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心の傷

ボーアさんの深掘り回という感じになります!

ただ、今回は淡泊になってるかもしれません

それでも大切な回なので、読んで頂けると幸いです!

「ボーア、いきますわよ!」

「ま、まってよ!」


話はフランがボーアの手を引いて、走っている所から始まる。

二人は大公の子供だったが、自由に行動する事を許されていた。

それは周りに居る護衛の御蔭で、今日も二人を見守っている。


「そ、それできょうはどこにいくの?」

「としょかんですわ!」

「ま、また!?」

「……もんくでもありますの?」

「い、いや……」


フランは嫌がるボーアを無理矢理連れていく。

ボーアは異世界の事など、まるで興味なかった。

しかし、フランはボーアの気持ちを考えない。

ボーアの興味ある物は、可愛い物だというのに。


「きょうはなんのほんをよもうかな?」


フランは図書館に着くと、真っ先に本へ飛びついた。

そして、ボーアを放って本を一心不乱に読み始める。


「……はあ、ボクはなにしてよう」


対するボーアはつまらなそうに椅子に座って待つ。

だが、今日のボーアはいつもと違っていた。

周囲の様子を何度も見て、護衛の隙を窺っている。


「よし、いまだ!」


そうして護衛の一人が目を離した隙に動き出した。

ボーアはすぐに図書館から脱出し、街へ繰り出す。


(ボクだってすきにしてやる! ボクはじゆうだ!)


心の中でそう言いながら、ボーアは走り続ける。

目指すは可愛い物を多く取り揃えている雑貨屋。

しかし、子供にはダハルは広すぎる場所だった。


「おい、あのガキ……」

「間違いねえ、貴族だ」


そんな広い場所には、邪な考えを持つ者も存在する。

その男達はボーアを見ながら、何かを企むのだった。


「わあ、いっぱいあるな!」


店に辿り着いたボーアは沢山の小物に目を光らせる。

小物はどれも手頃な値段で、さらに可愛かった。

大公の子供とはいえ、子供に大金は持たせられない。

その為、持っている金は平民と変わらなかった。


「うーん、どれにしようかな……これにしよ!」


悩むこと数分、ボーアは一つの小物を手に取る。

それは桃色の花の装飾が付いたポーチだった。

ボーアはそのポーチを持って、会計へと向かう。


「これください!」

「はい、こちらですね」


こうしてボーアは目的の物を手に入れた。

ポーチを手に入れ、足取りの軽いボーア。

ウキウキでフランの待つ図書館へ向かう。

そして、近道を通ろうと路地裏に入った。


「えっ? うぐぅ!?」


そんなボーアに魔の手が伸びる。

入った途端に男に口を塞がれた。


「よし、行こうぜ!」

「ああ! さて、稼がせて貰うぜ」

「うぅ、ううー」


男達は周囲を警戒しながら、すぐに走り出す。

ボーアは必死に暴れるが、男達を振り解けない。

そうして為す術なく連れ去られ、意識を失う。


「――うっ、ここは?」


目を覚ますと、ボーアは横になって寝ていた。

周囲を見ると、何処かの部屋に居る事が分かる。

部屋にはボーアしか居らず、男達の姿も無い。

さらに部屋は埃塗れ、カビの臭いも漂っていた。


「に、にげないと」


そこまで確認すると、ボーアは立ち上がる。

腕は縛られていたが、足まで縛られてはいない。

そのまま扉の所まで行き、ドアノブを回す。


「あ、あかない……まどもてんまどしか」


当然ともいうべきか、扉には鍵がかかっていた。

他に外への道は無く、完全に閉じ込められている。


「ど、どうしよう……あれ、あしおと?

