水の都
色々と謎は増えていますが、大丈夫でしょうか?
今回は急展開もあります! なので、心配です
皆さんに分かり易いものを書けるよう頑張ります!
「ここが首都ビアラ! なんて綺麗な町なんだ!!」
「ありがとうございます……そう言って頂けて何よりです」
馬車に揺られて数時間、奏慈達はビアラに辿り着いた。
ビアラは周りをオアシスに囲まれた綺麗な町。
水の都とも呼ばれ、砂漠に存在するとは思えない町だ。
「でも、最初から綺麗な町ではなかったんですよ」
「えっ、どういう事ですか?」
その為、かつてこの地を巡った争いが何度も起きていた。
砂漠にとって水は宝。何人もの権力者が欲したのだ。
結果、ビアラは呪われた地。血の都と呼ばれ始めた。
「それを変えたのがズルフィ様なのです」
そんな地を守り、首都にしたのがズルフィである。
ズルフィは今までの権力者と違い、話し合いで手中に収めた。
力がありながら、それに頼る事はしなかったのだ。
「強いだけじゃなく、話術にも優れているんですね!
凄いなあ……今から会うのが楽しみです!!」
そんなズルフィを見て、砂漠の人々はビアラへ集まり始めた。
間もなく、ビアラはズルフィによって首都へと定められたのだ。
奏慈はそんな町を窓から身を乗り出し、楽しそうに見始める。
「全く、数時間前にも見た光景だな」
「あはは、そうですわね。カンナギさんらしいですわ」
昔に何があっても、今のビアラはそれを感じさせない。
サフラー大陸のサファイア。美しき水の都は今日も輝くのだ。
「聖女様がお帰りになられるぞ! 道を開けろ!!」
そうしていると、奏慈の耳に奇妙な言葉が届いた。
その声は奏慈にしか聞こえておらず、フラン達は談笑中だ。
奏慈はその内容に首を傾げ、周囲を見回し始める。
「……聖女、もしかして!?」
「アウィンさん?」
「どうかしましたの?」
そこからワンテンポ遅れ、アウィンも周囲を見回し始めた。
しかし、いくら見回しても聖女らしき人物は見つからない。
奏慈は探すのを諦めた。それでもアウィンは諦めない。
「オレじゃないなら、聖女はフィーしか居ないんだ。
だから、絶対居る……あっ、見つけた!」
「ちょ、ちょっと、アウィンさん!?」
「えっ、ど、どうしましたの!?」
その行動が功を奏したのか、アウィンは見つけたようだ。
だが、次に起こした行動は馬車から飛び出すというもの。
慌てて止める奏慈だったが、アウィンは手を振り切った。
そのままアウィンは喧騒の中に消え、姿が見えなくなる。
「す、すぐに追わないと!」
「ええ、今なら間に合いますわ!」
「……待て、二人とも。聖女様を行かせるんだ」
二人もまたアウィンを追う為、馬車から飛び出した。
しかし、そんな二人をボーアは引き留める。
それに対し、二人は怒りを露わにして言う。
「なっ、政変が起きようとしてるんですよ!?
巻き込まれてしまったら、どうするんですか!」
「その通りですわ! 見知らぬ地を一人でなんて」
「……だからこそだ、聖女様は巻き込まれても戦える。
でも、そこに二人が居ればどうなる?
