創造神
活動報告を投稿する度に出してますが、どうですかね?
何かあった時に出した方がいいのかな?
そういう事も含め、教えて頂けると幸いです!
「ここがサフラー大陸ですか!」
「ええ、そうですわ。そして、ここは港町カヴィル。
サフラー大陸の玄関口になりますわね」
あれから三日、何事もなく奏慈達は目的地に辿り着いた。
最初は慣れなかったものの、終わってしまえば楽しい思い出。
奏慈達は自分達の乗った船に軽く手を振り、歩き出した。
「ネイルも活気がありましたが、カヴィルも負けていませんね」
「当然ですわ、サフラー大陸で一番大きな港町ですもの。
規模だけで言えば、ネイルよりも大きな町ですわ」
興奮した様子で町を見る奏慈に、フランは説明を続ける。
その中で行き交う人々の多くがフランと同じ褐色肌だと気づく。
「……もしかして、カリバーさんの夫って」
「あれ、言ってませんでしたっけ? サフラー大陸の出身ですわ。
斧使いのガンダサ。有名だったそうですわ」
「やっぱり、そうなんですね」
ガンダサ=ファント。今から四十年前にアルマ王国を訪れた傭兵。
斧と爆発魔法の使い手で、褐色肌のクールな男。
カリバーはそんな男を半ば無理矢理捕まえ、自らの夫にしたのだ。
「だから、アタシは斧と爆発魔法を使えるんですの」
「成程……それにしてもカリバーさんは何でガンダサさんと?
傭兵だったんですよね、他に相手とか居なかったんですか?」
「居るには居たらしい。だが、カリバーさんは」
「全て断って、おじいちゃんを選びましたわ。
なので当時は変わり者扱いだったそうです」
「まあ、そうでしょうね」
奏慈は歩きながらも、当時の状況を想像して苦笑いする。
そうして話すこと数分、奏慈達は馬車乗り場に辿り着いた。
カヴィルはあくまで中継地点。本当の目的地は別にある。
それはズルフィの居る首都ビアラ。サフラー大陸の中心だ。
「お待ちしておりました、フラン様」
「あっ、タールさん! 迎えに来て下さったんですのね」
そんな馬車乗り場に褐色肌の身なりの良い男が立っていた。
男の近くには豪華な馬車も待っている。
「知り合いですか?」
「ええ、おば様の秘書ですわ。凄い有能なんですのよ!」
「いえいえ、有能では……っと、失礼しました。
皆さん初めまして、タールと申します。お会いできて光栄です。
ズルフィ様の命で、皆さんをお迎えに参りました」
「おお、助かります!」
そう言うとタールは頭を下げ、キャビンの扉を開けた。
丁寧な所作で開けられた中は、外装と同じく豪華な装飾が施されている。
奏慈はそんな馬車に乗り込もうとするが、ボーアは手で止めた。
「待て、カンナギ。おかしくないか?」
「えっ、何がですか?」
「迎えの事だ。何故、港に居なかった?
もし本当に迎えるつもりなら、港で待っているべきだろう」
「そ、それは確かに……」
ボーアはタールを疑い、距離を取って言う。
ウルトルクスやイカリに襲われ、政変まで起ころうとしている。
そんな事が続き、男性不信のボーアはタールに疑いを持った。
「ちょっと、ボーア! 何を疑ってますの!!
おば様の秘書ですのよ! 変な人ではありませんわ!!」
しかし、フランはボーアに詰め寄って文句を言う。
ボーアは知らなくても、フランはタールの誠実さを知っていた。
「いえ、ボーア様の言われる通りです。ちゃんと説明致します」
「……分かりました。タールさん、説明して下さいませ」
「はい。私はフラン様達をお迎えする為、馬車を走らせました。
フラン様達が来る前に到着し、おもてなしをする為です。
しかし、予定が狂いました。普段の道が使えなかったんです」
「それは、どうしてですか?」
「創造神様が寝返りを打たれたんです」
「えっ、創造神が寝返り? ことわざですか?」
奏慈はこの世界に来てから様々な物を見聞きしてきた。
その中でも、今聞いた事は奏慈に驚きと困惑を齎す。
フランはそんな奏慈を見て、いつも通り話し出した。
「突飛すぎますもの、仕方ありませんわ。
でも、ボーアは納得しましたわね?」
「……一応な」
「良かったですわ……タールさん、案内してくれませんか?