 だ、だれかくる!?」


そうしていると、外から足音が聞こえてきた。

ボーアは慌てて扉から離れると、再び横になる。

間もなく扉は開き、男達が部屋に入ってきた。


「おっ、起きてたか」

「へへへ、起きてても可愛いな。流石、貴族の娘だ!」

「きぞくの、むすめ?」


ボーアは首を傾げる。男達は女と思っているのだ。

それもその筈、ボーアは可愛らしい服を着ていた。

容姿もフランと変わりなく、男には全く見えない。

結果、ボーアを女の子と勘違いしてしまったのだ。


「さてと、どこの家だ? 答えねえと……」

「ふぉ、フォチャード……です」

「フォチャード!? 大公の家じゃねえか!」

「という事は、お前はアピスとかいう娘か。

 そりゃあいい、たっぷり金が貰えそうだ!」


ここで男達はさらに勘違いを起こす。

ボーアを脅しながら聞いた家の名前。

それでボーアをアピスと勘違いした。


アピスはボーアの妹で、知らぬ者は居ない美少女。

その情報だけを知っている為、男達は勘違いする。


「だが、どうする? 相手はフォチャード家だぞ。

 金を手に入れても、すぐに捕まっちまう」

「安心しろ、娘はこっちが預かってんだ。

 上手くやれば、思うがままに動かせるさ」

「そ、それもそうか……じゃあ、作戦を教えてくれ」

「分かった。まずは手に入る金で盗賊を雇おう。

 俺達が逃げ易くする為に囮にするんだ。

 そして……」


男達はボーアに背を向け、作戦を立て始めた。

その様子をボーアはただ見る事しかできない。

こうして時は流れ、外はすっかり暗くなった。


「よし、行くぞ! ほら、お前もついて来い!」

(うっ、いたいよ……おとうさん、おかあさん)


作戦を決め終わり、男達はボーアを無理矢理連れていく。

逃げ出そうにも周りには盗賊も居り、隙が無い。

ボーア自身も猿轡(さるぐつわ)をされ、声も出せない状況だ。

そんな中、男達は目的地に辿り着いたのか立ち止まった。


辿り着いた場所は路地裏の一角にある空き地。

見通しが悪く、昼間でも薄暗い場所だった。


「じゃあ、作戦通りにいくぞ。金は全員で山分けだ。

 頼んだぜ、お前達」

「へい!」


男の一声で盗賊達は散開し、物陰に隠れ始める。

そして、男達は空き地の真ん中にボーアを立たせた。


「余計な事すんなよ。すれば、後ろからズドンだ」

(うぅ、フラン……助けて)


男の一人が弓矢を構えながら、ボーアにそう言う。

その弓矢はサモンウェポンではなく、本物だった。

もし放たれれば、とても耐えられないだろう……



          ◇   ◇   ◇



「それで、どうなったんですか?」


そこまで話すと、フランは突然口を噤んだ。

奏慈は待ったが、いつまで経っても話し出さない。

遂に奏慈は我慢できず、フランに聞く。

しかし、その答えは全く予想だにしなかった。


「分かりませんわ」

「えっ、身代金の引き渡しがあったんですよね?」

「あった筈ですわ。でも、教えてくれないんですの。

 誰も、その後に何があったのか……」

「……そうなんですね」

「確かなのは、あれ以来ボーアは変わりましたわ。

 可愛い物を嫌うようになって、女好きになって……

 男に対して、とても冷たくなったんですの」


親交の深いフランにも話されていないその後。

それは悲惨な事があったと、暗に示していた。

でなければ、そこまで変わる事はないだろう。


「……カンナギさん、お願いがあります」

「なんでしょうか?」

「ああいう感じですけど、仲良くして欲しいんですの。

 そうすれば、元のボーアに戻ってくれると思うから」

「……分かりました、僕にできる事であれば」

「感謝しますわ」


一瞬考えたものの、奏慈はフランの願いを聞いた。

その答えを聞き、フランは笑顔で深く頭を下げる。


「……それでは、もう行きますわね。

 聞いて頂き、本当に感謝致します」

「いいえ、こちらこそ話して頂き、感謝します」


そうして話は終わり、フランは立ち去っていった。

奏慈はその様子を見つめながら、静かに手を振る。

同時にフランとボーアの幸せを祈るのだった……

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい! 修正します!

感想評価も募集致します、よろしくお願いします!

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