特にカンナギが居れば、守らなければならないだろ。
少しは落ち着け、まだ政変は起きてない」
「そ、それはそうかもしれませんが……」
ボーアの言葉を聞き、奏慈は改めて町の方を見た。
町は平和そのもので、政変が起きる様子は無い。
怪しい者も居らず、兵士達も談笑している位だ。
奏慈はそれを確認すると、やっと落ち着きを取り戻した。
「だからって、このまま放っておく気ですの!」
それでもフランは納得しておらず、ボーアに怒号を放つ。
対するボーアは溜め息を吐きながらも、フランに言った。
「そうは言ってない。タールさん、お願いしても?」
「はい、なんでしょうか?」
「聖女様を探して下さい。そう遠くには行っていない筈です」
「了解しました、すぐに探しましょう」
言うが早いか、タールは周りに居た兵士達に指示をし始める。
間もなく兵士達と共に去り、馬車には奏慈達だけが残された。
「これでいいだろう? 地元に詳しい彼らの方が適任だ」
「……そうですわね」
「アウィンさん、無事だといいけど」
その言い分にフランは呆れるも、それ以上何も言わない。
奏慈もそれに倣い、アウィンの無事をただ祈った。
これ以降、三人は黙り続け、馬車に揺られて進んだ。
そうして数分後、三人は青く美しい城に辿り着いた。
「久しぶりだね、フラン!」
「おば様こそ久しぶりですわ! お元気そうで何よりです!」
「はっはっは、元気じゃなきゃ政はできないよ!」
その城で最初に三人を出迎えたのはズルフィだった。
サフラー大陸を治める立場ながら、フットワークが軽い。
そんなズルフィはフランと同じ褐色肌と紫色の髪を持っている。
だが、違いとして髪を短く切り揃えていた。
「ボーア、アンタも来たのかい!」
「はい、お久しぶりです。五年前に会った時以来でしょうか」
「だね、懐かしいもんだ」
ズルフィはひとしきりフランと話すと、今度はボーアに話しかけた。
ボーアは頭を下げ、丁寧な口調でそれに応える。
「で、そっちの彼は? もしかして、噂の異世界人かい?」
「はい、異世界から来ました旭凪奏慈です。
ズルフィさん、よろしくお願いします!」
「おっ、元気の良い子だね! よろしく頼むよ」
そして、最後に奏慈に話しかけ、三人の自己紹介は終わった。
三人はそのままズルフィに案内され、城の中に入っていく。
外から見た時も青く美しい城だったが、中も青く美しい。
よく見ると壁のあちこちが輝いており、まるで宝石のようだ。
「綺麗だろ、あれ全部サファイアなんだ」
「えっ、本物なんですか!? す、凄い贅沢ですね」
「だろう? とはいっても、商品にならない石しか使われてないよ。
あたしは興味ないんだが、タールがどうしてもと言ってね」
ズルフィはそう言いながら、最後に三人を自身の執務室に入れた。
執務室も壁にサファイアに埋まっており、青く輝いている。
そうして三人が入った所で、ズルフィはある事に気付いた。
「そういえば、タールを見かけないな?
お前達を迎えに行かせたんだが」
「あっ、それなんですけど……」
フランは先程の出来事をズルフィに話し始める。
その間、奏慈とボーアは黙り、二人の話を聞く。
「……そうだったか、聖女様を探す為に」
「おば様、今この国にアウィン様以外の聖女様がいらっしゃるんですか?」
「ああ居るぞ、今日アルマ王国に発つ予定のフィー様が」
「フィー様? あのフィー=リング様ですか?」
「フィー=リング?」
「キュバス族の聖女様の事だ」
――聖女。それは唯一、神聖魔法を使う事が許された存在。
他の者が使った場合、使った瞬間に死んでしまう。
そもそも、聖女と呼ばれる者は一人に限定されていない。
同じ時代に何人も居る事もある。だが、誰でもなれる訳ではない。
創造神に認められ、その中でも優秀な者だけが聖女になれるのだ。
そして、フィー=リングは歴代聖女の中でも最強と呼ばれる存在。
彼女に見つめられた弱き者は、誰一人として逆らう事はできない。
「そんな方が今この国に? でも、なんでアウィンさんは」
「それは分からないね、直接本人に聞くしかない。
まあ、タールは優秀だ。日が暮れる頃には見つかるだろうよ」
「それならいいんですけどね……」
「はあ、頼んでおいてなんて態度ですの」
「あっはっは、ボーアは相変わらずだね! じゃあ、待とうかい」
こうして三人はズルフィの執務室でタール達を待つ事にする。
しかし、予想とは異なり、日が暮れてもタール達は帰って来ない。
そのまま夜も更け、サフラーの初日は終わりを告げるのだった……
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい! 修正します!
感想評価も募集致します、よろしくお願いします!