カンナギさんにどういう事か教えたいんですの」
「了解しました。皆さん、改めて馬車にお乗り下さい」
「は、はい」
こうして奏慈達は今度こそ馬車に乗り込んだ。
間もなく馬車は動き出し、件の場所に辿り着く。
そこで奏慈が見たのは横たわった何かだった。
「こ、これは木ですか?」
「いいえ、創造神様のお身体です。今は横になっています」
それは一見、黒い樹皮を持った大木にしか見えない。
だが、呼吸するように全体が動く様は生物そのもの。
その巨大さも相まって、奏慈に大きな衝撃を与える。
対照的にフランは恍惚の表情でそれを見つめていた。
「うーん、いつ見ても立派なお姿ですわね」
「お、驚きました……創造神って身近に居る存在なんですね」
「ええ、そうですわ。とはいっても、話す事はできません。
ずっと眠っていますもの」
「眠っている? そうか、だから寝返りか」
「ふむ……せっかくですし、お話しましょうか?
何故、創造神様がお眠りになっているかを」
「いいんですか? では、お願い致します」
「分かりました。全ての始まりは六千年以上前……」
――この世界を創造した名も無き神。
創造神と呼ばれる存在は、世界の次に生命体を作った。
生命体は創造神を崇め、進化して世界に広がっていく。
「似たような話をハルベルムさんから聞いた事ありますね」
「成程、これは聞いた事がありましたか。では、続けます」
しかし、そんな世界に一つの存在が舞い降りた。
それは邪神と呼ばれ、全てを破壊し始めたのだ。
創造神は世界と生命体を守る為に、邪神と戦う。
その戦いは熾烈を極めたが、最後には創造神が勝った。
だが代償は大きく、創造神は眠りに就く事になる。
「そんな戦いが六千年以上前にあったんですね……」
そして、創造神はその力の大きさからバラバラになった。
身体はあちこちに飛び、以降そこから世界を見守っている。
こうして世界に創造神の一部が広がったのだった。
「これで一部なんですね……元々どれだけ大きかったんだ」
「それは誰にも分かりませんわ。記録に残っていない位ですし」
「そうなんですね……」
話を聞き終わった奏慈は、改めて創造神を見つめる。
先程と違い、その巨体から勇猛さと親近感を感じ始めた。
そのせいか奏慈の足は自然と創造神に向かっていく。
「それ以上進むな!」
「えっ、どうしてです?」
そんな奏慈をボーアが声を荒げて止める。
ボーアはそのまま奏慈に近づき、思いっきり引っ張った。
「聖女様の神聖魔法を見ただろう?
神聖魔法は創造神様の力を借りて発動する魔法。
つまり、創造神様はその力の塊だ」
「そ、そうか……だから、馬車は普段の道を避けたのか。
近づいたら死んでしまうから」
「そういう事だ。だから下がれ、神聖魔法の比じゃないぞ」
「わ、分かりました」
奏慈はボーアに言われるがまま、創造神から距離を取る。
恵みと破壊を齎す創造神は、正に天災そのもの。
恐れるのも無理はない。だが、奏慈はある事を思い出す。
(そういえば、僕は触れても死ななかったな。
結局、理由はなんだったんだろう?)
それはアウィンが神聖魔法を使い、奏慈が触れた時の事。
真っ黒に染まった奏慈だったが、何故か死ななかった。
それどころか数日後には元に戻り、元気になっている。
これは通常では有り得ない現象で、奏慈は疑問に思った。
「アウィンさん、聞いてもいいですか?
僕が神聖魔法を使ったアウィンさんに触れた時の事で」
「……うん、なんだ? 何か言ったか?」
「あっ、い、いいえ、なんでもありません……」
「そうか……なら良かった」
しかし、奏慈の言葉はアウィンに届かない。
アウィンは望結の話を聞いてから、心ここにあらずだった。
必要最低限の事は聞いているが、他は殆ど聞こえていない。
そんなアウィンに聞くのは忍びなく、奏慈は聞くのを止めた。
「それでは皆さん、ビアラに向かいましょう。
ズルフィ様が首を長くして待っております」
タールがそう言うと、奏慈達は再び馬車に乗り込んだ。
馬車は砂漠にも拘らず、軽快に進んでいく。
そんな馬車の中から奏慈は創造神を見つめるのだった……
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