ」
「……分かりました、続きをお話します」
一呼吸置いた後、奏慈は暗い表情で話し出した。
ここから先はアウィンにも話していない未知の領域だ……
◇ ◇ ◇
「はあ、また会いましたね」
いつもの歩道橋の上で望結は奏慈と出会う。こうして会うのは何回目か。
示し合わせたように何度も会っているが、実際意識して会っている。
今日も望結はある事を聞く為に、わざわざ歩道橋の上で待っていた。
「ふっ、元気そうでなによりだ。それで何の用かな?」
「……これ、貴方ですよね」
望結はスマホの画面を見せる。そこには目を引く一文があった。
『隠されたイジメ問題! 聖山の闇!』
画面はどこかのニュースサイトらしく、始めの方に記事がある。
中身を見ると長文がぎっしりとあり、ハリボテではないようだ。
「バレたか。ああ、僕が書いた記事だ」
「……警察じゃなかったんですか?」
「警察だよ。暇な時に文章も書いたりするけどね」
「これのせいで……イジメが酷くなったら、どうするんですか!?」
今まで表に出なかった聖山のイジメ問題。
それは警察の奏慈も知らない程で、意図的に隠された物だった。
奏慈はそんな物が表に出し、広めている。
そんな物が突如表に出れば、どうなるか。望結の怒りは最もだ。
「安心しろ、何も考えずに出した訳じゃない」
「どういうこと!? ちゃんと説明して!」
「そのままの意味だ。君も藍さんも、もう虐められる事はない。
自分の人生をしっかり生きるんだ」
「ちょ、ちょっと、それで終わらせる気!? 一人で満足しないで!!」
そのまま奏慈は止める望結を振り切って、その場を後にした。
奏慈は記事を出すまでの間、何もしなかった訳ではない。
地道な捜査を続け、裏に居る実行役の正体を調べていた。
結果、実行役は名だたる企業の社長や政治家の子だと分かる。
今まで表に出なかったのは、その者達が圧力をかけていたのが原因だ。
しかし、そういった者ほど敵は居る。それもその者達に次ぐ権力者が。
そんな者達に情報を流し、圧力をかけれないように根回しをした。
「それでも何かあったらマズイな、注意を継続しなければ……」
一瞬後ろを振り向き、望結の方を見る。姿は見えないが、今も居るだろう。
後ろ髪を引かれるも、奏慈は再び歩き出す。これ以上、悲劇は起きないと信じて。
◇ ◇ ◇
「お待ちになって! 飛ばしましたわね?」
「えっ、何の事ですか?」
そうして奏慈が続きを話さそうとした所で、フランが手で制した。
この後にもアウィンの知りたがっていた望結の話がある。
それも重要なのだ。なのに何故か、フランに止められてしまった。
「その間の話ですわ! 要点ではなく、全部話して欲しいんですの!」
「どうした、フラン? 大切な部分は言ってるだろう?」
「ええ、言ってますわ。でも、本当に大切なのはその他の部分。
アウィン様は最初、ミユさんの事が気になっていましたわ。
でも、話を聞いてる内にアイさんという人が気になり始めた」
「ふむ、確かにそうだが……」
「だから、教えて欲しいんですの。
カンナギさんはお二人とどういう関係なんですの?」
「……二人との関係ですか」
順調に進んでいた話だが、ここに来て奏慈の歯切れが悪くなる。
これまで言いたくなくても言ってきたのに、今更何故なのか。
ボーアは首を傾げるが、反対にフランはそれを見て確信する。
「やはり、気づいていましたわね」
「うん、どういう事だ?」
「アウィン様はミユさんの事が気になった。それはきっと、嫉妬に因るもの。
なら、何でアイさんの事を気になり始めたと思う?」
「ううむ、それも嫉妬じゃないのか? どっちも女なんだろう?」
「違いますわ。もし嫉妬なら、アイさんの事もしつこく聞き始める筈ですもの」
「じゃあ、なんなんだ?」
「……言うのは簡単ですけれど、答えはカンナギさんに言って欲しいですわね」
フランはそう言うと口を閉ざし、静かに奏慈を見つめ始めた。
奏慈はそれから顔を背けるが、もう誤魔化す事はできないだろう。
そう思った奏慈は声を震わせながらも、ゆっくり口を開ける。
「最初は気のせいだと思っていました……他人の空似で似てるだけだと。
でも、気づいたんです。ただ似てるにしては可笑しいって」
「……転生。本を読んだ時は、そういう考え方もあるんだなと思ってましたわ」
「ええ、私もです……だけど、違った! アウィンさんは!!」
その瞬間、全ての時が止まったように感じた。実際はそんな事は全く無いのに。
奏慈は確かにそう感じながら、喉の奥から無理矢理言葉を吐き出した。
「アウィンさんは藍さんの……転生体だ」
泣きそうな顔で、奏慈はその言葉を絞り出す……その顔を二人は忘れないだろう。
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